インハンド:山Pのロボットハンドは準備に1年 プロデューサーに聞く見せ方の工夫

連続ドラマ「インハンド」第3話の場面写真 (C)TBS
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連続ドラマ「インハンド」第3話の場面写真 (C)TBS

 俳優の山下智久さん主演の連続ドラマ「インハンド」(TBS系、金曜午後10時)。主人公の紐倉哲(ひもくら・てつ、山下さん)が、右腕に黒いロボットハンドのような義手を装着した天才科学者という設定の異色のドラマで、山下さんの演技に自然に溶け込んだロボットハンドが注目されている。また寄生虫や病気感染といった、映像化が難しくともすればシリアスになる題材にも関わらず「重くなりすぎず、軽くなりすぎない」という声も上がっている。同ドラマを手がける浅野敦也プロデューサーに、ロボットハンドへのこだわり、昆虫や寄生虫などの見せ方の工夫を聞いた。

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 ◇高クオリティーなロボットハンド 準備期間は…

 紐倉は、人嫌いでドS、変人で、巨大な植物園を改造した自宅兼研究室に引きこもり、好きな寄生虫の研究をしているというキャラクター。次々と巻き起こる難事件を、元医者で助手の高家春馬(濱田岳さん)、クールでやり手な美人官僚の牧野巴(まきの・ともえ、菜々緒さん)と共に、科学的な方法で鮮やかに解決していく。

 紐倉のロボットハンドには、SNSでは「見た目も音も存在感あった!」という声が上がったほか、山下さんがロボットハンドで少年の手を握ったり、頭をポンとなでたりする演技が注目され、「頭ポンポン。指先の動きと音、命が通ってる気がする」「なでられたい!」「『ロボットハンドだから君に触れることができる…』ってとこ良かったな……」「時々見せるロボットハンドの所作がとても可愛い」と評判だ。

 見た目も精巧なロボットハンドは「(山下さん)本人がはめなきゃいけないので、手袋みたいなクオリティーではだめ。ロボットハンドだけはものすごく時間がかかるんだろうなと思ったので、準備は昨年の春からやっていた」と、準備に約1年間かけたと明かす。

 ドラマのようなロボットハンドを実際に使う人は「日本にはあんまりいらっしゃらなかった。何とか(使用者を)取材して、プロトタイプを作った」と苦労もあったといい、山下さんの手に合うように「ミリ単位で作った。フィッティングも何度もやってギリギリでした」と撮影直前に完成したという。山下さんが腕にはめるタイプとは別に、指先の動きを撮影するために作られたものもある。効果音にもこだわっているといい、浅野プロデューサーは「音が紐倉の感情表現にも使われて、演技の面白さになっているなと思っています」と自信を見せている。

 ◇虫は可愛いアニメで表現 受け入れやすい見せ方とは

 ドラマは、朱戸アオさんがマンガ誌「イブニング」(講談社)で連載中の同名マンガが原作。原作者と打ち合わせを重ねてアイデアを共有しながら、ドラマならではのオリジナリティーを加えている。

 「身近にいる生物と共に暮らしていかないといけない、というのが大きなテーマ」といい、「(紐倉をはじめ)研究者は虫を『セクシー』と言うんですが(笑い)、たぶん7、8割の視聴者はセクシーとは思わない。でもこのドラマでは、虫や病原菌などの存在を知ることが大事だと思う」と力を込める。病気を媒介する寄生虫や病原菌などは、アニメーションで可愛らしく分かりやすく表現することで「(視聴者に)受け入れてもらいやすくした」と言いながらも、「あんなにゆるキャラみたいになるとは思わなかったです」と笑った。

 ドラマ化に当たって、サイエンスを深掘りするハードボイルドな世界観があるマンガとは別に「最後にスカッとする、人を救うような部分を意識した。通常の医療ものなら命を救う物語、刑事ものなら事件を解決する物語になる。僕らは心を救う物語にしたい」と熱い思いがある。異色のドラマの今後の展開にも注目だ。

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