ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
田辺聖子さんの同名小説が原作の劇場版アニメ「ジョゼと虎と魚たち」(タムラコータロー監督)が12月25日に公開される。同作で海洋生物学を専攻する鈴川恒夫を演じるのが中川大志さん、車いすで生活する可愛らしい見た目とは裏腹に毒舌家のジョゼを演じるのが清原果耶さんだ。声優を務めた2人は、キャラクターを作りすぎず、「ナチュラルさ」を大事に演じることを意識したという。中川さん、清原さんにアフレコ秘話や共演しての感想、大活躍中の現在の状況への思いなどを聞いた。
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「ジョゼと虎と魚たち」は、足が不自由なジョゼと大学生の恒夫の恋を描く。劇場版アニメは、ある晩、坂道で転げ落ちそうになったジョゼを助けた恒夫が、ジョゼの祖母チヅから、ジョゼの相手をするバイトを持ち掛けられる。口が悪いジョゼは恒夫にきつくあたるが、恒夫も我慢することなく真っすぐぶつかり、2人の心の距離は徐々に縮まっていく。そして、ジョゼは意を決して夢見ていた外の世界へ恒夫と共に飛び出していく。
中川さんが演じる恒夫は、メキシコに生息する幻の魚の群れを見るという夢を持ち、留学のために、アルバイトに励む大学生。中川さんは「ちょっと天然だったり若干鈍感だったり、という部分もある。自分の世界観を持っているキャラクターだと思います」という。魚を好きなあまりダイビングショップで働くなど、好きなことに一直線な点は自身にも共通するといい、「僕も熱中するとハマったり、凝り性。好きなことになると周りが見えなくなるところは似ているかなと思います」と、演じる上では、そうした“好き”に対する熱量を大事にしていたという。
一方、清原さん演じるジョゼは毒舌家で、気が強く、素直ではないが可愛らしさも垣間見える女性だ。独特の個性を持ったキャラクターゆえ、自身には「重ねやすくはない」というが、「言葉の中にジョゼらしい愛しさがあったり、ちょっとヤキモチを焼いたり、普通の女の子らしい一面が見えるところもある。でも、人生を達観したように感じているところもあり……魅力がたくさん詰まっているキャラクターだと思っています」と役への思いを語る。
関西弁のジョゼを演じる上では、「関西弁なまりが、良いアクセントになるように話さないといけない、と気をつけていました」と清原さん。もともと大阪出身で関西弁はなじんだものだが、より分かりやすい関西弁にするなどの指導は受けたという。また、演じる際、ジョゼの実年齢よりも幼いイメージでのぞんだ。「ジョゼは24歳ですが『もっと幼い、小学生ぐらいの子に声をあてている気持ちで演じた方が良いと思います』と監督にディレクションしていただきました。『どう幼くしたらいいんだろう……』と悩みつつ、そういう感覚を持って演じました」と振り返る。
これまでも劇場版アニメや日本語吹き替え作品、ドキュメンタリーのナレーションなど声の仕事を経験してきた中川さんと清原さんだが、声優は本職ではない。だが、今回「声優ではない僕ら(が演じること)の意味」として伝えられたのは、あえてキャラクターを作りすぎない「ナチュラルさ」だったと中川さんは明かす。
「アニメーションに声をあてるとなると、声優さんにしかできない技術やキャラクターらしさがある。でも、今回はやりすぎず、キャラクターを作りすぎず、ナチュラルさを大事にしてほしい、と。アニメーションの声、キャラクターの声といえども、キャラクターっぽくしすぎず、人間らしさのあるナチュラルさを大事に、演じながらラインを探っていきました」と中川さん。
清原さんは「台風のノルダ」で劇場版アニメへの出演経験があるが、「そのときはこの世界に入って間もない頃だったので、『どうしたらいいんだろう』と右も左も分からない感覚でアフレコの現場に行きました」と当時の率直な心境を明かし、「声優の仕事については分からないことだらけというのは今回も同じだったので、監督のお話をちゃんと聞いて、体現できるようにだけはしよう、と。大阪出身なので、関西弁は『こっちの方が良いんじゃないか』とご提案させていただいた部分もありました」と積極的な姿勢でのぞんでいたことを明かす。
中川さんと清原さんはこれまで何度か共演しているが、中川さんは清原さんについて「とにかく役に対して真摯(しんし)。それを改めて実感しました」と話す。「ジョゼというキャラクターは、すごく難しいと思います。とことんキャラクターっぽく、アニメとしての表現をした方が分かりやすいキャラでもある。そこを絶妙に演じているのはすごいなと思いました」と表現力に感嘆し、「ストイックだな、と思いました。『とにかく負けず嫌いなんだろうな』というのは常に感じていました。妥協をしないというか……僕もそういうタイプなので、分かる」と共感も示す。
清原さんは「中川さんこそストイックな方なんです」と照れ笑いし、「『ここは譲らない』という部分は、しっかり監督に提示して作り上げていくことを大切にしてらっしゃる方。アフレコの経験は2回目だったので、不安があったんです。でも、中川さんが率先して、前のめりにもの作りをする姿を見せてくださったので、すごく助けられました」と共演を振り返る。
恒夫にジョゼと、今作でメインキャラクターを演じた2人。共に映画にドラマにと現在大活躍中だが、順調にキャリアを積み上げている中で、どのようなことを意識しているのだろうか。最後にそう聞いてみると、「昔とは考え方が変わってきている」と中川さんはいう。
「以前は、自分が思い描いていたプランやビジョンがハマらないと納得がいかなかった。悔しいし、『完璧じゃないと嫌だ』と理想が高かったんです。でも、今はそのときに起きたことがすべてだと思うようになって……『自分のやれることをやれるだけやれば、あとはどうにでもなっていい』という考え方でいます。その瞬間に起きている生っぽさや予想外のこと、はみ出ることの面白さは絶対あるんだろうな、と思うから、柔軟に飛び込むだけですね。前は(完璧に)やらなきゃ、と思っていたけど、今は逆に楽しいです。飛び込める準備や覚悟は必要ですが『その瞬間に身をゆだねる』ということは、意識しています」と語った。
一方で清原さんは、日常の「時間の使い方」を考えるようになったという。「映画『3月のライオン』の打ち上げで、大友啓史監督が『あなたは日々、日常を楽しんでしっかり生きてください』と言ってくださって。当時はあまり意味を理解できていなかったのですが、(日常は)全部、役者という仕事の役に立つので、『そういう意味だったのか』と、この1~2年でかみしめるようになってきました」と明かし、「自分がしたい私生活の時間の使い方ってなんだろう、と考えるようになりました。“自分のための暇”を大事にするようになった気がします」と柔らかい笑顔を浮かべていた。
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