浪川大輔×小林裕介:「ババンババンバンバンパイア」インタビュー(2) キャスト全員が裸だった!? 心地よい掛け合い 収録秘話

「ババンババンバンバンパイア」に出演する浪川大輔さん(左)と小林裕介さん
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「ババンババンバンバンパイア」に出演する浪川大輔さん(左)と小林裕介さん

 インタビュー(1)の続き 「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載中の奥嶋ひろまささんのマンガが原作のテレビアニメ「ババンババンバンバンパイア」が、テレビ朝日のアニメ枠「IMAnimation(イマニメーション)」で、1月11日から毎週土曜午後11時半に放送される。正体を隠し、銭湯で住み込みバイトとして働く450歳のバンパイア・森蘭丸が、究極の味わいである“18歳童貞の血”を求めて、銭湯の一人息子である15歳の立野李仁の純潔を守ろうと奮闘する“BL(ブラッディー・ラブコメ)”。450歳のバンパイアと、魂レベルで穢(けが)れを知らない至高の童貞という特徴的な役どころに挑む森蘭丸役の浪川大輔さん、立野李仁役の小林裕介さんに収録の裏側を聞いた。

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 ◇ペーパーナイフでスッと切られるような丸い声

 --今作で森蘭丸役、李仁役として掛け合った感想は?

 小林さん 浪川さんとはこれまでもほかの作品で共演していますが、今回は本当に包容力がすごくあるんです。しかも、対李仁とそれ以外のキャラクターで結構温かみを変えてらっしゃったので、僕としてはすごく心地よく掛け合うことができました。

 浪川さん そこを感じていただけるのは、めっちゃうれしい。そこは見えづらい部分だから、すごくうれしいな。

 --浪川さんは、小林さんと掛け合っていかがでしたか。

 浪川さん 高い声とか澄んだ声とか、きれいな声って、どういうことなんだろう?って思うと、それぞれタイプがあるんですけど、小林裕介っていう役者さんの声って丸みがあるんです。角がない声をしている。高い声の人ってキーンとして突き刺さるような場合もありますが、刺さるのは心であって、別に声で刺そうとは思っていない。なんというか、刀でズバーンと切られるっていうよりは、ペーパーナイフでスッと切られるみたいな印象があって。その丸みが多分、優しさとかにつながっていくのかなって思う。なので、絡んでいると、すごく心地がいいっていうのはあります。せりふが多いシーンで、パンパンとやり合っている時も、「あれ、今のって?」と引っかかることがなく、自然と行けるっていうのは、すごく気持ちがいいし、見てくれている人も、気持ちよく感じてもらえるんじゃないかと思います。

 --お互いに心地よさを感じていたのですね。

 浪川さん ギャグがある作品は、自分よがりになりがちになる可能性もあります。面白いことをやってやろうみたいな。それがないほうが見ている人は気持ちいいんじゃないかなとは思います。

 ◇浪川大輔にバレていた小林裕介の微妙な変化

 --今作を通して、挑戦となったことや新たな発見はありましたか。

 浪川さん 450歳の方にもバンパイアにも会ったことはないですし、経験もできないですから、なるべく森蘭丸という素体に注力するというか。よく役作り、キャラ作りと言いますが、今回は瞬発力のほうが大きかったかなとは思います。原作者の先生によると、オーディションでは名前やプロフィールを見ずに声だけで決めたらしくて、そういう意味では、なるべく削ぎ落としてやるっていうのは挑戦でした。鎧(よろい)を着ないというか。

 小林さん みんな裸でした。

 浪川さん そうそう、銭湯だけに。うまいな。

 --「裸だった」とは、ほかのキャストの方々も削ぎ落とされていたという?

 小林さん 削ぎ落としているかどうかは、各々の方次第だと思うんですけど、さっき浪川さんが言っていた独りよがり感はなかったです。「この空間だったらこれが許される」というのをしっかり準備されているんだろうなと感じました。行き当たりばったり感がないというか。プロフェッショナルな空間だなって、正直思いました。

 --小林さんは、挑戦や発見はありましたか?

 小林さん 発声の仕方をちょっと考えました。テープオーディションは地声に近いもので出したんですけど、いざ現場に行くと、もうちょっと高くしてほしいと言われて。その高い声をちゃんと出すには、今までの発声だと限界があるし、無理やり押し出すととがったような音になってしまう。それではキャラに合わないので、丸く、それでいて高音まで出るような発声を自分の中で見直しました。ただ、これ言っていいのか分からないですけど、うまくハマる回とハマらない回があったんですよ。

 浪川さん なるほど。面白いな。

 小林さん その日のコンディションにもよるんでしょうけど。でも、うまくいかなかった時、決まって浪川さんに「きょう、なんか大変そうだったね」って言われて。ちゃんとバレてるのが怖いなって。

 浪川さん 「ちゃんとバレる」って(笑)。

 小林さん バレていて。でも、今後の自分に必要なスキルになってくるとも思っていたので、チャレンジしつつ、ちゃんと最後のほうでは安定してやれるようにはなっていきました。そういう意味で、すごくいい挑戦の場にさせていただきました。

 --浪川さんは、現場で小林さんの声を聞いて変化を感じることがあった?

 浪川さん もちろん、何日もかけて一生懸命準備しているのも分かってはいるんですけど、その日の収録で、パンと一言発した瞬間に「お、どうした?」「きょう何かあったか」「昨日しんどかったか」ということはありました。でも、だからといって、普通に聞いたら分からないレベルですよ。もし、聞き分けられたら声優になったほうがいい(笑)。

 --森蘭丸と李仁という役で掛け合っているからこそ気付くところがあるというか。

 浪川さん そうですね。でも、本当に一瞬です。声を出すまでの一瞬が違うんです。別に遅れているとかのレベルじゃなくて、構えが違うみたいな。武道などでも、足が痛い時と元気な時では構えが多分違うと思うんです。そんなレベルです。キャスト全員がそういうふうにやっているっていうのは、すごくいい現場だったと思います。

 ◇森蘭丸がハマり役の一つに 「当て書きかな!?」

 --アニメ「ババンババンバンバンパイア」の見どころを教えてください。

 浪川さん 次から次へと展開が変わっていき、キャラクターがたくさん出てきますが、難しいとか、1回見逃したら分からなくなるとかではなくて、本当にキャラクターたちのピュアさがとても心地よく刺さると思います。恐らくジャンルとしてはだいぶ異質な系統にはいくんじゃないかなとは思いますので、ぜひ真正面から楽しんでいただければと。まだ原作が続いていますので、続きができるように応援していただければと思います。

 小林さん 個性豊かなキャラクターがアニメーションでどういうふうに表現されるのかというのを見ていただきたいです。あと、僕、森さん役が浪川さんと聞いた時に「当て書きかな!?」と。速攻で脳内再生できるというか。

 浪川さん 待て待て、とある方にも言われたよ。

 小林さん その方が現場にいらっしゃる時があったんですけど、昔、浪川さんがとある役をやった時に「これ以上のハマリ役ないから、もう声優引退しなよ」って。

 浪川さん そう言われたんです(笑)。ネタか本気かわからないですが。

 小林さん なのに、今回の森蘭丸役で、「長くやってて良かったな。できたよ、二つ目」って言われていて、やっぱりみんな感じることは一緒なんだなって。この作品は、浪川さんにしかできない森さんが中心になって、全てのもめ事、ドタバタが起こっていくので、その求心力のある森さんに僕は一番注目してほしいなと思います。

 浪川さん ありがとうございます、うれしいですね。

 --では、最後に2025年の抱負を教えてください。

 浪川さん そんな野暮(やぼ)なこと聞きます? そんなの「ババンババンバンバンパイア」が売れることに決まっているじゃないですか。世界の人口の4分の3が知ることです!

 小林さん それが作品全体の総意ということで。

 浪川さん 個人的なのは健康第一だよな?

 小林さん 年々それが強まっていきますね。それはありつつ、実は僕、毎年一つ新しい免許を取るのを目標にしていて。去年は船舶免許を取って、今年はもうちょっとで大型二輪が取れるので、来年はマイクロバスの免許を取ろうかなと思っています。

 浪川さん すごい! ……って、少しは作品に関することも!(笑)。

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