矢本悠馬:ブレークの実感「いまだゼロ」 目指す“高み”は令和で「時代を代表する役者に」

「映画 賭ケグルイ」に木渡潤役で出演している矢本悠馬さん
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「映画 賭ケグルイ」に木渡潤役で出演している矢本悠馬さん

 人気マンガを実写化した連続ドラマ「賭ケグルイ」(MBS・TBS系)シリーズの劇場版「映画 賭ケグルイ」(英勉=はなぶさ・つとむ=監督)に出演している矢本悠馬さん。テレビドラマ第1期に続き、ギラギラとした“傍若無人キャラ”の木渡潤として再び大暴れしている。「『賭ケグルイ』って出てくるキャラクターがお祭りみたいに戦っている感じがあって。現場も一人一人の役者が『自分が一番目立つぞ』みたいな、みんなで芝居で競争して、そのエネルギーが束になって作品の勢いになっている気がしていて。そこが魅力になっている」と話す矢本さん。役のことはもちろん、ブレークの実感「いまだゼロ」という俳優としての現状や目指している“高み”について語ってもらった。

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 ◇今度は“芽亜里”森川葵とタッグ コンビ芝居は「相手のことばかりを考えている」

 「賭ケグルイ」は、マンガ誌「月刊ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)で2014年3月から連載中の河本ほむらさん作、尚村透さん画のマンガ。勉強や運動ではなく駆け引き、読心術、勝負強さなどギャンブルの強さがすべてを決める私立百花王学園を舞台に、謎多き転校生・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)の登場で学園の階級制度に異変が起こる……というストーリー。浜辺美波さん主演で18年にテレビドラマ化された。

 劇場版では、生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり、池田エライザさん)と二年華組・蛇喰夢子(浜辺さん)との勝負に期待が高まる中、学園内では“非ギャンブル、生徒会への不服従”を掲げる白装束集団「ヴィレッジ」が台頭し、生徒会との対立が深まる。ヴィレッジ解体と夢子潰しをたくらむ生徒会は、全校生徒をタッグで強制参加させる「生徒代表指名選挙」の開催を宣言する……。矢本さん演じる木渡は、森川葵さん扮(ふん)する早乙女芽亜里(さおとめ・めあり)とタッグを組んで「生徒代表指名選挙」に参戦。矢本さんと森川さんは劇中で見事なコンビ芝居(芸)を披露している。

 矢本さんでコンビ芝居といえば、昨年10月期に放送された日本テレビ系の連続ドラマ「今日から俺は!!(今日俺)」における大賀さんとの“今井&谷川”を思い出すファンも多いだろう。今回の“木渡&芽亜里”も負けず劣らず、一つの芸として作品の大きな見どころにもなっている。

 矢本さんは「すごく葵ちゃんのことを信頼しているし、前回(ドラマ1期)も一緒に芝居をしていて、作品のノリもつかんでいるので、コンビ芸のところのストレスや不安は全くなかったですね。今まで一人で“ファンタジスタ”としてやってきたので、実写版としての面白みを共有できて、さらに勢いがついて、さらに演技が良くなった気がしましたね」と振り返る。

 また、矢本さんは「こんな感じでも、相手がやりやすいように心がけてはいるんですよ」とさりげなくアピールすると、「間とかを踏み外さないように、迷惑をかけないようにって意識はしてしますし、相手役を生かすことが自分のためになるって思っているので。相手が面白くなっていれば、自分もそれに見合った仕事をしているんだなって評価を自分で自分に下せるので、“相手のことばかりを考えている”と思いますね」とコンビ芝居における考えを明かしていた。

 ◇傍若無人な木渡は「ピュアな悪魔」 自由ゆえの難しさも…

 そんな矢本さんの演技に対する真摯(しんし)な思いや気遣いが、いい意味で全く伝わってこないくらい劇中では自由に、自分の欲求に忠実に暴れ回っているのが、実写「賭ケグルイ」の木渡だ。矢本さんいわく「ピュアな悪魔」で、「自分に嫌なことがあれば暴れるし、いいことがあれば調子にも乗る。罪悪感がないというところをピュアに演じようとした部分はありますね。素直に生きている感じを、子供っぽさをさらに足したというか」と話す。

 一方で「実写化にあたって、木渡として自由でいるって設定を自分でプラスしたとき、表現方法があまりにも膨大で……。何を選択をすればこのキャラクターが生きて、作品のためになって、さらに面白くなるのかっていう、そこを選択する作業が一番、大変でしたね。いろいろと思いつく中、このシーンにはどれが一番、当てはまるのか、どれが他の役者がやらない方法なのかって、そこをチョイスするのは難しかったですね」と苦労も明かす。

 さらには「ほかの役のときは1本、筋があったら、それを“壊す”ってことはたまにしますけど、なるべくそこから離れてキャラがブレることはしないようにって意識はする。でも今回は、自ら自由というものを木渡に課して、何もかもを取っ払ってしまっていたので、逆に難しかったですね」としみじみと思い返していた。

 ◇役者としてひそかな野望「社会現象になれたらいいなって思いますね」

 それでも「木渡は演じていて可愛いなって思った」と愛着を寄せている矢本さん。昨年、大きな反響があったNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」のブッチャー役で感じたという「不完全燃焼さ」も今回は皆無。逆に「ドラマ1期で木渡として燃え尽きて、灰も残らないくらいやったので、続編ってなったとき、燃えかすすら残っていなかった」というくらい木渡役には手応えを感じているようだ。

 大河ドラマ「おんな城主 直虎」や広瀬すずさん主演の映画「ちはやふる」シリーズ、この実写版「賭ケグルイ」に朝ドラ「半分、青い。」、「今日俺」など近年、話題作への出演が続き、今後も作品が途切れない様子の矢本さんだが、ブレークの実感は「いまだゼロ」だという。

 「ゼロですね。いまだゼロ。こういうこと言うとアレですけど、全然、一個も売れてないなって。望みが高いのかなんなのか自分でもよく分からないんですけど、まだまだ、全然って感じですね」と現状を認識する。

 さらに「社会現象になれたらいいなって思いますね」とちょっぴり照れつつ告白。「自分が尊敬している人もカリスマが多いから、同じように死んだ後も、その時代を代表する役者として名前が残る、みたいな。この仕事をやっている限りはそこを、平成は終わってしまうので令和で目指しますよ(笑い)。令和で言ったら誰と誰と矢本悠馬って、何人か名前が挙がる中に、自分が入っていけたら。多分無理なんですけど、目指すのはタダですので」とひそかな野望を語っていた。

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