ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作のテレビアニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」に続く物語となる「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(外崎春雄監督)が公開中だ。原作ファンにも人気のエピソードである「無限列車編」に登場する鬼殺隊の炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)を演じるのが日野聡さん、煉獄たちに立ちはだかる鬼の魘夢(えんむ)を演じるのが平川大輔さんだ。声優陣は劇場版のアフレコは非常にハードだったと語っており、日野さんは「全員がテクニックを抜きに全身全霊でぶつかっていく」、平川さんは「魂の叫びのようにせりふを紡ぐ」と感じたという。演じる上でのこだわり、アフレコの様子を聞いた。
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「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼に変異した妹を元に戻すために旅立つ……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、テレビアニメが2019年4~9月に放送された。テレビアニメの放送と共に原作の人気も加速し、コミックスのシリーズ累計発行部数は1億部を突破。歌手のLiSAさんが歌うテレビアニメの主題歌「紅蓮華(ぐれんげ)」が大ヒットし、「第70回NHK紅白歌合戦」に初出場したことも話題になるなど幅広い世代から注目される作品となった。
劇場版は、テレビアニメ最終話から繋がる物語。炭治郎、炎柱の煉獄杏寿郎ら鬼殺隊が短期間で40人以上の行方不明者を出しているという無限列車の調査へおもむき、十二鬼月(じゅうにきづき)の下弦(かげん)の壱の魘夢との戦いに挑む。
――煉獄杏寿郎はテレビアニメの終盤に登場し、登場シーンが少ないながらも大きなインパクトを残しました。
日野さん 煉獄が活躍する無限列車編を劇場版で描いていただけるということに喜びと共に強い責任感がありました。炭治郎たちがより成長する大きなエピソードでもあり、そのポイントとなるのが煉獄でもある。彼の頼もしさであったり、強さ、信念、そして優しさをとくに意識して演じました。
――魘夢は、ほかの鬼が殺される中でも笑みを浮かべるような異質さがテレビアニメでも際立っていました。
平川さん 気持ち悪く、気味悪くしてやろうという感覚で演じたわけではないんです。キャラクターを掴む上で情報が少なくて、原作の絵や吹き出しの形、せりふのフォント、あとは台本に書かれている動きを頼りに、僕が魘夢だったらどんな声でどんなふうにしゃべるかなと考えて役作りをしました。演じていると、炭治郎たち鬼殺隊のメンバーの熱量をつい受けたくなってしまいましたが、そういう受け方を魘夢はしない。高ぶるものをぐっと抑えて魘夢というキャラクターを全うできるように気をつけました。
――魘夢は、「夢を見ながら死ねるなんて、幸せだよね」というせりふがあるように夢が関係する血鬼術を使います。
平川さん 自分の手はくださない。
日野さん 魘夢って効率がいいですよね。鬼殺隊の人たちは、誰かのために強くなれている人たちだと思うんです。決して自分のためではなく、誰かのために自分の限界を超えた力を引き出せる。魘夢の戦い方は、人がどうして強くなれるかを分かっているからこその策略なのではないかと。
平川さん (拍手をしながら)すごい……!
日野さん 今までの鬼たちの戦いを見ているからこそ、魘夢が編み出した戦い方なのではないかなと。非常に策略家であり、頭の切れる人物なのではないかと捉えています。
――劇場版は、公開後に上弦の参の猗窩座(あかざ)が登場することも明らかになり、話題になっています。物語を通して感じたことは?
日野さん 無限列車編は全編通してシリアスな展開が多い。その中でつながり、絆を大切にしているエピソードだなと。煉獄を通して思うのは、思いを繋いでいく、そして「生きるとは何か」をメッセージとして届けてくれるエピソードであったなと思います。
平川さん もうそれです(笑い)。今回は二段構えのお話になっていると捉えています。一つは疾走する列車の中で炭治郎たちが魘夢と戦う“動”の部分。もう一つ、煉獄対猗窩座は、戦いとしては激しいのですが、僕には“静”に見えた。お互いの精神の戦いというか。疾走感ある炭治郎と魘夢の戦いと、どっしりと重く己の信念をぶつけ合う煉獄と猗窩座の戦い。僕は動の部分をどれだけアグレッシブな戦いに見えるようにできるかを考えました。
日野さん 猗窩座は純粋に自分の戦うための思いを貫き通すという、ある意味純粋ですよね。
平川さん 己の信念のぶつかり合いだからね。
――アフレコを通して感じたお互いの演技の印象は?
日野さん いやもう、さすがです!と思いました。魘夢の優しく、そーっと包み込むような不気味さを表現されていた。「さすがです、平川さん!」と思いながら現場に立っていました。
平川さん やめてー(笑い)。
日野さん 隣のマイクに立たせてもらうこともあったので、何度かゾクゾクする瞬間がありました。この現場は、先輩も後輩もこれでもかというぐらい芯のあるお芝居を見せてくださる。非常にありがたい現場でした。
平川さん とても光栄です。僕は、日野くん自身が持っている強さ、温かさ、お芝居をする演者としての信念が、煉獄さんが戦う姿とすごく重なりました。煉獄さんを演じる日野くんの後ろにいると、その背中がだんだん煉獄さんに見えてくるんですよ。魘夢と煉獄さんが直接戦うシーンがなくてよかったと思いました。そうでないと、煉獄さんの感情が自分の中にどんどん入ってきて、魘夢が演じられなくなってしまう気がする。それぐらい温かいし、熱いし、真っすぐだし、強いし、でも優しい。日野くんのパーソナリティーがすごく投影されているんじゃないかな。
日野さん 先輩にそう言っていただけるとうれしいですね。明日から頑張れます。
平川さん 僕も明日からまた生きていけます(笑い)。
――演者として参加して感じたアニメ「鬼滅の刃」の魅力は?
平川さん スタッフさん、キャストの皆さん、「どんな一瞬でも最高のものに」という思いが本当に強くて、「鬼滅の刃」という作品を大切にされているのが伝わってきました。それゆえの妥協の無さというか。どの現場でもそうだと思うのですが、たった一言、一息までものすごくこだわりを持って作ってくださっている。だから、とてもプレッシャーを感じました。
日野さん 「鬼滅の刃」は登場人物それそれがその瞬間、瞬間を生きているという強い思いが伝わってくる作品だと思います。キャストは、それに対して全身全霊で、テクニックも抜きにしてぶつかっていく。改めて初心に返らせてもらえるような、非常に得るものが多かった。後輩、先輩、新人問わず、皆さんが命を削ってその場に立たれているようで、それがお芝居なのか本当なのかと錯覚を起こすぐらいに臨場感のある現場でした。参加させていただけたことに感謝しています。
平川さん 皆さん、120パーセントを超えて、もう一つ上の何かを絞り出していたような現場でした。演者だけでなくスタッフさんも本当に全集中でやってくださった。「鬼滅の刃」からは、人間はとても弱い生き物だけど、弱さを知っているから誰かのために強くなろうとすることができるというメッセージを感じます。演者も炭治郎を演じている花江(夏樹)くんを筆頭に魂の叫びのようにせりふを紡ぐんですよ。人として強くなるという思いを乗せているような感じがしました。
キャスト、スタッフの“生き様”がぶつかり合った劇場版。平川さんは「鬼滅の刃」を「生きる力、明日を頑張る力を届けてくれる作品」と表現した。スクリーンで作品の持つ力、熱量を感じたい。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記となる。
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