富野由悠季監督:劇場版「ガンダム Gのレコンギスタ」は「お父さんやお母さんは絶対分からない」 「お子さんたちには見せてやって」

「ガンダム Gのレコンギスタ」の劇場版の第1部「行け!コア・ファイター」の関西最速試写会に登場した富野由悠季総監督(C)創通・サンライズ
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「ガンダム Gのレコンギスタ」の劇場版の第1部「行け!コア・ファイター」の関西最速試写会に登場した富野由悠季総監督(C)創通・サンライズ

 アニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」の劇場版の第1部「行け!コア・ファイター」(11月29日公開)の関西最速試写会が10月27日、企画展「富野由悠季の世界」が開催中の兵庫県立美術館(神戸市中央区)で行われ、富野由悠季総監督が登場した。富野総監督はこれまで、同作について「子供に見てほしい」と発言しており、この日も「ガンダムファンのお父さんやお母さんは『G-レコ』は絶対分からないんだから見る必要はない。ただ、言っておきたいことがある。それは、お子さんたちには見せてやってほしい。『これはガンダムじゃないの?』って言うと、『うん、ガンダムじゃないらしいんだよね』って、だけど、とりあえず見ると面白いから見てみたらっていう薦め方はしていただきたいなって」と語った。

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 「ガンダム Gのレコンギスタ」は、「ガンダム」シリーズの35周年記念作品の一つとしてテレビアニメ版が2014年10月~15年3月に放送。地球のエネルギー源を宇宙よりもたらすキャピタル・タワーを守るキャピタル・ガードの候補生ベルリ・ゼナムの冒険を描いた。劇場版はテレビアニメ全26話に新たなカットを追加。全5部作として公開される。第1部の入場者プレゼントとして富野総監督が予告のために作った絵コンテを小冊子にした「劇場版『G-レコ I』予告複製絵コンテ」がプレゼントされることも発表された。

 ◇富野由悠季総監督のコメント

 今日の上映もまだ大画面とは言いがたいサイズですけれども、基本的に映像は、コンテを切っているときからなんですけれども、動く距離感みたいなことは絶えず意識しています。その場合の意識っていうのは当然ですけれども、スマホのような小さい画面ではなくて、大画面を想定しています。そしてそうした距離感がありますので、テレビサイズも、本当に申し訳ないんだけれども、13インチ以下では見てほしくないっていう気分は昔からありまして、「映画にしたい、映画にしたい」という気分を持っていた。ですから最低でも今日くらいのサイズでやってもらえれば大体、初期の予定通りに見えているだろうというのが予定の内です。

 僕も今日見るのが久しぶりで、自分でも予定外のこともあって、ベルリっていうのはこんなにも生真面目なキャラクターだったんだ、と思いました。つまり映像的な問題というのは大体予定通りなんだけれども、やはりキャラクターの造形の方がとても難しくて、自分ではこういうつもりでやっているんだけれども、それがちょっと違って見えてくるという意味で、難しさの方がはるかに大きいですね。ですから、あまり意識していなかったんだけれども「養いお母さん」をかなり好きな子なんだなということは今日、実を言うと新発見で、そういう意味での母、子の関係みたいなことが、この映画の尺で見えているっていうんでびっくりしたというのがあります。

 テレビの時にはそれを意識して、その部分を長く取っていたんだけれども、今回の劇場版ではそこを刈り込んでいる。それでもそういう瞬間が見えるということは、これはきっと役者の力だろうなという感じはしています。そういうところが、逆に言うと演出家の得をするところということもあります。

 常に試行錯誤をしていて、テレビ版の時は、完成したものを見て「ああ、これはまだ完成品じゃないんだな、だから作り直したい」と思った。そういう部分を手直ししていったときに、付け加えるべきものというのも見えてくる。それは役者さんもそうなんです。さらに役者さんだけでなく、アニメーター。このカットを説明してくれているアニメーターがやっぱりそれを意識して作画してくれているというようなことがあります。そういうものがやっぱり大画面だと発見できる、というようなこともあったりして、やっぱりそれはうれしいですね。

 取材で記者の方に「『G-レコ』が『ガンダム』でなかったらガンダムファンのお父さん、お母さんに言ってほしいことがあるんじゃないですか?」って言われたんです。「それはある」と。それはもうガンダムファンのお父さんやお母さんは『G-レコ』は絶対分からないんだから見る必要はない。ただ、言っておきたいことがある。それは、お子さんたちには見せてやってほしい。

 「これはガンダムじゃないの?」って言うと、「うん、ガンダムじゃないらしいんだよね」って、だけど、とりあえず見ると面白いから見てみたらっていう薦め方はしていただきたいなって。そして、お父さんとかお母さんとかが分からないことの問題っていうのをきっと「G-レコ」の中に見つけてきて、「う~ん」ってうなるはずだから、それだけでいいからそういう機会を与えてやってほしいなというふうに答えておきました。そういう意味ではだまされたと思って見てみたら、とりえず最後まではきっと見ることができる構成になっているつもりでいますので、その部分に関してはお子さんたちに伝えていただきたいなというのが僕のお願いです。

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