全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
動画配信サイト「YouTube」のドラマチャンネル「僕等(ら)の物語」で、ショートドラマ「THE LAST SCENE-2年後-」が6月26日に配信された。同チャンネルは、若手俳優が活躍できる場所を作る目的で開設。第1弾として、「2年後」を含む四つのショートドラマで構成された「THE LAST SCENE」を配信する。「2年後」で共演する斉藤遥役の喜多乃愛さん、西野勇人役の細田佳央太さんに役作りや見どころ、今後の目標などを聞いた。
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「2年後」は、高校3年生のとき、ある出来事をきっかけに話すようになった遥と西野が、卒業してから2年後、高校時代に一緒に行った喫茶店で再会の約束を果たし……というストーリー。2年後の現在と2年前の回想を行き来しつつ2人の関係性を描く。
喜多さんは役作りについて、「双子という、初めての一人二役なので『どうしよう……』というところから始まって。似ている部分がありつつちょっと違う性格とか、どっちの方が明るかったらこのストーリーが良くなるかなとか考えたりしました。あとは実際に高校時代のことを思い出したりしながら役作りしました」と説明。「遥はキラキラしているし普通の女の子ではあるけど、抱えているものがある」と前置きし、「自分自身はそういう道は歩んでこなかったので、葛藤じゃないけど、遥と同じ境遇だったとしたらどんな生活を送っていたのかな、と。今思うとそこは常に考えていたかもしれないです」と当時の心境を振り返る。
真面目でひ弱な雰囲気から、少しだけ大人になったという西野役に、細田さんは、「台本を読んだときから悩んでいた。とにかく難しい、余計なことをしたら逆に邪魔しちゃうなと思った」と明かし、「“ぽく”見せようとはあまり意識していない。監督からは『ピュアに素直に演じてほしい』と言われたので、ガリ勉だけど暗くなりすぎないように、とか一つ一つピースをはめていった」と話す。
細田さんは、喜多さんの印象を「余計なことをした瞬間、一気に壊れちゃうし奇麗さがなくなると思っていましたが、(喜多さんも)そこの気持ち的には一緒だったのかな。(演技は)地雷を踏まないように歩いて行く感じぐらいの丁寧さだった」とたたえる。対する喜多さんも、「撮影前は『こんな感じでこういう人を好きになったのかな』と遥の思いを漠然と考えていましたが、現場では『西野がいる!』って強く思えて、『この人を好きになるな』というのがわかりました」と感謝する。
「一番うれしい」と照れ笑いを浮かべた細田さんは、「僕が芝居や演技のことを話すのはまだ経験があまりないので薄っぺらくなりますが、“演技をしないように”気をつけました。自分のプランや意見に当てはめすぎると、見ていてちょっと演技がしつこいかなって。その場で起きたことや相手から受けたものを大事にしました」と注力したポイントを語る。
◇20歳を目前に控えた2人が○年後にしてみたいことは?
ドラマのタイトルにちなみ「○年後にしてみたいことは?」と聞いてみると、細田さんは、「20歳になったときに数字じゃなくて、人間として大人になっていたい」ときっぱり。「高校1年から見た高校3年はもっと大人の印象だったけど、実際なってみると変わっていない」と笑いつつ、「この繰り返しなのかなと思うと、どこかで自分がもうちょっと人間として成長していかなきゃいけない。ただそれができるかどうかは……なので、理想です。20歳になったときに大人になっていたらいいな」と話す。
細田さんが考える“大人”とは…と水を向けると、「自分の意見を持ちつつ、人の意見もちゃんと聞いて“イエスマン”じゃない人」と回答。「感じたまま思ったことを発言したり行動したりも大事だと思いますが、時には裏目に出ることもある。直感を大事にしすぎるのは子どもっぽいかなとも思う」と冷静に話し、「『ただ大人になることがいいことなのかな?』とも最近は考えています。子ども心や直感も大事ですし、失う必要はないのかなとも思います」と持論を口にする。
一方、喜多さんは、「25歳あたりまでにプライベートでも仕事でもいろんなことを経験したい。良いことも悪いことも」と切り出し、「行動力を持って積極的に動いていきたい。しんどい時期もあるだろうけど、それも含めて生きている心地が味わえた方が楽しいと思うんです。だからいろんなことを経験したいし、そういうことを知ったら大人になるのでは」と目を輝かせた。
◇2人が思い描く理想の俳優像
ドラマは遥と西野の会話のやり取りを中心に進行。細田さんは、「人数が増えれば増えるほど、一人一人の役作りが目に見えてわかってくる。『今その行動をしたけどその役ってそういうことするのかな』みたいなことを感じたりもする」と言い、「しゃべっていないときの方が重要になってくる分、2人での芝居に比べて、大人数は難しい印象はある」と話す。
喜多さんも、「せりふがないとき、どう思うかなって考えている時点で暇になっちゃっているので(役を)生きられていないですよね。2人芝居もそうですけど、隙があったらだめですよね」と同意する。
遥と西野の関係性の核心に迫る現在の喫茶店での1シーンでは、「2年後と2年前で西野は変わっている。2年前だったら可愛らしいなと思って見ているかもしれないけど、2年後は遥のある行動に疑問を持つはずだけど、場を乱さないよう振る舞う」と細田さんは西野の変化に言及し、「そこもまた難しいなとは思いますし、自分でもどんな顔していたのか気になる」と笑顔を見せる。
今作の見どころについて、喜多さんは、「『2年後』という作品はキュンキュンもしますけど、2人が抱えているテーマから作品の色を感じてもらいたいし、キュンキュンだけのストーリーではないので、感情移入してもらって楽しんでもらえたら」とアピール。
細田さんは、「一見ありえないと思いがちだけど、ある意味2人の関係性はリアル。どの世代も見方が変わり楽しめるので、自分が経験していないからといって、『こんなのありえない』とか決めつけずに見てほしい」と力説する。
最後に今後の目標を聞くと、細田さんは、「最近の状況の中で、自分自身のことや芝居のこと、役者って何なんだろうと見つめ直す時間が増えた」と前置きし、「以前、窪塚(洋介)さんが取材で、芝居と演技は違うというお話をしていて、本質的なことは経験が少ない僕にはまだ理解できてはいないけど、その言葉は自分の中にスッと落ちてきた。芝居と演技をいい具合に使い分けることができたら……というのが、僕の最終目標です」と真っすぐ前を見据える。
喜多さんは、「何がすごいか言葉で言うのは難しいのですが、現場で出会った先輩方に『この人すごい!』と思う人がいらっしゃって、そういう方が、一番人を見たい気持ちにさせると思うから、そういう女優になりたいです」と言い、「『この人のこの芝居をもっと見たい』と思ってもらえる女優になって輝きたい」と語っていた。 (取材・文・撮影:遠藤政樹)
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