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モンスターハンター:ワールド:1000万本突破ゲーム作り出した経営的視点 カプコン辻本春弘社長に聞く

ゲーム
カプコンの辻本春弘社長

 カプコンの人気ゲーム「モンスターハンター:ワールド」の世界累計出荷数が2018年に1000万本を突破したことは、苦戦傾向にあった日本のゲーム業界の明るい材料として業界でも話題となった。なぜカプコンは世界的ヒットという成功をつかんだのか。同社の辻本春弘社長に経営面からの話を聞いた。

 ◇

 ――「モンスターハンター」シリーズは、携帯ゲーム機で好調だったが、据え置き型ゲーム機への展開を決断した理由は。

 まずはグローバルで「モンスターハンター」シリーズが認知されてきたのが大きい。海外ファンのコミュニティーも強かった。さらに携帯ゲーム機での表現は限界に来ていて、販売実績が大きく伸びていたわけではない。「グローバルで成功させる」ことが次のミッションだった。最高スペックで遊んでもらうため、PS4とXboxOneに、PCという据え置き型ゲーム機のプラットフォームも選択した。

 ――コストのかかる据え置き型ゲーム機で出すのは、勇気のいる決断だ。

 据え置き型ゲーム機のソフトで、複数人数で敵を倒すタイプのゲームが世界で人気という背景があった。海外は、据え置き型ゲーム機とPCがメインの市場になるから、世界的な成長性を考えると、どうしてもそこで勝負する必要性があった。据え置き型での展開は、開発チームからの提案もあった。

 ――開発チームの企画とはいえ、経営的には簡単に承認できるわけではない。「成功できる」と予測した根拠があるはずだが。

 もちろん、携帯ゲーム機から据え置き型ゲーム機に変えて、ユーザーに受け入れられない危険性はあった。しかし、開発チームは、据え置き型ゲーム機でしかできない表現をしてくれて、『世界で勝負できるタイトル』と判断した。我々もこれまで培った経験があり、(経営の)ルールを持っている。どういう選択をして、金額と期間をかけて成果物(ソフト)を出すかをずっと検証している。

 ――「ワールド」の手応えを感じたのは。

 まず、開発チームが試作ゲームを作って、それを検証した。モンスター同士が戦い、地形を活用した狩りの戦略があり、(シリーズで弱点だった)エリア移動のロード時間もない。今までになかったゲームの世界観があり、それが完成するのであれば(商品的な)インパクトは高いと思った。

 ――最初の計画数は。

 数は言えないが、「バイオハザード7」がベンチマークになると判断していた。PS4とXboxOne、PCで新作を同時期に出した初めての例だからだ。ただ1000万本の販売は、海外のゲーム会社も達成していたわけで、我々も「1000万本のゲームを作らないといけない」という考えは持っていた。これまでは、1000万本を売る市場があるのに、我々が提供できていなかっただけのことだ。

 ――半年で1000万本は驚異的だ。

 1000万本はインパクトのある数字だが、もっと売れてもいいと思っている。そこに甘んじることはない。PS4やPCの普及した市場規模を考えるとまだまだ。「ワールド」をまだ遊んでいないユーザーがいるということは、興味を持ってもらうために改善の余地があるということ。そこを諦めることはビジネスとしておかしい。

 ――ゲームだけでなく、映画も公開すると発表した。

 我々の進めるワンコンテンツ・マルチユース(一つのコンテンツを使った多面展開)は、継続が大事だ。「モンスターハンター」を聞いたことがある……という人には、ゲームを手に取るのは、やはり障壁が高い。そこで映画をやっていたら「行ってみようか」となりやすい。映画を見た人の10分の1でも「ゲームをやってみようかな」と思ってくれたら。「モンスターハンター」の知名度が上がると、ビジネスの展開もやりやすくなる。

 ――スマホゲームでカプコンは「ワールド」のようなヒット作が出ていない。

 スマホは世界で遊ばれている“ゲーム機”なので、そこはやらないといけないので、取り組んではいる。ゲーム会社は、いろいろなハード向けに開発するが、おのずと最適な開発のバランスがある。うまくいけば(予算を)増額して対応する。スマホゲームに力を入れないといけないのは事実だが、ただやみくもに投資をするとばくちになる。一歩一歩、実績を上げながら前に進んでいく。

 ――足元を見ることが大事と。

 ゲームのコンテンツを、付加価値の高いものに成長させていくことが大事。これを怠ると全ての事業が壊滅する。昔、携帯ゲーム機のニンテンドーDSが大ヒットした時も、我々はDS(向け)ばかりにはしなかった。(コストのかかる)据え置き型ゲーム機にも踏ん張って対応しないといけない。世界の競争から一度離脱すると、なかなか戻れなくなってしまう。

 ただ、世の中にはさまざまな産業があるが、ゲーム業界のような可能性がある産業はそんなにないと思っている。ゲームは、コンテンツの中でもキラーで、皆から注目されており、ビジネスとして活用していきたい。(カプコンと)一緒にやりたいという話は、他社からたくさん来ます。

つじもと・はるひろ=1964年、大阪府生まれ。大学時代にアルバイトとしてカプコンで働き始め、87年に同社入社。2007年に創業者の父・憲三氏の後を継ぎ社長に就任した。

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