人気グループ「ジャニーズWEST」の小瀧望さんが、舞台「エレファント・マン」に出演することが7月8日、明らかになった。小瀧さんが舞台に出演するのは約5年ぶり。生まれつき体が変形していることから「エレファント・マン」と呼ばれる青年、ジョン・メリックを演じ、特殊メークをあえて施さず、体を湾曲させることで“異形”を表現するという難役に挑戦する。森新太郎さんが演出を手掛け、2020年10~11月に世田谷パブリックシアター(東京都世田谷区)で上演される。
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「エレファント・マン」は、19世紀イギリスに実在した人物を題材とした戯曲。19世紀のロンドンを舞台に、変形した体を持つことから「エレファント・マン」として見せ物小屋に立たされていた青年ジョン・メリックが、解剖外科医のフレデリック・トリーヴズと出会い、人間らしい生活を手に入れていく……という物語。1980年にデビット・ボウイさんが演じて話題となり、同年にはジョン・ハートさん主演で映画化。日本ではこれまで劇団四季、文学座、ホリプロ制作などで上演されている。
小瀧さんのほかに、近藤公園さん、木場勝己さん、高岡早紀さん、花王おさむさん、久保田磨希さん、駒木根隆介さん、前田一世さん、山崎薫さんの出演も発表された。メリックと対峙(たいじ)することで己の醜い部分にも向き合うことになっていく医師トリーヴズを近藤さん、トリーヴズの勤める病院の理事長に木場さん、メリックに初めて女性の愛らしさを伝える女優・ケンダル夫人を高岡さんが演じ、貴族から使用人といったさまざまな階層の人物を花王さんらが演じる。
僕にとっては5年ぶりの舞台となります。舞台のオファーを受けた時「やっと舞台をやれる! うれしい」という気持ちが込み上げて、そして演出が森新太郎さんと聞いて、さらにこれはもうやらないという選択肢は絶対にないなって、本当に飛びついたという感じでした。
「エレファント・マン」はタイトルだけは知っていて、昔映画版を見たことがあるという両親からは「すごく悲しい物語だ」という話を聞きました。今、戯曲を読んでみると、僕が演じるエレファント・マンの人生はすごく衝撃的なんですが、彼の心の汚れない奇麗さ、あふれ出る知性という、そうした内面の美しさが、長年にわたってこの作品が多くの人々に愛されてきた理由なんだなと思っています。
初めてお会いした森さんは優しくて、作品についていろんなお話をしてくださったのですが、菊池(風磨)と、(中山)優馬からは「稽古(けいこ)は覚悟したほうがいいかもな」とは言われています(笑い)。ファンの方々には僕の奮闘する姿をぜひ間近で見てほしいなと思いますし、僕とキャストの皆様全員、そして森さんでつくるこの「エレファント・マン」を多くのお客様に届けられるように、全力で、全身全霊で頑張りますので、ぜひ劇場へ足を運んでもらえたらと思います。
作品全体を貫いているのは、劇作家バーナード・ポメランスによる極めて冷徹な文明批評だ。1880年代、世界経済の覇者として繁栄を誇っていたヴィクトリア時代のイギリス。体が著しく変形、膨張した「エレファント・マン」ことメリック青年は、解剖外科医のトリーヴズと運命的な出会いを果たす。そして、“科学”や“モラル”という輝かしい旗印のもと、思いもよらぬ特別待遇を受ける。半永久的に病院で保護される身となったのだ。
「規律を守るのは自分のため、規律を守れば幸せになれる」とたたき込まれて。救済はすなわち制限と管理と罰をも意味し、作者はその光景を帝国主義国家の植民地支配と重ねてみせる。「与えているつもりが、実は奪い取っているだけではないのか?」 メリックとの交流を通し、己の欺瞞(ぎまん)と向き合わざるを得なくなったトリーヴズの葛藤は、最後の最後まで解消されないままである。しかしそれ故に、この作品は今なお世界中で上演される意義がある。私はそう思う。
それにしても、メリックを演じる俳優の苦労はいかばかりだろうか。彼は特殊メークなど一切用いずに、身体のねじれだけで、観客にメリックを想像させなくてはならない。これは戯曲の要請である。ゆがんだ外面とひずみのない内面、その両方を同時に表現しなくてはならないのだ。小瀧望は私にとってまだまだ未知の俳優であるが、彼の全身から発せられる知性と感性に期待は膨らむばかりだ。誰よりも気高く、そして無邪気なメリックを生み出してくれるに違いない。