宮野真守:人気声優の学生時代のある“選択” 山崎賢人らの「真っすぐ」な演技に刺激

劇場版アニメ「二ノ国」で声優を務める宮野真守さん
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劇場版アニメ「二ノ国」で声優を務める宮野真守さん

 ゲーム「妖怪ウォッチ」や「レイトン教授」シリーズで知られるレベルファイブの人気ゲーム「二ノ国」の世界観を基にアニメーション化した劇場版アニメ「二ノ国」(百瀬義行監督)が8月23日に公開された。同作で主人公ユウたちが迷い込む魔法世界・二ノ国にあるエスタバニア王国の魔法宰相ヨキの声優を務めるのが宮野真守さんだ。同作では、ユウを演じる俳優の山崎賢人さんをはじめ、新田真剣佑さん、永野芽郁さんがメインキャラクターの声優を務めており、宮野さんは「お三方の表現は本当に真っすぐで、とても輝いていた。全力で命を懸けて、燃やしてくださっている3人のお芝居があったからこそ、僕らもより自分の役を追求できた」と語る。本作の見どころや思いを聞いた。

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 ◇「二ノ国」出演への喜び 「声優人生の中でも一つの夢」

 「二ノ国」は、レベルファイブの手がける人気RPGシリーズ。劇場版アニメは、高校生のユウと親友のハルが幼なじみのコトナを巡る事件をきっかけに現実の世界“一の国”と、命のつながりを持つ魔法世界“二ノ国”の二つの世界を行き来する……というストーリー。製作総指揮と原案・脚本を同社の日野晃博社長が担当する。スタジオジブリの“鬼才”と言われ、「火垂るの墓」の原画担当、「もののけ姫」のCG制作などを手掛けてきた百瀬さんが監督を務める。音楽は久石譲さんが手がけ、OLMが製作する。

 山崎さんが主人公ユウ、新田さんがユウの親友のハル、永野さんがユウとハルの幼なじみのコトナと二ノ国にあるエスタバニア王国の姫・アーシャの2役の声優を務める。坂本真綾さん、山寺宏一さん、梶裕貴さん、津田健次郎さんらも声優として出演。

 宮野さんは、「二ノ国」が劇場版アニメになるという話を聞いた時、「こんなに劇場アニメにぴったりの世界観、質感をもった作品が、ここでついに映画化なんだということに驚きと感動を覚えました。そこに僕も参加できるというのが、非常にうれしかった」と話す。

 続けて、スタジオジブリ出身の百瀬監督、音楽は久石さんという布陣の本作に「やはりこのルック(ビジュアル)で、この世界観のキャラクターを演じられるというのは、非常に稀有(けう)だし、声優人生の中でも一つの夢じゃないですか。とてもすてきなキャラクターを担当させていただいて、そこに声をあてる喜びというのは非常にありましたね。なので、このキャラクターをどう生き生きと演じられるかということにワクワクしていました」と思いを語る。

 ◇「空気を動かした」山崎賢人、新田真剣佑、永野芽郁の演技

 本作には「命を選べ。」というキャッチコピーが掲げられている。二ノ国には、ユウたちが暮らす現実世界・一ノ国と命がつながっている“もう一人の自分”がおり、一ノ国で死の呪いをかけられてしまったコトナは、二ノ国のアーシャにも影響を及ぼしていた。アーシャ姫を守りたいユウと、コトナを助けたいハルは“究極の選択”を迫られる。

 宮野さんは、「このキャッチコピーを掲げるからこそ、かなり攻め込んだ内容になっていて、その命の重みをどう捉えるかということが、少年たちのリアルな心のやりとりの中で描かれていく。決してきれい事ではなく、人を思うとはどういうことなのかというところを、かなり深く深く描いている」と説明し、「ファンタジーの不思議な空気感の中にある、リアルな命のやりとりにはっとさせられるんじゃないか」と話す。

 今回、宮野さんは、山崎さん、新田さん、永野さんの収録した声を聞きながらアフレコに臨んだという。3人の演技について「リアルな命のやりとりのはかなさや輝きを感じるには、主人公3人の真っすぐさみたいなものが、非常に重要になってくるところで、お三方の表現は本当に真っすぐで、とても輝いていた。やはり真っすぐな思いは、周りの空気を動かすというか。だから、全力で命を懸けて、燃やしてくださっている3人のお芝居があったからこそ、僕らもより自分の役を追求できた」と刺激を受けたようだ。

 ◇高校時代の大事な選択とは…

 本作の重要なキーワードの一つとなっている「選択」。宮野さんは、学生時代のエピソードを聞かれ、自身がサッカー部に所属していた頃のエピソードを明かした。

 「その頃、もう劇団でも活動していたので、なかなか満足に部活に参加できなくて、仲間に迷惑をかけていたなと思う時もたくさんあったんです。部活の仲間は、部活以外でも本当にかけがえのない時間をたくさん過ごした仲間で、そんな彼らに迷惑をかけるなら、部活を辞めた方がいいのかなと思ったこともありました。それを顧問の先生に相談したら、『ここまでやったんだから最後までいろよ』と言ってくれて、僕はサッカー部に残ることを選んだんです」

 宮野さんは、それを「いい選択」だったと話す。「自分一人ではどうしようもない時に一歩を踏み出し、誰かからきっかけをもらって『選ぶ』というところに自分が立てる。いろいろ悩んだり、迷ったりすることもあると思うんですけど、何か踏み出すというのは大事なことなんだなと。その時もそうですし、常日ごろ、感じながら生きていますね」と思いを語った。

 最後に、「二ノ国」について「大事な存在に気付ける作品なのではないか」と宮野さん。「『命を選ぶ』とまではいかなくても、日常にあるいろいろな選択の中で、何を選ぶのが大事なのか、誰をどう思うことが大事なのか。そんな深い部分まで伝えてくれるようなストーリーになっています。重い表現やシリアスなやりとりも出てくるのですが、見てもらえたら、すてきな思いを持ち帰ってもらえるんじゃないかと思いますね」とアピールした。

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