竹内涼真:「テセウスの船」心役で「魂の芝居」 ドラマPに聞く抜てきの理由 涙止まらず…

ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」で主人公・田村心を演じる俳優の竹内涼真さん(C)TBS
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ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」で主人公・田村心を演じる俳優の竹内涼真さん(C)TBS

 竹内涼真さん演じる主人公・田村心が、タイムスリップした過去で無差別殺人事件の謎を追う姿を描く連続ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」(TBS系、毎週日曜午後9時)。回を重ねるごとに謎が深まり、誰が犯人なのか、視聴者による「考察」も盛り上がりを見せており、2月16日放送の第5話では番組最高視聴率を記録した。鈴木亮平さん演じる父・文吾の無実を証明しようと必死にもがき、毎回のように涙を見せる竹内さんの熱演ぶりに、視聴者からは「演技が素晴らしい」などの声があがっている。プロデューサーの渡辺良介さんに、竹内さんの起用理由や魅力を聞いた。

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 ◇なぜ心役に竹内涼真? ひたむきなイメージに合致

 原作はマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載された東元俊哉さんの同名マンガ。主人公の田村心(竹内さん)が31年前にタイムスリップし、父で警察官の佐野文吾(鈴木亮平さん)が逮捕された「音臼小無差別殺人事件」の謎を追う……というストーリー。

 原作の感想を「非常に緻密でよくできたミステリーで、ハラハラドキドキして読めました」と話した渡辺さん。ドラマは、日曜午後9時に放送ということで、原作の良さを損なわずに、家族で見られるような工夫をする必要があった。「(原作は)家族をテーマにしたお話であると受け取って、犯人は誰だというミステリーと同時に、冤罪(えんざい)で捕まった父をめぐる父と子の物語であり、それをとりまく家族の物語であるところから、どう膨らましていくかというのがとっかかりでした」と振り返る。

 竹内さん演じる心は、1989年(平成元年)に発生した「音臼小無差別大量殺人事件」の犯人・佐野文吾(鈴木さん)の息子。加害者家族として世間の厳しい非難を浴び続け、教師になるという夢もあきらめて隠れるように生きてきた。唯一の味方である妻の強い訴えで、父親と過去の事件に向き合うことを決意して……という役どころ。

 なぜ心役に竹内さんを起用したかを聞くと、「(竹内さんは)原作の心に見えませんか……?」と話して笑った渡辺さん。「まずひたむきで、一生懸命なキャラクターなので、そこにイメージが合致した。心は、ノーブルというかピュアというか、そういう人間性を持ったキャラクターなので、そこも竹内さんのイメージに合ったのが大きいですね」と明かす。

 ◇第5話の上野樹里との抱擁シーンも話題に

 31年前の平成元年で事件を止めるために奮闘した心だったが、第4話で、31年前の世界から現代に帰還。第5話では、心は、記者の由紀(上野樹里さん)の協力を得て、父・文吾の無実を証明できるという松尾紀子(芦名星さん)から連絡を受ける。同じころ、鈴(貫地谷さん)は、木村さつき(麻生さん)に「正体を知っている」と脅されていた。夫の木村みきお(安藤政信さん)に文吾の娘だということを隠し続けてきた鈴は、さつきの謀略に協力させられてしまう。

 一度は証言を拒否した松尾だったが、文吾と面会して再び証言することを決め、心を自宅に呼び出すが、さつきの差し金で急きょ鈴も同席。31年前に金丸(ユースケ・サンタマリアさん)を殺害した犯人に心当たりがあると明かす松尾だったが、肝心のところで、さつきから渡された薬を飲んだ鈴が倒れて救急車で運ばれたせいで証言は中断。その後、病院から戻ってきた心は、由紀から松尾が死んだことを聞かされる。そして、その傍らでさつきは病院に運ばれていった……というストーリーが展開した。

 父のため、家族のために必死に動くも、次々と試練が訪れる心。第5話では、「やっぱり姉ちゃんの言うとおりだったのかな……結局、俺たちはこういう運命なんだよ。もう何しても、どうせ何も変わらないんだよ……」と落ち込み、涙する心に、由紀は「お父さんと約束したんですよね? なにをしてでもお父さんを助けるって。もう運命から逃げないって。私はあきらめません」と勇気づける。心と由紀が抱き合う場面は視聴者の涙を誘った。

 ◇“思い”で芝居する竹内涼真 「涙する」シーンではなくても…

 渡辺さんによると、撮影開始から何カ月も時間がたったが、竹内さんは「ずっと心でいる」という。竹内さんと渡辺さんは今回が初タッグとなるが、「カメラがまわっていないところも、ひたすらブツブツせりふを言っているし、もうちょっと肩の力を抜いてくれないかなというくらい思い詰める。初主演、しかも日曜劇場ってプレッシャーもあると思うんですけど、それでもいいものにしたいという主役としての責任感、俳優としての思いみたいなのがほとばしっていますね」と明かす。

 撮影現場では、共演者とコミュニケーションをとりつつも、重たいシーンが多いことから集中している姿を見せているという竹内さん。「竹内くんは子供が大好きだから、佐野家のシーンは子供たちがいるので、そこが息抜きだと思う」と話す。「あそこまでシリアスな竹内涼真って見たことないというか。背負っているものが重すぎて、彼の笑顔がそんなに出てこない。これまでにない竹内涼真が映せているんじゃないかなとは思います」と手応えを感じているようだ。

 劇中では、毎回のように涙を見せる竹内さんについて、「田村心としてカメラの前に立って、そのシーンを演じたときに止められないらしいんですよ」と明かす渡辺さん。「そこまで感情が、のめりこんで演じてくださっているので、美しい涙だと思います」と表現する。

 実は、台本上では「涙する」と書かれていなくても、竹内さんは思わず涙してしまうこともあるといい、「“思い”で芝居をする俳優なんで(泣いてしまう)。そこが彼の魅力なんだろうなと思っています」と続ける。そんな竹内さんの魅力を「真っすぐさ」と「がむしゃらさ」と話す渡辺さんは、「思いというか、魂で芝居するのが彼の魅力だと思う」と分析する。犯人考察はますます盛り上がりを見せているが、竹内さんの熱演にも注目したい。

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