ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
アニメやゲームが人気の「デジモン」シリーズの新劇場版アニメ「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」(田口智久監督)。1999年にスタートしたテレビアニメ第1弾「デジモンアドベンチャー」では小学生だった主人公・八神太一が大学生になり、“選ばれし子どもたち”が大人になるということを考え、行動する。テレビアニメ第1弾などのプロデューサーを務め、新作ではスーパーバイザーを務める東映アニメーションの関弘美さん、木下陽介プロデューサーに、新作に込めた思いを聞いた。
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「デジモン」は、1997年6月に携帯ゲームが発売され、テレビアニメ第1弾が1999~2000年に放送。2015~18年に新シリーズ「デジモンアドベンチャー tri.」が展開されるなど、息の長いコンテンツとして親しまれている。
テレビアニメ第1弾を見ていたデジモン世代は、20代半ば~30代前半の大人だ。新作には、大人になったデジモン世代に向けたメッセージが込められた。
「宿命は変えられないけど、運命は自分たちの手で変えられる」
関さんは、この言葉から今回の劇場版のコンセプトを説明し始めた。「小学生の頃に読んだ本によく似た言葉があったんです。この言葉について、ずーっと考えていたんです。運命は自分で選ぶことができるけど、宿命ってなんだろう? 命を宿すと書きますが、いろいろな解釈ができます。中高生の頃は、この親から生まれたことが宿命なのか? と考えたこともありました。この仕事に就いた時に、アシスタントプロデューサーとして最初に作った映画のエンディングのタイトルロールをチェックしていて、スタッフの人数が158人だった。
実は、同じ数字を父に言われたことがあったんです。父はビジネスをしていて『このプロジェクトに関わっている人間は何人いると思う? 158人なんだ』と言われた。最初に作った映画の人数と一緒で、父と違う仕事を選んだけど、こういうことがあるんだ……これが宿命なのかな? と思ったこともありました。つい2、3年前に身内を亡くしたこともあり、宿命とは、いつか人間は死んで、別れないといけないことなのかもしれない……と感じました。毎日、宿命について考えていたわけではないのですが、子供の頃から引っかかっていたことが、分かってくる年頃になったんです」
新作では大人になるという宿命が描かれる。そもそも大人になるとはどういうことなのか? を考えさせられる。
「打ち合わせをする中で、江藤淳の本のタイトルでもあるんですけど『成熟と喪失』という話をしたことがありました。人は何かしらを手に入れることで成熟と思いがち。例えば、大人になり、働いて、お金を手に入れて、子供の頃に買えなかったものが買えるようになると、自分は大人になったと思いがち。だけど、大人になるということは、自分が何を無くしたかを認知することでもある。ほしいけど買えない、もしくは買ってもらえないという子供の純粋な気持ちを忘れ、無くしてしまいます。無くしたことを認知して、初めて大人になるという意味だと私は解釈しました。何かを選んだことで、別の可能性が無くなることもあります。進学するのか? それとも就職するのか? フリーとして生きていくのか? どれを選択しても何かを喪失するおそれはついてくるんです」
大人になることで、失うものもある。新作では、大人になった太一がある選択を迫られる場面がある。選択するとは、何かを失うことでもある。失うことはつらいが、前を向いて歩いていくことで、成長する。成長はテレビアニメ第1弾から描かれたテーマでもある。新作には、大人になったデジモン世代が今、リアルに感じるメッセージも込められている。
新作にはこれまでの作品へのオマージュも多く描かれている。テレビアニメ第1弾のオープニングテーマ「Butter-Fly」がオープニングテーマで、1999年公開の劇場版第1作「デジモンアドベンチャー」の劇中で流れたクラシックの名曲「ボレロ」が流れるのも印象的だ。木下プロデューサーは「ファン目線で考えていました」と話す。
「監督は、まずファンが見たいものを描こうとしていました。何かが違う……と感じるのはファンとしては嫌ですからね。そこを大事にしたかった。前半は昔見たデジモンのオマージュを盛り込み、懐かしみながら楽しんでもらい、後半で、新しい今作でのテーマをしっかり描く。僕としては『ボレロ』を使いたくて、最初の企画書にも書いていました。最初の敵はパロットモンだし、進化シーンも昔のものを再現する。ファン、それにスタッフが見たいものを作ったんです」
ただ、懐かしいわけではなく、最新技術によってこれまで以上に美しく、迫力のある映像に進化している。新作は、テレビアニメ第1弾の放送から20年以上たった今だからこそ描ける作品になった。大人になったデジモン世代は何を感じるのだろうか……。
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2024年11月22日 12:00時点
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