名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
タカラトミーアーツの女児向けアーケードゲームから生まれた「プリティーシリーズ」が10周年を迎え、テレビアニメも9年目となった。スピンオフ「KING OF PRISM(キンプリ)」も人気になるなど、他の長寿シリーズとはひと味違う展開で、ファン層を広げているようだ。アニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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「プリティーリズム」「プリパラ」「キラッとプリ☆チャン」と続く「プリティーシリーズ」が、今月15日で原作ゲームの稼働10周年を迎えました。今年9年目となったテレビアニメも、現行のいわゆる“女児アニメ”と呼ばれる中では「プリキュア」シリーズに次ぐ長寿シリーズとなっています。
本シリーズがこれほどまでの長寿作品となった理由は、一体どこにあるのでしょうか。現在は「キラッとプリ☆チャン」が放送中の、テレビアニメに焦点を当てて探ってみます。
ポイントとなるのは、本シリーズのバトンタッチ(世代交代)が、“完全なリセット”ではなく“作品間のつながりを残したまま”行われている点ではないでしょうか。
本作ではこれまでに、原作ゲームに合わせた大きな世代交代が2回(プリティーリズムからプリパラ、プリパラからキラッとプリ☆チャン)行われ、いずれもメインキャラクターや物語の舞台といった作品の世界観が一新されてきました。しかし、例えばシリーズに一貫して登場する「めが姉ぇ」というキャラクターや、「プリパラ」で初登場し「プリ☆チャン」で再登場した「めが兄ぃ」というキャラクター。スピンオフの「KING OF PRISM(キンプリ)」も交えたセリフやキャラ名などのクロスオーバーに、「プリティーリズム」歴代主人公達のパラレル的な再登場など……。「プリキュア」シリーズをはじめとする他の女児アニメと違って、世界観を一新する世代交代をした後も、本編中に歴代シリーズ各作品の要素が色濃く、けれど本筋を邪魔しない絶妙なバランスで登場し続けているのです。
歴代シリーズの共演である“オールスターもの”とも違う形で、一度は完結した作品の要素が世代交代した先でも息づいていることは、歴代作品がいつまでも現役であるように感じさせてくれます。加えて、一度作品にハマると、そこに登場する要素の元ネタを求めてシリーズの他作品にも触れるファンが出てきたりと、放送中の作品だけでなく、常にシリーズ全体にファンが増えていくきっかけとなっているのではないでしょうか。
シリーズの世代交代が“完全なリセットではない”ことには、もうひとつポイントがあります。
女児アニメに限った話ではありませんが、人気シリーズの世代交代には、同時にファンの入れ替わりが起きて、たとえ同じタイトルを冠するシリーズ同士であっても、前作と今作のファンの間である程度すみ分けが起きることも少なくありません。しかし「プリティーシリーズ」に関しては、上記のようにシリーズ各作品の世界観が入り交じっているうえに、シリーズ合同のライブやイベント、グッズ展開なども多いからか、今はシリーズ各作品間で、ファンのすみ分けや強い隔絶はあまりないようなのです。
それぞれメインで応援する作品を持ちつつも、シリーズの他作品も並行して楽しんでいるファンが多いのもそのためでしょう。本作はそうして、シリーズ各作品それぞれが独立したファン層を持つというよりも、ゆるやかに大きく「プリティーシリーズ」全体のファン層を形成している印象があります。これもまた、本シリーズが、現行作品の「プリ☆チャン」のみならず、いまだに「プリティーリズム」や「プリパラ」、スピンオフの「キンプリ」も含めた歴代作品と共に、シリーズ全体で盛り上がり続けている要因になっているのではないでしょうか。
本作はこうして、世代交代していく度に各作品が個別に盛り上がるというよりは、世代交代で新しく加わった作品も含めて常にシリーズ全体で展開していくことで、「プリティーシリーズ」独自の盛り上がりを見せてきました。完全な世界観のリセットと共に世代交代をするシリーズが、年表の“線”を伸ばして歴史を築いていくのだとしたら、本作は“面”を増やしていくことで、シリーズ全体の世界を広げ続けているようなイメージです。作品の魅力は大前提として、来年テレビアニメも10周年を迎える「プリティーシリーズ」がここまで長寿化してきたことには、そうしてシリーズ全体で、一度入るとなかなか抜け出せないテーマパークのような世界を徐々に作り上げてきたことも大きかったのだと思います。
先日配信された10周年スペシャルムービーで、「この先10年も女の子の夢を応援する」と宣言した「プリティーシリーズ」。一体今後その世界をどこまで広げ続けるのか、これからも見守り続けていきたいと思います。
こあらい・りょう 埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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