名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
テレビアニメ「どろろ」「バビロン」などを企画、立案してきた「ツインエンジン」が4月30日、発表会「TWINENGINE Conference 2020」をインターネット上で開催し、2本のショートアニメの制作を発表した。深夜アニメは、DVDなどのパッケージビジネスが一般的だったが、配信を中心としたビジネスモデルに移行しつつある。Netflixをはじめとするグローバル配信サービスの競争が激化し、市場規模がさらに拡大するという予想もある。そんな中、なぜ、ショートアニメなのだろうか? ツインエンジンの社長を務める山本幸治プロデューサーに聞いた。
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ツインエンジンは、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で編集長を務めた山本プロデューサーが2014年に設立。パッケージビジネスではない新たなビジネスモデルを模索するなど、これまで業界の台風の目となってきた。発表会では、海外に向けた配信を軸とした戦略のほかに、アニメ「端ノ向フ」やバンド「SEKAI NO OWARI」のライブ演出アニメなどを手がけてきた塚原重義監督の「クラユカバ」、アニメ「おとなの防具屋さん」などの山元隼一監督が手がける「ボクらのロケットはキミと青春成層圏をこえていく」の2本のショートアニメを発表した。ショートアニメはマネタイズが難しいとも言われているが……。
「確かに、ショートアニメは基本的にマネタイズが難しい。需要を考えても、好んで見ている人は少ない。テレビシリーズ、映画は多くの人が関わり、どうしても工程が重くなる。すると、フィルムが似てくる。元のアイデアにオリジナリティーがあっても、通常の工程に入ると、普通の作品になってしまうこともある。それぞれのスペシャリストがいて、それは素晴らしいのですが、工程を変えるのが大変。ショートは少人数で作れる。アートに寄りすぎたり、分かりにくくなる可能性もありますが、こんな映像にしたい!というクリエーターのイメージに近いものができる。ショートならより個性を発揮できるし、似たようなものにはならない」
SNS全盛の時代ならではのショートアニメの強みもある。
「テレビシリーズを何億円もかけて作っても、入り口で苦労することもある。テレビが主体の時代は視聴率というベースがあり、ほとんど誰も見ていないという作品は少なかった。今は作品数も増え、スタートでつまずき、話題にならないと、全然見られなくなってしまう。一方、SNSに引っかかるものは強い。ショートアニメをSNSに投げていくことで、カジュアルに『いいじゃん!』と楽しんでいただける風を吹かせることができるかもしれない。パッケージを買う、映画館に行くというようなコミットではなく、カジュアルにコミットできるはずです」
SNSでショートアニメの人気に火が付き、それをきっかけに長編が生まれることもあるかもしれない。
「オリジナルアニメは出たとこ勝負でリスクもある。やっぱり難しいところもあります。オリジナルの種は、若い人の中にもあります。ショートフィルムは目的ではなく手段。ショートでマーケットテストをしたものを、シリーズや長編として広げていくこともできる。開発の方法論でもあります」
ショートアニメならより作家の個性を生かすこともできる。
「クリエイティブの本場がハリウッドだとしたら、本場では、ほかの作品と似ていないもの、過去にあったような作品とは違うものを作ろうとしてきた。今日性があって、深い普遍性もあり、新しく、古くならない作品です。ツインエンジンとしても今日性、個人的なテーマを内包した個性的で斬新なフィルムを作っていきたい。一方、日本の深夜アニメなどエンタメはガラパゴス化していき、似ていった。3DCGのようにシステマチックな作り方にシフトしていく動きもあるが、ツインエンジンはキラリと輝く個人を大切にして、それを拡張していきたい。個性的な個人作家のフィルムを作ることは、ビッグビジネスにつながらないかもしれませんが、種として魅力的です。輝く個人を応援して、活性化させ、そこからヒットを作っていきたい。潜在的なニーズを顕在化していきたい」
ツインエンジンは、世界に向けたコンテンツ、ショートアニメなどの制作体制を構築することを目的に、新法人のEOTA(Engine of the Animation、イオタ)を設立した。ツインエンジンは「ペンギン・ハイウェイ」のスタジオコロリド、「ゴールデンカムイ」のジェノスタジオなどのアニメ制作会社をグループとしており、より柔軟性のある制作体制を目指す。
「ほかと似ていないことは、リスクでもあります。作品によっては、スタジオという単位が大きすぎる場合もある。それぞれのスタジオのブランド、戦略、イメージを気にせず、枠を超えて、クリエーターが集まり、小さなユニットでSNS向けのショートアニメを作っていけるようにしていきたい。スタジオにはそれぞれカラーがあり、同じ方向性の作品を作ってどんどんとがっていくこともできますが、限界もあります。ショートでチャレンジしながら、長編を作る時は協力するような体制にしていきたい」
若手がいきなり長編を作るのは難しいが、ショートアニメであればチャンスがありそうだ。
「例えば、劇場版アニメを2、3年に一本作るスタジオの場合、若手には打席がなかなか回ってこない。ショートであれば若手もチャレンジできるかもしれない。EOTAは、育成を目的に設立したわけではないのですが、育成においても良い影響があると考えている。人が集まり、残るようにできれば」
ツインエンジンのショートアニメをきっかけに世界に羽ばたく作品、クリエーターが生まれてくるかもしれない。
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