どうにかなる日々:小松未可子、石原夏織が目指した“リアル” 普通に会話しているように

「どうにかなる日々」に出演する石原夏織さん(左)と小松未可子さん
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「どうにかなる日々」に出演する石原夏織さん(左)と小松未可子さん

 「放浪息子」「青い花」などの志村貴子さんのマンガが原作の劇場版アニメ「どうにかなる日々」(佐藤卓哉監督)が、10月23日に公開される。かつての恋人の結婚式で出会った2人の女性の揺れる思いを描いた「えっちゃんとあやさん」、教え子の突然の告白に翻弄(ほんろう)される男子校教師を描いた「澤先生と矢ヶ崎くん」、思春期を迎える幼なじみ2人の距離感ともどかしさを描いた「しんちゃんと小夜子」「みかちゃんとしんちゃん」の4エピソードをアニメ化。“誰かの恋”を優しく見守り、温かく描く。「えっちゃんとあやさん」のあやさん役の小松未可子さん、「しんちゃんと小夜子」のみかちゃん役の石原夏織さんに「リアルな演技」を目指したというアフレコについて聞いた。

ウナギノボリ

 ◇切なく、甘酸っぱくもあり 中学生男子の下ネタに…

 --それぞれのエピソード、キャラクターの印象は?

 小松さん 「えっちゃんとあやさん」は、百合という女性の“高校時代の彼女”えっちゃんと“短大時代の彼女”あやさんが、百合の結婚式をきっかけに、傷心を癒やすところから、二人の新たな関係性が始まります。どこかでありそうなエピソードが切り取られているんですよね。私がグッときたところは、あやさんが、えっちゃんの家に遊びに行って、卒業アルバムを見るシーンです。知らない過去に触れて、少し切なくなる。誰しも共感するところかもしれません。一つずつこぼれ出る言葉が、特別ではないのですが、グッとくる。温かくも切なくもなります。余韻を残して終わるのも個人的に好きです。

 石原さん 「しんちゃんと小夜子」「みかちゃんとしんちゃん」は、しんちゃんという男の子、幼なじみの女の子みかちゃんの小学生、中学生時代、思春期のもどかしさを描いています。みかちゃんは、自分の時代にはいなかった子、今の子って、もしかしたらこうなの!?とびっくりです。幼なじみが成長して、関係性が変わっていくところが、ありそうなんですよね。小学生の時の友達に久しぶりに会ったら、すごく変わっていたとか。切なく、甘酸っぱい感じがすてきです。

 --ちなみに、どんな中学生時代でした?

 石原さん 中学校は女子校だったので、小学校の時から環境がすごく変化したんです。共学だったらこうだったのかな?と見ていました。

 小松さん 私は、高校の途中までは共学で、そこから大学までは女子校だったんです。小中の男子は、廊下で大声で下ネタをしゃべりながら歩いていたり、下ネタに興味津々。言いたいんでしょうね。女子の反応を楽しんでいるんですよ。ああいう子、いますよね。リアルです。

 石原さん じゃあ、しんちゃんは大人なんですね。

 小松さん そうそう。

 ◇思わず口に出しているような感覚で 初めての経験も

 --演技もリアルです。息づかいが聞こえてきそうでした。

 石原さん みかちゃんというキャラクターは、小学生と中学生時代で、基本的に演技をあまり変化させていないのですが、小学生時代は発する言葉を理解せずにしゃべっているところがあります。せりふは、意味深なのですが、小学生ならではの状態を演じるのが難しかったです。小学生の時はどうだったかな?と思い出しました。私は、みかちゃんみたいなことはなかったけど、大人の話に首を突っ込もうとするのは、分かりますし、リアルなんですよね。

 小松さん 私の最初の印象で、あやさんがお姉さんに見えた方がいいのかな?と年齢感を上げていたのですが、「お姉さんっぽくしなくても、等身大の気持ちで」というお話がありました。それと「語尾の漏れる息をなるべくなくしてください」というお話も。しゃべった時に、リアルにしゃべった気持ちを意識しようとしました。だからといって、普通にしゃべるようにでもなく。(えっちゃん役の)花澤香菜さんと私の空気感をお互いに受け取って演じるようにしました。

 --語尾の漏れる息とは?

 小松さん せりふとして誇張した時に息が漏れることがあるんです。次のせりふに入る時にも息が入るんですけど、普段の会話ではそういうものはないですよね。キレイにしゃべることを意識しつつ、リアルなテンションで演じることも意識しました。

 石原さん 私も普段のアフレコとは違うことが多くて、すごく緊張しました。いつの間にかそれが普通になっていき、掛け合いも日常みたいになり、あれ?今は普通に会話しているのかな?となったり。マイク前に立っているんですけどね。すごく新鮮でした。

 小松さん えっちゃんとあやさんの二人だけの世界が描かれているので、二人の空気が、芝居というよりも、普段しゃべっているようだったので、どうやってしゃべっているんだろう?と考えたり。思わず口に出しているような感覚でしゃべろうとしました。

 -ーナチュラルだけど演技する……というのは難しそうですが。

 小松さん そうですね。台本を持っているけど、読んでいるのを忘れようとしました。

 石原さん 私もそうです。初めての経験でした。

 --リアルなところを含めて志村さんの作品はさまざまな魅力があります。お二人が感じている魅力は?

 小松さん 今回の作品が特にそうですが、恋愛で性がちゃんと語られていて、それが中心ではないんですけど、リアルなんですよね。美しすぎる描き方もされていないのが絶妙です。そういうシーンに抵抗がある方もいるかもしれませんが、作品の中に溶け込んでいるので、自然に読めるんです。安心する部分があったり、傷をえぐられるような気持ちになったりもします。生々しいけど、汚くないんですよね。

 石原さん 初めて読んだ時は、すごくびっくりしました。温度感が伝わるところがすてきです。フィクションだけど、ドキュメンタリーを見ているようです。人の恋愛をこっそりのぞいているような。こういうことがあるんだ!といろいろな考え方を教えてもらっています。

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