アニメ質問状:「MIX」 日髙のり子「タッチ」の雰囲気を伝える 内田真礼の姉弟の共演の裏側も

「MIX」の一場面(C)あだち充・小学館/読売テレビ・ShoPro
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「MIX」の一場面(C)あだち充・小学館/読売テレビ・ShoPro

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、あだち充さんの野球マンガ「タッチ」の続編的マンガが原作のテレビアニメ「MIX」(読売テレビ・日本テレビ系)です。読売テレビ編成局アニメーション部の永井幸治チーフプロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

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 ――作品の概要と魅力は?

 舞台は「タッチ」と同じ明青学園。「タッチ」の主人公・上杉達也の伝説から約30年、今、運命の兄弟が物語の扉を開く……。親の再婚で、血はつながらないが誕生日が同じ、双子(?)の兄弟となった立花投馬と立花走一郎は、明青学園高等部に進学し、野球部に所属する。走一郎は捕手、打者として活躍。投馬は人並み外れた投手の才能を隠し持ち、1年生エースとしてマウンドに立つ。走一郎の実妹で、投馬とは血のつながらない義理の妹・立花音美は中学3年で人気者。投馬や走一郎との関係が気なる監督の娘・大山春夏や、音美を追いかける西村拓味、立花三兄弟の周囲は何やら騒がしい。立花兄弟は、甲子園の土を踏むことができるのか……。

 ――アニメにするときに心がけたことは?

 企画の段階ではかなり監督と話し合って、試行錯誤がありました。「タッチ」のシーンの回想や、複雑な家族関係を分かりやすくしてほしいとか。それらを全部取り込んで、うまく演出してくれた監督の力で、あだち充先生の原作の雰囲気を表現してくれています。後は、日髙のり子さんが「タッチ」での雰囲気を皆さんに伝えてくれて、それがいい雰囲気につながっているんだと思います。

 日髙さんには何らかの形で出演いただきたいと思っていました。第1話の冒頭は「タッチ」の上杉達也が甲子園決勝戦で最後の1球を投げ優勝するところから始めたいと思っていたので、さらに日髙さんの声で「上杉達也が帰ってくる……」というPRを流せれば、ワクワクするという気持ちから、この形になりました。

 ――内田雄馬さんが走一郎、雄馬さんの実姉・真礼さんが走一郎の妹・音美を演じていることも話題です。

 内田姉弟は、立花家の3人の中で、走一郎と音美が血がつながっているのを、実際の姉弟で雰囲気を出してもらいやすいだろうという意図からです。そもそも2人が役者として魅力があるから実現できたことなんですが。

 ――作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 企画の段階でいろいろ思い描いて、実際いろいろな事情で思ったようにいかないことが多いのですが、「MIX」はほぼ完璧、いや完璧以上にいい作品になっています。映像も音楽もキャストも主題歌も。「いとうあさこを探せ」の企画や「タッチ」の主題歌を流すのも、全てうまくいって。これは本当にうれしいことです。

 楽しいことをやっているので、大変なことはないですね。監督や実際の制作作業をしているスタッフは日々大変なことがあると思いますが、そんな大変なことも、でき上がったものが満足いくもので、たくさんの人に見ていただけると、喜びに変わるんだと思います。

 ――今後の見どころを教えてください。

 現実の世界でも世の中、夏の甲子園の時期ですね。日本中で甲子園を目指して、数々のドラマが生まれている時期だと思いますが、「MIX」の世界も同様に約30年ぶりに甲子園出場を目指して、明青学園が戦います。立ちはだかるプロ注目のエースや、「タッチ」でもライバル校だった元須見工の健丈高校、「タッチ」で上杉達也のライバル(野球でも恋愛でも)だった西村勇の息子・拓味たちが、明青学園の前に立ちはだかります。1年生エースと正捕手となった立花兄弟がどう立ち向かっていくのか? そして立花兄弟の周りにいる兄弟の関係や恋愛関係に注目してください。

 ――ファンへ一言お願いします。

 「タッチ」を知っている方も知らない方もあだち充先生独特の思わせぶりな展開で、青春のいろいろなドキドキを楽しんでください。青春ど真ん中の方も、ずっと前に青春を満喫した方も、作品の中のどこかに自分のようなキャラクターを見付けられるんじゃないかと思います。そのキャラクターに感情移入して、ドキドキ、ワクワク、ニヤニヤして楽しんでいただければと思います。

 読売テレビ 編成局アニメーション部チーフプロデューサー 永井幸治

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