門脇麦&水原希子:正反対の“都会女子”役で初共演 山内マリコの小説「あのこは貴族」が映画化

映画「あの子は貴族」に出演する門脇麦さん(左)と水原希子さん
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映画「あの子は貴族」に出演する門脇麦さん(左)と水原希子さん

 山内マリコさんの小説「あのこは貴族」(集英社文庫)が映画化されることになり、女優の門脇麦さんが主演を務めることが6月2日、明らかになった。女優でモデルの水原希子さんの出演も発表された。門脇さんと水原さんは今作で初共演。都会でまったく異なる生き方をする2人の女性を描く物語で、門脇さんが婚活に余念がない都会生まれの箱入り娘・榛原華子、水原さんが地方から上京し、自力で都会を生き抜く時岡美紀を演じる。2021年に公開予定。

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 映画は、何不自由なく育てられ、「結婚=幸せ」と信じて疑わない都会生まれの箱入り娘・華子が、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされてしまう。名門女子校の同級生たちの結婚、出産の話を聞くたびに焦る華子は、相手探しに奔走。ハンサムで良家の生まれである弁護士・青木幸一郎と出会って結婚することになり、幸せがかなえられたかに思えたのだが……。

 一方、東京で働く富山生まれの美紀は猛勉強の末、慶應大学への入学をきっかけに上京。学費のために夜の世界も経験したが、中退してしまい、今は恋人もなく、仕事にやりがいも感じられないまま、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。同じ都会で暮らしながらも、出会うはずもなかった2人の人生が静かに交錯した時、それぞれに思いもよらない世界が開けていく……というストーリー。

 監督は、マンネリカップルが妊娠をきっかけに互いの背景や関係を見つめ直す初のオリジナル長編作品「グッド・ストライプス」で、新藤兼人賞金賞を受賞した岨手由貴子さんがメガホンをとる。

 ◇門脇麦さんのコメント

 この度、映画「あのこは貴族」で榛原華子役を演じさせていただきました。家柄のこと、出身の学校、職業。私たちは無意識のうちに世間から、そして自ら自分の人生に線引きをし、それを全うすべく日々を過ごしている部分が少なからずあるのではないかと思います。この物語は、そんな窮屈さを感じながら生きる2人の女の子が、少しずつ自分を解き放っていくお話です。

 「グッド・ストライプス」を見てから、いつかご一緒したいとずっと思っていた岨手監督。さりげないト書き1行が監督の手によって、みるみるうちに胸をきゅっとつかまれるようなシーンに変わっていく様に何度も高揚しました。皆様が映画館に足を運べる日常が、一日でも早く訪れることを祈っています。「あのこは貴族」がたくさんの方に届きますように。

 ◇水原希子さんのコメント

 この度、「あのこは貴族」で地方生まれの時岡美紀役を演じさせていただくことになりました。そして大好きな門脇麦さんをはじめとするすてきな共演者の方々にたくさん刺激を受けながら共演させていただけたことをとてもうれしく思います。初めて岨手監督とお会いした時、とても柔らかい印象。でも現場に入ると、明確に指導してくださり、全てのシーンにおいて、フラットにディスカッションできたこと、疑問や不安から解放してくれて、監督の包容力で等身大の自分として、素直な感情を制限なく自由に表現することができたと思います。

 この映画は境遇の全く違う2人が、自分らしく生きること、自分にとって本当の幸せとはどういうことなんだろうと葛藤しながらも、悩みと変化の中で成長し、自立していくことでより自由になり解放されていく。29歳、地方育ちの私にとって、とても共感の多い作品でした。女性のみならず、いろんな方が自分で自分の人生を選択していくことの大切さに共感していただける作品になっていると思います。

 ◇岨手由貴子監督のコメント

 監督を務めた岨手由貴子です。「あのこは貴族」は出自も生きる階層も違う2人の女性が、これまでどんなふうに生きてきて、これからの日本をどう生きるのかを描いた作品です。多くの選択肢が用意されているわけでもなく、器用にベストな選択ができるわけでもない。それでも自分の足で立ち、生きていく。そんな原作の持つスピリットを、素晴らしい俳優陣が血の通った物語に昇華してくれました。

 タイプの違う2人の女性、「華子」と「美紀」を演じた門脇さんと水原さん。お二人は芝居や役柄へのアプローチも異なる、まさに“タイプの違う”役者さんでした。けれど、対峙(たいじ)するのではなく、お互いを認め、共存する。そうやって、それぞれのやり方で「華子」と「美紀」の人生を生き、体現してくれました。そんなお二人の在りようは、まるで劇中の彼女たちそのもので、初号試写のあと普通の女の子に戻って楽しくおしゃべりする姿に、とても幸福なキャスティングだったことを実感させられました。

 普通に生きることすら困難な時代だからこそ、これまで頑張ってきた自分を肯定してあげたくなるような、誰かにとっての特別な一作になることを願っています。ぜひ、多くの方に見ていただきたいです。

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