榎木淳弥:テレビアニメ「呪術廻戦」 「単純なようで複雑」な虎杖悠仁 「自然さ」を大切に

「呪術廻戦」で主人公・虎杖悠仁の声優を務める榎木淳弥さん(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
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「呪術廻戦」で主人公・虎杖悠仁の声優を務める榎木淳弥さん(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々(あくたみ・げげ)さんのマンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」。主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)の声優を務めるのが榎木淳弥さんだ。“ジャンプ作品の主人公”という大役を射止めた榎木さんは、虎杖を「単純なようで複雑」と感じ、「なるべく自然」に演じようとしているという。大役に挑んでいる。榎木さんに、アフレコについて聞いた。

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 ◇オーディションの手応え

 「呪術廻戦」は、強力な“呪物”の封印が解かれたことで、高校生の虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)が呪いを巡る戦いの世界に身を投じることになる……というストーリー。2018年から「週刊少年ジャンプ」で連載中。コミックスのシリーズ累計発行部数は850万部以上。アニメは、10月2日からMBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズム」で放送される。

 “ジャンプ作品の主人公”は子供たちの憧れだ。榎木さんも子供の頃から「ジャンプ」を読んでいたといい、それだけに「呪術廻戦」で主演を務めることの喜びは大きかった。

 「昔から『ジャンプ』をずっと読んでいたので、出演できることが決まって率直にうれしかったです。光栄なことですよね。『呪術廻戦』はテレビアニメ化の発表の前から話題になっていましたし、読んでいました。幅広い層から人気を集めそうだけど、スタイリッシュで、コアなところもあって、独特な作品だなと思っていました」

 虎杖役は、オーディション時から手応えを感じていた。

 「スタジオでのオーディションでは、相手役がいて、掛け合いをしながら演じました。自分一人で演じた時は手応えがなくて、ダメかな……と思っていたのですが、掛け合いで手応えがあったんです。一人でやっていると想像していたものしか出てこないけど、掛け合いは、相手に反応できます。自分の想定外のこともあって、生き生きと演じることができたんです」

 虎杖は驚異的な身体能力を持つ高校1年生。ごく普通の高校生活を送っていたが、特級呪物・両面宿儺(りょうめんすくな)の指を食らい、己の魂に呪いを宿すことになる。

 「元気があって、周りを引っ張っていく王道の主人公ですが、弱さもあるんですよね。頑張って乗り越えていく人間らしさもあって、感情移入しやすいのかもしれません。ちょっとつかみきれないところもあります。人間ができすぎていないといいますか。そこも魅力的ですよね」

 ◇自然な演技の理由、魅力

 榎木さんが虎杖を演じる際に意識しているのは「自然さ」だ。

 「どんな作品もそうなんですけど、なるべく自然にできればと考えています。アピールしすぎないような演技でしょうか。自然な演技が好みなんですね。もちろん、監督から指摘があったら、修正しますが。『呪術廻戦』は、大きな方向性のディレクションというよりも、細かいせりふの解釈、ニュアンスなどについてディレクションをいただいています。オーディションの時に『若くできる?』と言われ、意識していましたが、それも段々と気にしなくなりました」

 “最強の呪術師”五条悟を演じる中村悠一さんを取材した際、榎木さんについて「僕とはアプローチが違って、そこが面白いし、勉強になります」「虎杖が顕著なんですけど、ニュートラルなんですよね。ある種、自然体なんです」と話してくれたことがあった。榎木さんの演技は「自然さ」が魅力になっている。

 「何が自然か?と考えると難しいんですけどね。僕が自然と思っている演技が、感情がこもっていないと感じる人がいるかもしれませんし。中村さんは、どんな芝居もサラッと演じているように見えるんですけど、単にそうしているわけではなくて、とにかく引き出しが多い方だから、そう見える。五条に似ているかもしれません。ひょうひょうとしながら、すごく難しいことをやるところが」

 榎木さんは「呪術廻戦」について「難しい作品」とも話す。

 「せりふの解釈が広くて、選択が難しいんです。虎杖は単純なようで複雑。サラッと描かれているシーンも複雑な心境で話していたり、なんでこのせりふなんだろう?と考える。台本を読むのに時間がかかりますし、疲れます(笑い)。自分で理解してしゃべらないといけないので。それが仕事なんですけど(笑い)。収録が進み、慣れてきたようで、毎回苦戦しています」

 ◇内田雄馬との共演で…

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アニメのアフレコは最少人数で行われる現場が多い。「呪術廻戦」も3人ずつ程度のグループに分けて、収録が行われている。榎木さんは、伏黒恵役の内田雄馬さん、釘崎野薔薇役の瀬戸麻沙美さんと収録することが多いという。

 「雄馬君とはこれまでも何度か共演させていただいますし、伏黒を演じることを知った時から、合うだろうな!と思っていました。深みのある声で演じることが、想像できました。瀬戸さんとレギュラーで共演するのは、初めてでした。新鮮で楽しいですね。ストレートな芝居が野薔薇にぴったり。瀬戸さんはどこかに上品さもあるんですよね」

 声優陣が発表された際、「虎杖役が内田さん、伏黒役が榎木さんもありでは?」というファンの声もあった。現状の配役がぴったりではあるが、確かに逆パターンもハマりそうだし、見てみたい。

 「声質的には、そう思われますかね? 僕の方が悩ましい、弱い部分も多いし、雄馬君はクレバーで情が深い。雄馬君が伏黒役というのは、役者のパーソナルなところも合っているから現状の配役でハマっているのかもしれません」

 「呪術廻戦」の第1話が先行上映されると、SNSでは、ハイクオリティーな映像を絶賛するファンの声であふれた。榎木さんも「とにかくアクションがすごいです、びっくりするくらいです。カメラワークも面白いんですよね。この角度からこのアクション!?と新鮮でした。本当の格闘技のようなリアルな動き、派手な動きが混ざっている。メリハリがあって、スタイリッシュです。楽しみにしてください!」と自信を見せる。

 「呪術廻戦」は映像、声優陣の熱演など全てが魅力的な作品に仕上がっているようだ。

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