アニメ:2020年以降はさらに市場拡大 グローバル配信の競争激化 制作会社は淘汰 ツインエンジンの戦略

「TWINENGINE Conference 2020」の様子
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「TWINENGINE Conference 2020」の様子

 アニメ「からくりサーカス」「どろろ」などを企画立案をしてきた「ツインエンジン」の発表会「TWINENGINE Conference 2020」が4月30日、インターネット上で開催された。グローバル配信の競争が激化し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、アニメ制作会社が厳しい状況にある中で、新たな戦略を発表した。

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 2010年は約200本のアニメが放送された中で、配信、海外の売り上げが約3000億円、DVDなどのパッケージの売り上げが約1000億円だったのに対し、2018年は約330本のアニメが放送され、配信、海外が約1兆円、パッケージが約500億円だったと発表。作品数が増え、配信、海外の売り上げが約3倍になったのに対し、パッケージは半減したという。

 2020年以降は、Netflix、Amazon Prime Videoに加え、アップル、ディズニー、HBOmaxなどが参入することで、グローバル配信サービスの競争が激化し、市場規模がさらに拡大すると予測。一方、アニメの制作現場は、働き方改革の波と人材不足によって、制作会社が淘汰(とうた)されることが考えられる。

 ツインエンジンは、世界に向けたコンテンツ、SNSで気軽に楽しめるショートアニメなどの制作体制を構築することを目的に、新法人のEOTA(engine of the animation、イオタ)を設立した。ツインエンジンは「ペンギン・ハイウェイ」のスタジオコロリド、「ゴールデンカムイ」のジェノスタジオなどのアニメ制作会社を運営しており、グループとして、より柔軟性のある制作体制を目指す。

 ツインエンジンの山本幸治プロデューサーは「スタジオがアニメを制作するのがキツくなっている。コロナでそれがさらに顕在化した。EOTAは、スタジオの受け皿のようなもの。海外に向けて作品を発信しようとした時、個人のクリエーターのセンス、個性を劣化させずに、いかにユニークなフィルムを作るかが大事。グループとして団結し、自分たちの色をより出せるように、小さいユニットをいくつも作って、伸びたり縮んだりできるようにしていきたい」と説明した。

 新たなショートアニメも発表。アニメ「おとなの防具屋さん」などの山元隼一監督が手がける「ボクらのロケットはキミと青春成層圏をこえていく」を制作する。ロケットの打ち上げを題材とした青春コメディーになるという。

 アニメ「端ノ向フ」やバンド「SEKAI NO OWARI」のライブ演出アニメなどを手がけてきた塚原重義監督のショートアニメ「クラユカバ」の第2回クラウドファンディングもスタートした。同作は昨年、第1回クラウドファンディングを実施し、パイロットフィルムを制作。第2回で本編制作を目指す。目標金額は2000万円で、Motion Galleryで募集する。ぽちさんが美術設定、背景原図を手がけ、りょーちもさんがスペシャルアニメーターとして参加する。

 劇場版アニメ「ペンギン・ハイウェイ」などの石田祐康監督も登場し、次回作の舞台が団地になることを発表した。

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