清原果耶:注目の若手女優を救った山田孝之の言葉 「芝居に集中できる現場だった」と感謝も

インタビューに応じた清原果耶さん
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インタビューに応じた清原果耶さん

 俳優の山田孝之さんがプロデューサーに専念した映画「デイアンドナイト」(藤井道人監督)で、約500人の中からオーディションでヒロインの奈々役を勝ち取った清原果耶さん。昨年、NHKの連続ドラマ「透明なゆりかご」で初主演を務めるなど注目の若手女優だ。そんな清原さんが「最後までつかめなかった」と語っていた難役を、どのように形作っていったのだろうか……。

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 ◇どこから手を付けていいのか全く分からなかった

 清原さんが演じた奈々は、児童養護施設で暮らす女の子。「人間の善と悪」というテーマの下、自殺した父の復讐(ふくしゅう)へと駆り立てられる主人公・明石(阿部進之介さん)や、孤児たちのためなら犯罪も厭(いと)わない養護施設のオーナー北村(安藤政信さん)らと、微妙な距離感で対峙(たいじ)する役柄だ。
 
 以前のインタビューで「役と向き合っている時間が幸せ」と話していた清原さん。奈々という役は、大いなるチャレンジになったのではないだろうか。「奈々という役を作ろうと考えた時、どこから手を付けていいのか全く分からなかった。できることといえば、いただいた台本をしっかり読み込んで現場に行くことぐらい」と悩み抜いた胸の内を明かす。

 清原さんは「役を自分の中に落とし込んで理解していく上で、せりふを読んでいて『この子はこんな言葉は言わないのではないか』と感じた時は、しっかり疑問を投げ掛けるタイプ」とも語っていた。この作品では、せりふに違和感を感じたことがほとんどなかったという。

 ◇山田孝之は「気負わず素直に表現してもらえればいい」と…

 ラストに近い場面で、台本にはないシーンを追加しようというプランが浮かび上がったことも。藤井監督、山田プロデューサーらスタッフとじっくりとディスカッションをし、いろいろなアイデアを出し合い、「何が正解か分からない」中、妥協することなく突き詰めていったという。

 最後まで奈々という役をつかめなかったという清原さんは、撮影期間中に対談した山田プロデューサーの言葉で救われたといい、「私が悩んでいる時、『気負わず素直に表現してもらえればいい。演じている清原さんは奈々にしか見えないから』という言葉を掛けていただきました」と告白。「そこから不安な気持ちは取り除かれ、最後までお芝居に集中できたんです」と明かす。

 ◇素顔は「すごく負けず嫌い」 オーディションでは「自分を追い詰めて」 

 清原さんは、役を射止めたオーディションでのことを「台本の一部分のシーンを渡され、お芝居をして、質疑応答、というオーソドックスなものでした」と振り返る。山田さんは「圧倒的な表現力にほれ込んだ」と才能を評価していたという。清原さんが芸能界入りしたのも、現在の所属事務所が行った新人発掘イベント「アミューズオーディションフェス2014」で、応募者3万人超の中からグランプリを獲得したことがきっかけだった。

 「オーディションに臨む時は、自分を追い詰めて、役の魅力をどうやったら出せるかということに向き合っています。先のことは考えず、ただ必死にやるだけです。それでももちろん、落ちることはたくさんあります。私はすごく負けず嫌いなので、落ちたら凹みますし、すごく泣きます。でも泣いていても何も変わらないので、次に進むために前を向きます。その切り替えはできる方だと思います」

 ◇みずみずしい歌声披露も レコーディングで「悔しさや疑問がとめどなく」

 劇中の演技はもちろんだが、今回は「RADWIMPS」の野田洋次郎さんが作詞・作曲した主題歌「気まぐれ雲」で歌唱を担当し、みずみずしい歌声を披露していることも話題。「まさか自分が出演作品の主題歌を歌わせていただく機会があるなんて思っていなかったので、単純にうれしかった」と笑顔を見せるが、レコーディング当日は、自身がイメージしていた声を出せず、すごく落ち込んでしまったという。

 それでも「歌うことや音楽はすごく好きなので『なんでうまくいかないんだろう』という悔しさや疑問がとめどなく湧いてきて、いろいろな感情を知ることができた一日でした」と前を向く。

 芝居だけではなく、歌うことでもさまざまな感情の動きがあったという本作。「人間の善と悪」という非常に抽象的かつ難解なテーマが描かれているが「この作品に出てくるキャラクターたちは、みな自分の行動が正義だと信じ、奥底にある気持ちをリアルにさらけ出しています。私はまだ、善悪を決められるほどの人生経験はありませんが、ぜひ同世代の人々にも見ていただき、何かを感じてほしい」と訴えかけていた。(磯部正和/フリーライター)

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