人気グループ「King & Prince」の永瀬廉さんが主演する映画「弱虫ペダル」(三木康一郎監督)が8月14日に全国公開される。人気自転車マンガを実写化した作品で、永瀬さんはロードレースの魅力に目覚め、高校の部活の仲間とインターハイ優勝を目指していく主人公・小野田坂道を演じている。坂道と自身の「境遇が似ている」という永瀬さんに、坂道との共通点や「King & Prince」のメンバーへの思いなどを聞いた。
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「弱虫ペダル」は、渡辺航さんの人気マンガが原作。マンガ誌「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で2008年から連載中の作品で、68巻まで発売されているコミックスは累計発行部数が2500万部を突破している。フィギュアやアニメが大好きな内気な少年・小野田坂道が、千葉県の総北高校に入学し、ロードレースの魅力に目覚め、自転車競技部の仲間と共にインターハイ優勝を目指す姿が描かれている。アニメ、舞台、ドラマも展開されるなど、ファンも多い。
永瀬さんは出演するにあたり、原作のマンガやアニメをチェックしたというが、現場に入ると監督から「原作の小野田坂道はあまり意識しなくていい」と言われたという。「『原作やアニメをあまり意識する必要はない。自分の中で小野田坂道という人物を理解して、かみ砕いて、自分の中で作ればいい』と言われたので、原作や舞台、ドラマはあまり意識せず、僕の中の坂道を演じました」と明かす。
ただし、ビジュアル的には原作の坂道を意識して、“オン眉”&丸眼鏡にした。ここまで前髪を短くするのは15、6年ぶりで、2011年にジャニーズ事務所に入所して以来初めてという。永瀬さんは「(見慣れるまで)時間がかかりましたね。お風呂上がりに、首を振っても前髪が目にかかってこないので、『あれ?』と思いました(笑い)」と語る。
永瀬さんが演じた小野田坂道は、運動が苦手で友達がいなかったが、ロードレースと出会い、仲間と走る楽しさを知って熱中していく……というキャラクター。撮影では“チーム総北”のキャストと共にロードバイクに挑戦したが、自転車に乗りながらの演技は難しく、「例えばゴール間近のシーンだと、疲れ切っている状態を表現しなければいけないですし、連続するシーンを別日に撮影するときには、体力の消費具合を再現する必要もあったり。そういう“帳尻合わせ”がすごく難しかったですね」と苦労を明かす。
しかし、ロードバイクを通じて、「チームで走る楽しさ」を実感したという。「“チーム総北”には『誰一人欠けずにチームで走ってチームで勝つ』という思いがあり、それを再現する中で、キャストのみんなとも絆が深まっていくのを感じました。小野田坂道としても永瀬廉としても楽しみながら走ることができたので、映画には心からの笑顔が映っていると思います」と自信をのぞかせる。
永瀬さんは「坂道はロードバイクをきっかけに、すてきな先輩方や仲間と出会い、自転車競技の楽しさを知っていくのですが、それは僕がジャニーズ事務所に入所してからの状況とすごく似ています」と切り出した。
永瀬さんは2011年、12歳のときにジャニーズ事務所に入所。関西ジャニーズJr.として経験を積んだ後に上京し、CDデビューまでの間は、おもに現「King & Prince」の平野紫耀さん、高橋海人さんと共に「Mr.KING」として活動してきた。
「ジャニーズという未知の世界に入って、最初は一人だったけれど、同期の西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)たちと出会ったり、グループを組んだりしながら、どんどんジャニーズの活動に夢中になって……。坂道が自転車に夢中になっていくところと似ているなと思いましたね」と永瀬さんは共感を寄せる。坂道にとって仲間との出会いがロードレースの原動力となっていったように、永瀬さんにとって同じ夢に向かう仲間の存在が活動を突き動かしてきた力になったのだろう。
入所から7年後の2018年、「King & Prince」としてCDデビューした永瀬さん。デビュー後は演技の仕事も増え、2019年には連続ドラマ「俺のスカート、どこ行った?」(日本テレビ系)にメインキャストとして出演。さらに、「うちの執事が言うことには」(久万真路監督)で映画初主演、「FLY! BOYS,FLY!僕たち、CAはじめました」(カンテレ・フジテレビ系)でスペシャルドラマ初主演を飾った。King & Princeとしての音楽活動と、個人の俳優活動、一見別物のようだが、永瀬さんは「どちらも同じ“表現”」だといい、相互に良い影響を及ぼし合っているようだ。
永瀬さんは、これまでは「実際に演技をしてみた後で、『こういう気持ちだったんだ』と気づく」こともあったそうだが、経験を重ねていくうちに「今では台本を読んでいる段階で、心情を想像できるようになりました」と成長。音楽では「演技の仕事をさせていただいてから、以前より曲に入り込めるようになりました」と話し、「悲しい歌詞だと自然と声色や表情もそうなるというか、意識しなくても勝手に(表現が)付いてくるようになった気がします」と相乗効果もあるようだ。
音楽活動を共にする「King & Prince」のメンバーたちに対しては、常日頃から「力になりたい」という思いがある。永瀬さんは「ライブなどではMCとしてトークを回す立場」だと自身の役割を説明し、「メンバーが言葉に詰まったときには、自分がうまくフォローできたらいいなと思いますし、そういうアシストをしたいという気持ちは常にありますね」と力を込める。そんな永瀬さんの姿は、仲間のために力を尽くす坂道の姿と重なって見えた。
*高橋海人さんの「高」は「はしごだか」。
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