名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
人気スマートフォン用ゲームが原作の劇場版アニメ「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」が6月14日公開される。総監督を務めるのが「マクロス」シリーズで知られる河森正治さんだ。プロデビュー40周年記念の展覧会「河森正治EXPO」が23日まで東京ドームシティ(東京都文京区)内のGallery AaMo(ギャラリー アーモ)で開催されている。河森総監督に、約40年の歩みや新作の裏側を聞いた。
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河森総監督は「マクロス」「アクエリオン」シリーズなどを手がけ、40年にわたってアニメシーンの第一線を走り続けてきた。監督、デザイン、演出、脚本……とマルチにその才能を発揮してきた40年を「激動の時代」と振り返る。
「40年の間で時代の変化の波を何度も受けました。高度成長期に育ち、バブルの崩壊、インターネットの普及……と激動の時代でした。アニメも手描きからデジタルになりました。常に同じやり方ではうまくいかないですし、アプローチを変えていかないといけなかった。アプローチを変えるのは好きなんですけどね」
アプローチを変える中で、ブレないものもある。それは「デザインマインド」だ。河森総監督のデザインといえば「マクロス」シリーズの可変戦闘機バルキリーの複雑な変形機構が有名だが、演出、脚本などにもデザインの技法が取り入れられているという。
「表面は変えてアジャストしようとしていますが、核は変わっていないんです。自分はデザイナーとしての教育を受けていますが、演出や脚本を習ったことがありません。デザイナーのマインド、技法でやっているんですね。デザインマインドは何にでも応用が利く。便利なものを最初に勉強できたんです。目に見えているものだけでなく、見えない新しいコンセプト、欲求、心の動きに形を与える。デザインは、造形以外にも設計図になることがあります。音楽、せりふをどのようにはめていくのかもデザインとして考えています」
河森総監督はゲーム「誰ガ為のアルケミスト」のオープニングを手がけたこともあり、今回の劇場版アニメも手がけることになった。アニメは、引っ込み思案な女子高生・カスミが、異世界バベル大陸へ召喚され、幾多の困難を乗り越える。カスミはアニメのオリジナルキャラクターで、オリジナルストーリーが展開される。原作のストーリーが膨大にあるが、なぜオリジナルストーリーにしたのだろうか?
「ゲームのシナリオ、アニメとしてまともに作ると数十時間になります。そのままアニメにすると、ダイジェストのようになる恐れがありました。ゲームとして完成しているので、世界観、物語の核を使わせていただいて、現代日本の女の子がその世界に入ることで、ゲームを知らない人も楽しめるようにしたかったところもあります。ゲームにある錬金術、誰かのため……というコンセプトがすごくいいんですね。私自身も心の錬金術に興味がありました。現代日本の女の子が異世界に来た時、ゲームのキャラクターとの間でどんな反応があるのか? それが一つの錬金術になると思ったんです」
カスミは自信の無い普通の女子高生だが、異世界で「本当の強さ」を知る。異世界でも何もかもがうまくいくわけでもなく、苦労しながら、成長していくことになる。
「知人に心理学関係の方が多く、自信が無いから何もできない子が増えているという話を聞きました。空気読めと言われ過ぎて、気を使い過ぎているのかもしれません。物事がインスタントになっている時代なので、あえて簡単にはいかないところを見せたかったところもあります」
河森総監督がこれまで手がけてきたのはオリジナルアニメばかりで、実は、原作のあるアニメは今回が初めてだった。「原作のゲームはエピソードが生み出され続けていて、ものすごい量になっています。設定が複雑化していきますし、このスピード感が刺激になります」と話す。
「誰ガ為のアルケミスト」は河森総監督にとって挑戦だった。これに刺激を受け、また新しい表現に挑戦していくのだろう。
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