ヒプノシスマイク:テレビアニメは少年マンガ原作アクションアニメ風? 「言葉でバトル」を表現 

「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」の一場面(C)『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 製作委員会
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「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」の一場面(C)『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 製作委員会

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-(ヒプマイ)」のテレビアニメ「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」が、10月2日にスタートする。「ヒプマイ」は、これまで音楽、ゲーム、マンガ、舞台などさまざまなメディアミックスが展開されてきた。その舞台は、武力による戦争が根絶され、人の精神に干渉する特殊なマイク・ヒプノシスマイクを使ったラップで優劣が決する世界。アニメを手掛ける小野勝巳監督は、これまで「遊☆戯☆王」シリーズなど少年マンガを原作とするアニメにも参加してきた経験があり、キャラクターたちがバトルするラップシーンについて「リリック(歌詞)をいかにバトルの力に変えていくかにこだわった」と語る。アニメ版「ヒプマイ」の見どころを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇キャラクターをより格好よく描き、各ディビジョンのキャラクター性を深掘りしたい

 「ヒプマイ」は、キャストがキャラクターとしてラップを歌うプロジェクトで、2017年9月に始動した。12人のキャラクターたちはイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクという4つのディビジョンにチーム分けされ、2018年から各ディビジョンがラップでバトルするバトルCDがリリース。同年12月にファン投票によりシンジュク・ディビジョンが王者となった。2019年には、ナゴヤ、オオサカと新たなディビジョンが加わった。

 アニメは「戦姫絶唱シンフォギアG」「遊☆戯☆王」シリーズなどに参加してきた小野さんが監督を務め、「ソードアート・オンライン」などのA-1 Picturesが制作する。小野監督は、「ヒプマイ」をアニメ化する上で、「キャラクターをより格好よく描き、各ディビジョンのストーリーを描き、キャラクター性を深掘りしたい」と考えた。これまでリリースされてきたCDにもドラマトラックが収録され、ストーリーが描かれてきたが、アニメでは、キャラクターをさらに深く知ることができるドラマが展開するという。

 「『ヒプマイ』は、医者、サラリーマン、作家、ファッションデザイナーなどキャラクターが職業に寄っていて、魅力的に描かれている。アニメでは、原作の設定を基に各ディビジョンが事件やトラブルを解決していくようなストーリーも描きます。これまで語られていなかった部分も明かされていく」

 ◇リリックをバトルの力に

 「ヒプマイ」は、第三次世界大戦で人口の3分の1が失われた後、武力による戦争が根絶された世界が舞台。女性総理大臣の東方天乙統女(とうほうてん・おとめ)を有する中王区以外のイケブクロ・ディビジョン、ヨコハマ・ディビジョン、シブヤ・ディビジョン、シンジュク・ディビジョンといった区画で男性は生活することになり、各ディビジョン代表のMCグループがラップバトルをして、勝った地区は決められた分の他の領土を獲得することができる。まさに「言葉が力を持つ」世界だ。

 小野監督は、カードバトルを描く「遊☆戯☆王」シリーズを手掛けてきたこともあり、少年マンガ原作のアニメでも使われるイメージ演出で、「ラップで攻撃する」を表現しようとした。カードバトルではカードが武器になるように、ラップバトルではヒプノシスマイクから繰り出されるラップが武器になる。ラップバトルシーンを描く上で「リリックをいかに攻撃的に見せるか」「リリックをバトルの力に変える」ことにこだわった。

 「ラップシーンでは、歌詞を具現化することに注力しました。バトルでは、ラップが武器になるので、絵コンテを発注する時は、幻覚を見せて相手を倒す『聖闘士星矢』のフェニックスの鳳凰幻魔拳のイメージと説明したこともありました。いかに歌詞と近い攻撃をするか、どう歌詞を映像にしていくかを試行錯誤しました」

 アニメでは、毎話新曲が登場することが発表されており、シナリオに合わせてそうそうたるラッパーやクリエーターが楽曲を制作している。各キャラクターのラップバトルシーンでは、キャラクターの特徴に合わせたバトル空間を設定したという。

 「例えば、ヨコハマを仕切るヤクザの碧棺左馬刻(あおひつぎ・さまとき)であれば、背景に骸骨やひつぎがある空間、ポップな雰囲気があるシブヤの飴村乱数(あめむら・らむだ)であれば、アメ玉などスイーツモチーフの背景などです」

 制作段階では、「歌詞に一見攻撃とは縁遠いワードがある場合もあって、これでどうやって攻撃したらいいんだと頭を悩ませたこともありました。武器がマイク、歌詞が武器というのは難しかったところではありますが、『ヒプマイ』はキャラクターがとても魅力的なので、描くのはとても楽しかったです」と振り返る。

 小野監督が携わってきた少年マンガ原作アニメとアニメ版「ヒプマイ」との共通点もあるという。

 「アニメではマイクを悪用するキャラクターが登場するのですが、そこで山田一郎が『マイクは人を傷つけたり、犯罪に使う道具じゃねえんだよ』とたんかを切るんです。カードゲームを描いた作品でも同じように『カードは人を傷つけたりするもんじゃないんだよ』というせりふがあった。どちらもファンタジーな世界ではあるのですが、その中でキャラクターたちが格好よく活躍する姿を楽しんでほしいですね」

 ストーリーとラップが連動し、キャラクターたちがアニメならではの表現でバトルする「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」。斬新なラップバトルアクションアニメに注目したい。

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