任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の好調、次々登場した復刻ゲーム機、「モンスターハンター:ワールド」の世界出荷1000万本突破など話題の多かった2018年のゲーム業界。ゲーム雑誌「ファミ通」グループ代表の浜村弘一さんに18年を振り返ってもらい、今年の展望を聞いた。
ウナギノボリ
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――昨年はeスポーツ元年でした。人気ゲーム「実況パワフルプロ野球」を使って、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメントが共催するeスポーツの大会があるなど、大きな団体が動きました。
そうですね。若い世代を取り込める、などいろいろな理由はあるからですが。プロ野球でいえば、ゲームからアプローチすることで、球団の選手の名前を覚えてもらえ、球団にメリットがあることが認識されてきたこともあると思います。世界的に見ても、FIFAやNBAなどサッカーやバスケットボールでも同じことが起きています。ゲーム大会の開催は、球団運営を考えると、コストもそれほどかかりませんからね。
――ゲームの理解が進んだと。
選手や記者もゲームを遊んでいる世代です。しかも選手は、ゲームの自分のデータを高いとか低いとかネタにする時代ですからね。明らかに新しい文法ができているわけです。ソフトバンクやDeNAなど、ITを深く理解する企業がプロ野球球団を持っているのも影響していると思います。
――eスポーツの市場規模は拡大しそう?
日本は火がつき始めたところで、17年は約3億7000万円でしたが、18年は約48億3000万円と約13倍になりました。とはいえゲームの市場規模からするとまだまだですね。
――では、今年のeスポーツのポイントは。
「地域」がキーワードになると思います。茨城国体の文化プログラムとして開催されることが発表されていますが、今は地方で行政が主体となって開催しようとしている動きが出てきています。しかし地方は、既にアーケードゲームでゲーム大会をしていた歴史がありますからね。ライブで見ると言葉から体感に変わりますし、eスポーツで人気者が生まれて、地方のテレビ局などに取り上げられていけば普及は加速すると思います。
――eスポーツの選手がテレビ番組の特集でも取り上げられていますが……。
そうですね。ただ普及するにはテレビの特集だけなく、eスポーツがニュースの報道になるかが大事ですね。具体的には、eスポーツの試合結果が報道されるかでしょう。そういう意味では「実況パワフルプロ野球」のeスポーツ大会をNPBが共催しているのは大きいですね。スポーツ紙が結果をニュースにしてくれますからね。今のeスポーツは、“打席数”を多くして、チャンスを作る機会を増やさないといけません。地方で頑張った人たちが脚光を浴びる時代が来ると思っています。(その3へ続く)
◇プロフィル はまむら・ひろかず=1961年生まれ。1986年にゲーム情報誌「ファミコン通信」(現・週刊ファミ通)の創刊から携わる。エンターブレイン社長、カドカワ取締役を経て、新会社「Gzブレイン」の社長に就任。今年11月でGzブレインの会長を退任し、親会社カドカワのデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーへ就任した。「ファミ通」グループ代表も兼務する。
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