上戸彩:環境の変化でたどり着いた“答え” 「子供に背中を見せられるような仕事を」

ディズニー映画「マレフィセント2」の日本語吹き替え版でオーロラ姫の声を担当する上戸彩さん
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ディズニー映画「マレフィセント2」の日本語吹き替え版でオーロラ姫の声を担当する上戸彩さん

 2014年に公開されたディズニー映画「マレフィセント」の続編「マレフィセント2」(ヨアヒム・ローニング監督、公開中)の日本語吹き替え版に出演している女優の上戸彩さん。続編は前作から数年後が舞台で、上戸さんは前作と同様に、マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリーさん)と真実の愛で結ばれたオーロラ姫(エル・ファニングさん)の声を担当している。今年7月に第2子を出産し、今作が復帰作となる上戸さん。5年前とは環境が大きく変化した今は「子供に背中を見せられるような仕事をしていたい」と力強く語る。上戸さんに母親としての思いや声優として作品に出演することへの思いなどを聞いた。

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 ◇復帰作への不安と喜び 「親として自慢」

 「マレフィセント」は1959年に公開されたディズニーアニメ「眠れる森の美女」に登場するヴィラン(悪役)、マレフィセントの視点で描くファンタジー作。続編は前作から数年後が舞台で、穏やかに暮らすマレフィセントとオーロラ姫の絆が引き裂かれ、マレフィセントを再び邪悪な存在へと連れ戻そうとする敵が忍び寄る。オーロラ姫の婚礼の日にかけられた“新たなる呪い”を巡り、マレフィセントの“究極の愛”が試される……という内容。
 
 今年7月に第2子を出産し、今作が復帰作となる。上戸さんは「体調の不安もあったのですが……」と言いつつ、「ただ、一人目の子供を産んだときも『ズートピア』(2016年)が復帰作。ディズニー作品で復帰できるということは親としてはめちゃくちゃ自慢なので(笑い)。やるっきゃないというか、ありがたいなという思いでした」と喜んでいる。

 「今も『オーロラ姫の仕事行ってくるね』と言うと(長女が)すごく喜ぶし、自慢です(笑い)。最近は、塗り絵をしていてオーロラ姫のページになると、2人で興奮しています。『ここはママが塗っていいよ』と言われて、一生懸命描いたり……」と家庭でのほほ笑ましいひとコマを明かす。

 前作公開当時は、まだ出産、育児は経験していなかった。それから5年。環境が変化したことで、表現者としての意識にも変化はあったのだろうか。「いろいろなお話をいただく中で『自分がその役をやりたいか、やりたくないか』というシンプルな考え方にたどり着いて。だから(映画の)『昼顔』もやらせていただきました。自分が『やりたい』と貫いているものに子供がついてきてくれるような、背中を見せられるような仕事をしていたいなと思います」。

 ◇「ズートピア」の現場で「恥は全部捨てた」

 これまでにも吹き替え、アニメなどでアフレコを経験してきた上戸さんだが、大きく影響を受けたのは「ズートピア」での経験だという。「『ズートピア』のときは、コテンパンでしたね……」と苦笑し、「でも、言い回しだったり声の使い方だったり、学ぶことも多かったですね。そこで恥は全部捨てた気がします」とほほ笑みながら語る。

 また、前作でのアフレコ経験も生きた。前作では、実写でオーロラ姫を演じたファニングさんの声に引っ張られ「声を低めに出そうとか、大人っぽくしようとか、前作では声を探す作業があった」というが、「そのせいか、今作はすごくスムーズに割り切って録れました。オーロラ姫っぽいキラキラ感、透明感に声を持っていって。オーロラ姫も前作より年齢も重ねているし、結婚するというお話でせりふの内容も大人っぽくなっているぶん、大人っぽく感じてもらえたらなと思います」と手応えを明かす。

 ◇声の仕事は“エゴサーチ”が楽しい

 これまで女優として活躍しつつ、前作と今作「マレフィセント2」をはじめ、「ズートピア」、「名探偵コナン ゼロの執行人」(2018年)……とさまざまな作品でアフレコを経験してきた上戸さん。声優として作品に携わる面白さをどこに感じているのか。上戸さんは「自分が表に出ている作品でも、声だけの作品でも、喜びは同じぐらいなんです。たとえば、作品が(動員)ランキングで上の方に入っていたらどちらも同じぐらいうれしい」と言う。

 「アフレコは、せりふを覚えるっていう、私が女優の仕事をする中で一番てこずるところがないので、その分、楽しくできます。以前は恥ずかしさや不安があったけど、今はブースで失敗することをそれほど恥ずかしいとは思わなくなってきました」と上戸さんは声の仕事の楽しさを語る。

 声の仕事の楽しさは、作品の公開後にもあるという。それは“エゴサーチ”。実写の出演作でエゴサーチは「見るのがちょっと怖い」というが、声の仕事の場合は「エゴサーチをしていて楽しい(笑い)」と上戸さん。「『みんなこう受け取ってくれるんだ』とか『そんなに褒めてくれるの?』とか、浮かれられるんです(笑い)。私の出ている作品は私のファンの方が見にいってくれるけど、これ(声の仕事)は私のファンじゃない方たちも見にいく。自分が出ていないのに、声だけで私の評価をしてくださる感じが、面白くて」と語る。

 特に、「マレフィセント」のような多くの動員が見込まれるディズニー作品では、そうした楽しみも大きい。上戸さんは「『マレフィセント』という作品の大きさがより分かる。ディズニー映画ですし、いろんな方が見てくださる」と改めて今作への出演の喜びを明かし、「作品が独り立ちしている感じが、見ていて楽しいです。褒められるとうれしい(笑い)」と笑顔で語った。

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