STAND BY ME ドラえもん 2:3DCGでおばあちゃんを描く 家族の絆、感情の機微を表現 未来を「幸せな空間に」

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「STAND BY ME ドラえもん 2」の一場面(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners

 藤子・F・不二雄さん原作の人気マンガ「ドラえもん」の3DCGアニメの続編「STAND BY ME ドラえもん 2」が公開された。同作は、原作でも名作として知られる「おばあちゃんのおもいで」をベースに、前作で描かれた「のび太の結婚前夜」に続く結婚式当日が描かれる。八木竜一監督は「のび太のおばあちゃんを3DCGで描くことが使命だった」といい、「家族のつながりを表現したかった」と語る。3DCGで「ドラえもん」の名作を描く上でのこだわりを聞いた。

 ◇ドラえもんがいる日常は「すこしふしぎ」な非日常

 「STAND BY ME ドラえもん 2」は、2014年に公開され、ヒットした「STAND BY ME ドラえもん」の続編。のび太としずかの結婚を巡るラブストーリーが描かれた前作に続く物語で、2人の結婚式当日が描かれる。ある日、のび太は、幼稚園の頃に亡くなったおばあちゃんのことを思い出し、タイムマシンで会いに行く。おばあちゃんは小学生になったのび太に驚きながらも優しく受け入れ、「あんたのお嫁さんをひと目見たくなっちゃった」とつぶやく。その願いをかなえるため、のび太とドラえもんは、結婚式当日の未来へと出発するが、結婚式場にのび太の姿はなかった……という展開。前作と同じく八木さんが監督、山崎貴さんが脚本・共同監督を務めた。

 続編は「おばあちゃんのおもいで」をベースにすることは最初に決まったが、そのエピソードをどう膨らませるか、熟考を重ねたという。そこで、とあるスタッフの「結婚式の日にのび太が逃げちゃったりして」という一言で、前作に続く物語として結婚式当日を描くことが決まった。続編は「おばあちゃんのおもいで」と結婚式当日のストーリーのほかに、原作のエピソードの「ぼくの生まれた日」「45年後……」の内容が織り込まれている。八木監督は、山崎さんの脚本を読んだ時、「『STAND BY ME ドラえもん』らしい」と感じたという。

 「『STAND BY ME ドラえもん』は、『ドラえもん』の短編を原作とするべきというルールが今回で固まりました。だから、ドラえもんたちは大長編(『大長編ドラえもん』)のように冒険には出ない。ドラえもんがいる日常をベースに話を進めていく。ただ、ドラえもんがいる日常は、ある意味非日常なんです。非日常な日常というか。F先生がおっしゃっている『すこしふしぎ』精神をすごく大事にしています」

 ◇人と人のつながりを「手」で表現 おばあちゃんを描くこだわり

 八木監督は、前作から比べ、続編でこだわった点を「喜怒哀楽を繊細に表現していくこと」と語る。

 「前作は、キャラクターも原作に出てくる表情に準じた演技をさせていたんです。でも、今作はオリジナル要素が強いので、リアルにお客さんの気持ちに寄り添えるように目線の動きも含めて表情に気をつけました。お客さんが100人いたとして、99人が同じように、『このキャラクターは今こういう気持ちなんだな』と思ってもらえるように作りました」

 なかでも、しずかのような「キレイな人は崩しづらいので難しい」といい、「目の開き方もミリ単位でこだわりました。ミリ単位で演技が変わるんです」と語る。のび太のおばあちゃんの造形も試行錯誤を重ねたという。

 「『ドラえもん』のキャラクターは、小判形の目をしていますが、現実にはそういう目をした人はいない。いわゆる嘘(うそ)の世界の中で、ちゃんと存在できるおばあちゃんを作ることが使命だと考えてました。顔のしわをリアルに作り込めば作り込むほど、すごくリアルなおばあちゃんになってしまうので、しわ1本1本もデザインされていないといけないんです。ただ、リアリティーもある程度持っていないといけない。そのせめぎ合いがありました。手のしわもリアルになりすぎないようにしながらも、おばあちゃんが苦労したことを伝える手にしたかった。3DCGのいいところは、そういう質感が具体的にビジュアルとして入ってくること。見る人におばあちゃんの人生を想起させるように描きたいと思いました」

 感情の機微や家族の絆を描く今作では、手のアップのシーンが多く登場する。おばあちゃんがのび太の手を握るシーン、結婚式でのび太としずかが手をつなぐシーン、生まれたばかりの赤ちゃんののび太がパパと手をつなぐシーンが印象的に描かれる。

 「家族のつながりを表現する時に手を重ねる、手を握ることで、話さなくてもお互いの思いが伝わるんじゃないかという思いがあったので、できるだけ手のアップを象徴的に入れていきたいと考えました。手の握り方も、どっちが差し出してどう握るのか、それぞれのシーンで変えています。おばあちゃんはのび太の手を包み込むように握る。結婚式ののび太としずかは同等の立場なので、どちらかが手を差し出すのではなく、同時に2人で手をつなぎたいと思ってつなぐ。赤ちゃんののび太は、お父さんの手にしがみつくようにする。それぞれの関係性が分かるように描き分けました」

 ◇あの時、想像した明るい未来 「ユートピアであってほしい」

 八木監督は、続編では「世界を広げた」と話し、大人になったのび太としずかが暮らす未来の街並み、結婚式会場のプリンスメロンホテルの内観が壮大に描かれる。

 「例えばのび太たちがタケコプターで空を飛ぶ時、高く飛べば飛ぶほど、遠くまで見えるじゃないですか。前作でも高く飛ぶシーンはあったのですが、そのシーンを夜にしていたので街並みなどは少しごまかせたんです(笑い)。今回は昼間だったので、世界が地続きで広がっているように街並みを作るのは大変でしたが、やってよかったなと。プリンスメロンホテルは、玄関を入ると巨大な吹き抜けのエレベーターホールがあって、屋上に教会と披露宴会場がある。場所を作り込むだけでなく、モブキャラクターをたくさん置いて、華やかにホテルとして機能しているところを見てもらいたいと思いました」

 のび太がしずかと結婚する未来は、現代ののび太の世界から10数年後となるが、今作では、八木監督自身が「ドラえもん」を読んでいた「あの時の想像していた明るい未来が表現できたら」と考えた。

 「僕らが『ドラえもん』を読んでいた時に感じていた未来、21世紀を表現したいと思いました。ドラえもんと出会ったのび太が大人になった場所は、やはり幸せな空間であってほしい。決してディストピアではなく、ユートピアであってほしいというメッセージを込めました。だから、未来の街を歩いている人たちも楽しそうにしているんです」

 八木監督は誕生50周年を迎えた「ドラえもん」の魅力を「のび太というキャラクターの持つ普遍性」と語る。

 「F先生が本当にすごいのだと思うのですが、『ドラえもん』はいつの時代に読んでも古くないんです。それはドラえもんが素晴らしいキャラクターであることはもちろん、のび太というキャラクターの持つ普遍性にあると思います。のび太のダメなところも含めて誰もが共感しやすい。また、多くの人が『ドラえもん』に物の見方の基礎を教えてもらっているような気がします。原作に『どっちも、自分が正しいと思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ』というせりふがありますが、そういうことをさらっと言う。物事を根本的に捉えるということを学べる作品だと思いますね」

 「STAND BY ME ドラえもん 2」には、結婚式から逃げ出してしまう情けないのび太、おばあちゃんの願いを必死にかなえようとする優しいのび太、男らしいのび太と、さまざまなのび太が登場する。そんなのび太の晴れの日を、スクリーンで祝福したい。

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