宮藤官九郎:年齢に体力…“今だからできた”「いだてん」執筆 最終回前に思いつづる

NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」最終第47回の一場面 (C)NHK
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NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」最終第47回の一場面 (C)NHK

 日本人五輪初出場の明治末から、東京に五輪がやってきた1964年までの約半世紀を描くオリジナルストーリーとして、1月にスタートした2019年のNHK大河ドラマいだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(NHK総合、日曜午後8時ほか)は、12月15日に最終回を迎える。最終第47回「時間よ止まれ」の放送を前に、脚本家の宮藤官九郎さんが、「今だからできたと思います」という「いだてん」執筆について思いを明かした。

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 「いだてん」のテーマは「“東京”と“オリンピック”」で、大河ドラマで近現代史を取り上げるのは、1986年の「いのち」以来33年ぶり。中村勘九郎さんが日本で初めて五輪に参加したマラソン選手の金栗四三、阿部サダヲさんが「東京オリンピック」実現に執念を燃やす政治記者の田畑政治を演じ、“リレー”形式で主演のバトンをつないだ。

 宮藤さんは「歴史の資料を基にドラマを描くのは、僕にとってチャレンジでした。残されている膨大な資料は、たくさんのヒントが得られたと同時に、足かせにもなりました。とはいえ、当然、記録に残っていない部分もたくさんあり、そこは自分で埋めていっていいと都合良く解釈して描いたシーンもたくさんあります」と振り返る。

 宮藤さん本人は、資料は“ドラマを描くときのヒントであり、材料みたいなものを与えてくれるもの”との考えで、「これとこれを組み合わせたらどうなるだろう?って、自分で考えていく感じです。その中に架空の人もいて、絶対に交わらないはずの金栗さんと志ん生が間接的につながるという。それは架空の人物を配置したからこその面白さですよね」としみじみ。

 「ですから、史実に沿ってドラマを描くのも楽しかったです。よくよく考えたらオリジナルのドラマを書いているときも、身近な誰かをモデルにしたり、役者さんにあてて書いている時点でもう100%僕の頭にあるものではないので、普段から同じようなことをやっているんだなと気づきました」と、新たな発見もあったようだ。

 改めて「いだてん」の執筆が決まった当初、「最後まで書き終わらないうちに体を壊したらどうしよう」という怖さもあったという宮藤さん。

 「でも、全てを終えた今振り返ると、やっぱりいい経験でしたね。今だからできたと思います。年を取ったらここまで情報処理ができなかったと思うし、逆に若かったらもっと自分を出したくなって、実在の人物よりも自分の頭で考えたことを優先したくなっちゃったかもしれません。そう考えると、この年齢(現在49歳)で、この体力で『いだてん』と出合えて良かったなと思います」と結論づけていた。

 最終第47回「時間よ止まれ」は、1964年10月10日、念願の東京五輪開会式当日。田畑(阿部さん)は国立競技場のスタンドに一人、感慨無量で立っていた。そこへ足袋を履いた金栗(勘九郎さん)が現れ、聖火リレーへの未練をにじませる。

 一方、聖火リレーの最終走者に選ばれた坂井(井之脇海さん)はプレッシャーの大きさに耐えかねていた。やがてゲートが開き、日本のオリンピックの歩みを支えた懐かしい面々が集まってくる。その頃、志ん生(ビートたけしさん)は高座で「富久」を熱演していた……。

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