ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズなどの貞本義行さんがメインキャラクターデザインを手がけたことも話題のオリジナルアニメ「GREAT PRETENDER(グレートプリテンダー)」。「91Days」「鬼灯の冷徹」などの鏑木ひろさんが監督を務め、「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」などのWIT STUDIOが制作。ドラマ「リーガルハイ」「コンフィデンスマンJP」などの古沢良太さんが脚本を手がけるなど豪華スタッフが集結した。貞本さんとサブキャラクターデザイン、総作画監督の加藤寛崇さんに、キャラクターデザインの裏側を聞くべくインタビューを敢行。話題は多岐におよび、これまで数々の魅力的なキャラクターを生み出してきた貞本さんがデザインの変遷を語ってくれた。
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貞本さん 古沢さんの脚本を読み、実写風と感じました。古沢さんの脚本は、作劇の面白さもありますし、キャラクターにも厚みがあります。キャラクターの魅力が大きいですね。
加藤さん アニメで詐欺師ものは珍しいし、魅力的ですよね。
貞本さん キャラクターデザインもその印象のままにするのか?もっとアニメテイストを出すのか?とも考えましたが、脚本の印象もありましたし、アニメテイストを極力抑えようとしました。
加藤さん 貞本さんに一度、キャラクターをデザインしていただき、それをこちらでまとめていきました。もう少しアニメテイストを強調してはどうか?という声もあって、その方向でまとめたこともあったのですが……。
貞本さん アニメテイストを出すこともできるけど、今回は実写風と思っていたので。
加藤さん 仕切り直し、やりとりを重ねて今のデザインにまとめました。
加藤さん 人種ごとに骨格などを研究したり、調べて落とし込みました。ほかの作品でもやることは変わらないですし、いろいろな人種が出るからといって、特別大変というわけではなかったと思います。海外の俳優やアスリートなども参考にしました。
加藤さん 中学生の時、「ふしぎの海のナディア」(1990~91年放送のテレビアニメ)を見て、実在感、立体感を感じたんです。マンガ的なところと実在感のバランスにひかれました。「オネアミス(王立宇宙軍 オネアミスの翼)」もそうですね。
貞本さん 「ナディア」は当時としては異端だったんです。当時は3段影まで付いているのが当たり前で、線が多いキャラクターが主流でした。自分が大塚(康生)さん、宮崎(駿)さんが所属していたテレコム・アニメーションフィルム出身ということもあって、線が多いんだよ!影いらないじゃん!と思っていて(笑い)。とにかく線を減らしました。枚数を使わないで絵を止めると、一枚絵のクオリティーが大事になり、影を付けざるを得ない。誰かが付けると、みんな付け始めてしまう。線と影が多いと動かせないんですよね。線が少ないとバランスが大事になる。
貞本さん 「オネアミス」はリアルなキャラクターをやって、その後、美樹本晴彦さんがキャラクター原案の「トップをねらえ!」(1988年発表のOVA)に参加したことが勉強になったんです。それまで、目が大きなキャラクターが描けなかった。「トップ」をやってから、目が大きくても可愛くなるな……と分かってきた。「オネアミス」から「トップ」を挟まないと「ナディア」はできなかった。「オネアミス」を振り返って、いいとこ取りをして、「エヴァ」になったんです。細田守さんとやった時は、宮崎さんみたいに……と先祖返りをしたり。
-ー貞本さんがデザインの際に大切にしていることは?
貞本さん 先人たちが作り、ウケたものには刃向かうこと、あらがうこと。普通はウケているものを取り入れるけど、あえて天の邪鬼的になって、やらない。だから、昔は永野護さんが出てきたり、北爪宏幸さんが格好よく描いて……というのを見て、新しい!と思って見ていたけど、絶対にそっちにいかないようにして、新しいことをしようとしてきた。あらがってみないとオリジナルデザインはできない。結果的にやっぱりよくできているので、まねすることもあるんですけど(笑い)。
加藤さん 「GREAT PRETENDER」でも、ローランの脚をルパンみたいに細くして、貞本さんから「安易に先人のものを剽窃(ひょうせつ)してはいけない」というお話がありました。
貞本さん ルパンは師匠の大塚さんのデザイン。世界一好きなキャラクターです。安易にまねするんじゃない!と。
加藤さん それを聞いてハッ!となりました。記号的な表現のつもりでやっていたんですけど、冷静に考えたらそうなんですよね。同じところにたどり着くにしても、それがどうしてそうなったかをしっかり考えないといけないですね。
「GREAT PRETENDER」は、自称・日本一の天才詐欺師の枝村(通称・エダマメ)が、マフィアさえ手玉に取るコンフィデンスマンのローランにだまされたことをきっかけに、世界を舞台に“コン・ゲーム”に巻き込まれる……というストーリー。フジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」ほかで放送中。NetflixでもCASE1~3が独占配信されている。
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