磯村勇斗:GANG PARADEと共演ミュージカルでホスト役 役作りの裏側語る

ミュージカル「プレイハウス」で主演を務めた磯村勇斗さん
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ミュージカル「プレイハウス」で主演を務めた磯村勇斗さん

 俳優の磯村勇斗さんと、アイドルグループ「GANG PARADE」が主演を務めたミュージカル「プレイハウス」が、11月30日にWOWOWで放送される。女優としても活躍する根本宗子さんが作・演出を担当。「GANG PARADE」と磯村さんが、風俗嬢とホストに扮(ふん)し、新宿歌舞伎町を舞台にした新感覚ミュージカルが繰り広げられる。磯村さん、根本さんに作品への思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇磯村勇斗 歌&ダンスの挑戦で「今後の俳優の道がまたちょっと変わった」

 ――最初に舞台の話を聞いたときはどう思いましたか?

 率直にうれしかったのですが、どういうミュージカルになるのか全く予想ができなかったので、そういった意味でも、自分がこの作品に参加することでどうなっていくのかなという不安もあったり、また根本さんとご一緒させていただけるっていう楽しみもあったり、いろいろな、複雑な心境でしたね。

 ――けいこ場の雰囲気は?

 GANG PARADEさんたちは今回初めてのお芝居ということで、真っすぐに食らいついていて、初めてで分からないながらも、一生懸命やっている姿をずっとけいこ場で見ていました。僕も芝居はやってきたけれども、もう一度新たな気持ちでしっかりお芝居に向き合っていかなきゃなと思うようにもなりました。あとは周りの個性的な俳優陣たちと日々けいこしていくと、アイデアがたくさん生まれてくるんですよね。ブルー(ブルー&スカイ)さんだったり猫背(猫背椿)さんだったり、やっていくごとに、面白いことをやってみたいという挑戦が毎日見られたので、非常に笑いある楽しいけいこだったんじゃないかなと思いますね。

 ――役作りで工夫したところは?

 ホストのナンバーワンの人たちの一日密着みたいな映像を見たり、実際に歌舞伎町の人気有名店のトップダンディーさんにお邪魔して、ナンバーワンの方にお会いしたりしました。ホストの接客や、普段どういうふうに生活しているかとか、女性の前と仲間たちの前、一人でいるときの素顔、どう自分の中で切り替えているのかみたいな話もできたので、自分の演じる聖夜という役の役作りに非常に生きたかなって思っていますね。実際に会って感じることができて、それが今回の舞台でも影響してるんじゃないかなと思っています。

 ――歌唱シーンはどのように挑みましたか?

 初めてミュージカルに挑戦させていただいて、人前で歌って踊るというのも、今回初だったので、本当にできるのかなという不安しかなかったですね。「Wake up Beat!」の少しのパートですけど。でも挑戦させていただけたことはよかったなと思います。やってるか、やってないかでは、今後の自分の俳優の道がまたちょっと変わったと思うので、今回、少しでしたが挑戦できたことはありがたいなと思っています。

 それがいいか悪いかは見てくださったお客さんが判断すればいいのですが、お客さんに見てもらう、届けるというところまでは自分では努力したつもりなので、あとはもうお客さんの判断に任せている感じですかね。今回はミュージカルっていうミュージカルではないので、感覚はミュージカルの感覚ではないですけど、新しいジャンルだったかなと思います。

 ――この作品のどんなところを楽しんでもらいたいですか?

 今回は根本さんが作り出した新しいジャンルのミュージカル。ライブでもなくミュージカルでもない新感覚のミュージカルになっているので、お芝居ももちろんですけれども、GANG PARADEさんの楽曲も楽しめる爽快なエンターテインメントになっています。舞台上では一緒に歌ったりコールとかできないですが、WOWOWをご覧の皆さんは声に出すことはできるので、一緒に何か口ずさんだり、盛り上がったりして見ていただきたいなと思いますね。とにかく楽しんで見ていただきたいです。

 ◇根本宗子 「演劇とライブの間」を表現 磯村勇斗、「GANG PARADE」の魅力も

 ――今回の設定に行き着いたのは?

 行き着いたというほど、あまり私の中で経緯がなくて。自分の中で、私は設定がすごく大事な作家ではなくて、あの女の子たちの会話を書くにあたって、女の子がたくさんいる中で一人一人のキャラが書きやすくて、なおかつ、GANG PARADEの普段の感じを入れられるという場所がやっぱり楽屋で。楽屋にいるときって、皆、普段ペチャクチャしゃべっているので、それに近い状況は何がいいかなということで、バックヤードものにしようっていうのはありました。

 その中でGANG PARADEの持っているカラーと、全員で風俗嬢の役をやるというのが、なかなか普通だとできないのですが、GANG PARADEはそれを快く引き受けてくれるグループだったので、それが最初のきっかけですかね。

 ――GANG PARADEの印象から役に反映しているものは?

 とてもあります。全員と一緒にご飯を食べて、結構な時間話を聞いたんですけど、すごくたくさん自分のことをしゃべってくれて。もちろん言いたくないことは言わなくていいし、人に言える範囲の話で最近あった嫌な話とか、どういう家で育ったとか、そういう話を聞かせてほしいみたいなことを言ったら、皆いろいろ教えてくれて、メモが追いつかないぐらいの量が来ました。

 その中で、そのままエピソードを書くということじゃなく、普段の当て書きの仕方も、その人が持ってる、その人が経験してきた感覚と近い何かを私が書いて、その時の気持ちに近い感情で演じてくれ、みたいな形で。今回は10人が初めてお芝居をするという結構チャレンジングな企画だったので、その時話してくれたエピソードの気持ちでちょっとここやってみて、みたいことをけいこで言いやすいように(台本を)書いていったという感じですかね。

 ――磯村さんの魅力、そして磯村さんが演じる聖夜の魅力は?

 磯村さん自身はすごくお芝居に対して真摯(しんし)な方で、一見ラブコメみたいな、ちょっとコメディーぽい舞台ですけど、シーンにポイントポイントで聖夜が出てくるので、ずっと出ているというよりは、そのポイントポイントでしっかり聖夜の情報をお客さんに出していくのはどうしたらいいかみたいなことを、けいこ終わりに話したりしてくださる方だったので、一緒に作るのはすごく楽しかったです。

 今とっても勢いがある俳優さんじゃないですか。やっぱり瞬発力がものすごいですよね。ここを変えてほしいとか、こういう印象をお客さんに持たせたいシーンだ、みたいなことを言ったときに、今までやってきたものを、割とパンって捨ててくれるというか。「じゃあこれでどうだ?」みたいに瞬時に変えていってくれる俳優さんだったので、けいこがタイトだったんですけど、磯村さんだからうまくいったなというのがあります。

 ――常に新しいことをやりたいという気持ちはどこから?

 私、あまり賞が欲しいとかいう欲がない人間なんですけど、評価される演劇、受賞する演劇となると、ちょっと普通の人からすると難しいような、硬派なものがもらう印象が強くなってきている気がしていて。そうではないのもあるかもしれないですけど、その中で、そもそも演劇は何でもやっていいはずで、別にせりふがないものを演劇と呼んでもいいので、「何でもやっていいはずだったじゃん」みたいなことを皆と確認するために、新しいことやっているというような気持ちが近年強いです。

 今回、こういう演目をやって、これも演劇だし、何でもやっていいはずですよっていうのを自分の中で忘れないように、新しいことをやってるというのが強いのかなと。それと演劇を見たことない人を劇場に呼びたいという気持ちが一番強いからかもしれないですね。演劇やっている人が見れば面白いけど、普通の人が見たら、何だろうなと思っちゃうみたいなものもやっぱりあるので、そうじゃないところでお客さんとのかけ橋になれたらいいなと思い、作っているものも多いですね。

 ――この作品をキーワードで表すと?

 やっぱり、ミュージカルではないですけど、私なりのミュージカル。私とGANG PARADEがやるとこうなったというものですけど、演劇とライブの間ですかね。私はこういうものを見たことがないので、そこを楽しんでもらえたらうれしいし、こんなのありなんだなと思ってほしい感じですね。

 番組「ミュージカル『プレイハウス』根本宗子×GANG PARADE×磯村勇斗」は、11月30日午後6時にWOWOWライブで放送。

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