鬼滅の刃:胸を打つ炭治郎の名言 「俺は長男だから」「頑張れ炭治郎頑張れ!!」

「鬼滅の刃」コミックス1巻のカバー
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「鬼滅の刃」コミックス1巻のカバー

 吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんが「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中のマンガ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」。電子版を含むコミックスのシリーズ累計発行部数が4000万部を突破するなど大ヒットしている。キャラクター、ストーリーなどさまざまな魅力がある中で、ファンを熱くさせている要素の一つが、主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の言葉だ。テレビアニメ化されているコミックス第7巻までの炭治郎の軌跡を名言と共に振り返る。

ウナギノボリ

 ◇炭治郎と禰豆子の兄妹の絆

 「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子(ねずこ)を元に戻し、家族を殺した鬼を討つために旅立つ……というストーリー。兄妹の絆が表現された名言を紹介したい。2019年4~9月に放送されたテレビアニメが人気となった。

 「頑張れ禰豆子 こらえろ 頑張ってくれ 鬼なんかになるな しっかりするんだ 頑張れ 頑張れ!!」(第1話「残酷」コミックス第1巻収録)

 第1話は、炭治郎が町へ炭を売りに行っている間に、一家が何者かに惨殺されるという悲劇から始まる。唯一息があった禰豆子は、鬼に変貌していた。そんな絶望の中で、炭治郎が禰豆子に発した言葉。必死に訴える炭治郎に禰豆子は涙を流す。まさに「残酷」な展開で始まった「鬼滅の刃」の印象的な場面。炭治郎が禰豆子を思うひたむきな姿勢が垣間見える名言だ。

 「俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!!」(第40話「ヒノカミ」コミックス第5巻収録)

 那田蜘蛛(なたぐも)山での蜘蛛(くも)の鬼・累との戦いの中での言葉。炭治郎と禰豆子の絆に憧れ、禰豆子を奪おうとする累。激しい戦いで死を意識した炭治郎の脳裏に父の姿が浮かび、ヒノカミ神楽 円舞を放つ。さらに、禰豆子は血鬼術 爆血を繰り出し、兄妹で累を倒そうとする場面だ。

 ◇己を鼓舞する炭治郎

 激しい鬼との戦いの中で、炭治郎が己を鼓舞する場面が幾度も登場する。ボロボロになりながらも「折れない」炭治郎の力強い言葉を紹介しよう。

 「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」(第24話「元十二鬼月」コミックス第3巻収録)

 鼓の鬼・響凱(きょうがい)との戦いの中での炭治郎の心の声。その前の戦いで、炭治郎はあばらと足の骨を折るという重傷を負っていた。「俺は…… その怪我(けが)が痛くて痛くて堪(たま)らないんだよ!! 俺はもうほんとにずっと我慢してた!! 善逸を女の子から引き剥がした時も声を張った時も すごい痛いのを我慢してた!!」と苦しさを我慢しながらも「俺は長男だから……」と必死に戦おうとする場面だ。

 「頑張れ炭治郎頑張れ!! 俺は今までよくやってきた!! 俺はできる奴(やつ)だ!! そして今日も!! これからも!! 折れていても!! 俺が挫(くじ)けることは絶対に無い!!」(第24話「元十二鬼月」コミックス第3巻収録)

 同じく響凱との戦いの中で「勝てるのか? 俺は……」という不安をはねのけるかのように己を鼓舞する炭治郎の言葉。これは、「週刊少年ジャンプ」2018年27号で実施された「アニメで聞けるかも!? 『鬼滅の刃』セリフ人気投票」でも第1位に輝いた名言だ。

 ◇炭治郎の慈愛に満ちた言葉

 炭治郎は自分を殺そうとした鬼に対しても、生い立ちを思い、悲しみを感じ取る。慈愛に満ちた言葉に炭治郎の優しさが込められている。

 「神様どうか この人が今度生まれてくる時は 鬼になんかなりませんように」(第8話「兄ちゃん」コミックス第2巻収録)

 藤襲山(ふじかさねやま)で行われた鬼殺隊の最終選別で遭遇した大型の異形の鬼を倒した時の炭治郎の言葉。炭治郎に手を握られながら鬼は涙をこぼし、崩れ去った。鬼に対しても慈愛に満ちた祈りをささげる炭治郎の優しさが感じられる。

 「失っても失っても 生きていくしかないです どんなに打ちのめされようとも」(第13話「お前が」コミックス第2巻収録)

 炭治郎は、鬼殺隊に入隊して初めての仕事として、毎夜少女が失踪する事件が起こる町に赴く。事件の元凶だった3体の鬼を倒した炭治郎が、鬼に婚約者を殺された青年にかけた言葉。この事件で改めて、「俺だけじゃない どれだけの人を殺し、痛めつけ苦しめた 鬼舞辻無惨 俺はお前を絶対に許さない」と宿敵に立ち向かう思いを強める。

 「醜い化け物なんかじゃない 鬼は虚(むな)しい生き物だ 悲しい生き物だ」(第43話「地獄へ」コミックス第5巻収録)

 那田蜘蛛山で蜘蛛の鬼・累を倒した炭治郎は、その悲しみに触れ、散りゆく体に優しく手を置く。そんな炭治郎に冨岡義勇は「人を喰った鬼に情けをかけるな 子供の姿をしていても関係ない 何十年何百年生きている醜い化け物だ」と話し、累の着物を踏みつける。しかし、炭治郎は「勿論(もちろん)俺は容赦なく鬼の頸(くび)に刃を振るいます だけど鬼であることに苦しみ 自らの行いを悔いている者を踏みつけにはしない 鬼は人間だったんだから 俺と同じ人間だったんだから 足をどけてください」と鬼への思いを語る。

 「カナヲ 頑張れ!! 人は心が原動力だから心はどこまでも強くなれる!!」(第53話「君は」コミックス第7巻収録)

 那田蜘蛛山での戦いの後、炭治郎たちは胡蝶しのぶの屋敷で機能回復訓練を受ける。訓練に付き合ってくれた栗花落(つゆり)カナヲは、「全部どうでもいいから自分で決められないの」といって、指示をされていないことはコインを投げてその表・裏で行動を決めていた。そんなカナヲに炭治郎は「この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ」といい、「カナヲがこれから自分の心の声をよく聞くこと」をかけてコインを宙に放つ。テレビアニメ最終話でも描かれた名場面だ。

 炭治郎は、真っすぐでひたむきで、優しい。己を鼓舞する言葉、仲間はもちろん鬼すらも思いやる言葉に胸を打たれる。改めて「鬼滅の刃」の言葉の強さを感じてみてほしい。

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