内山夕実:テレビアニメ「無職転生」の挑戦 男の子を演じる喜び 

「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」に出演する内山夕実さん
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「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」に出演する内山夕実さん

 小説投稿サイト「小説家になろう」で人気のライトノベルが原作のテレビアニメ「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」が1月10日からTOKYO MXほかで順次、放送される。原作は“なろう系”ラノベのパイオニアとも言われる人気作。主人公で、34歳無職の男性が異世界に転生した男の子、ルーデウス・グレイラット(ルディ)の声優を務めるのが内山夕実さんだ。内山さんは、これまでにも男の子を演じた経験があるが、ルディはこれまであまり演じたことがないタイプのキャラクターということもあり、挑戦になったという。内山さんの「無職転生」のアフレコ、挑戦について聞いた。

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 ◇原作を読んで思い浮かべた家族のこと

 「無職転生」は、34歳無職の男性が家を追い出され、トラックにひかれて死んでしまうが、剣と魔法の異世界で生まれ変わり、前世での知能や後悔を生かし、新たな人生が動き始める……というストーリー。MFブックス(KADOKAWA)で書籍化され、コミカライズも展開されている。アニメは、「ゲーマーズ!」などの岡本学さんが監督を務め、WHITE FOXとEGG FIRMが設立したスタジオバインドが制作する。内山さんのほか、小原好美さん、加隈亜衣さん、茅野愛衣さん、杉田智和さんらが声優として出演する。

 「無職転生」というタイトルはインパクト大だ。内山さんもタイトルに衝撃を受けたというが、原作を読み進める中で、すっかり作品のとりこになった。思い浮かべたのは家族のことだった。

 「タイトルが衝撃的で、どんな内容なんだろう!?と読んでみると、ファンタジーですが、心情などがリアルで、さまざまな世代が共感できるところがあると感じました。私の場合は、年齢的に家族のシーンで、自分が親になったらとか、親はこんなふうに考えていたのかな?と想像しました。子供の頃、親は何でもできる存在と思っていましたが、親にも葛藤があったり、いろいろな経験があったりしたのかな?と想像したり。私は長女なんですけど、親とお酒を飲んだ時、子育てはルールがないから、特に最初の子供は正解が分からず、悩んだ……と話を聞いたことがあったんです。私の年齢だからそういうふうに感じたのでしょうし、いろいろな世代の方がいろいろな見方ができる作品なのかもしれません」

 内山さんが演じるルディは、アスラ王国フィットア領の小村・ブエナ村を治める下級貴族グレイラット家の長男。前世では家から追い出された34歳で無職の引きこもりだったが、転生を機に、本気で生きることを決意する。男の子役ということで、特別な思いがあった。

 「そもそも男の子を演じてみたい!と思い、声優を目指したんです。女子校出身でして、演劇部で男の子を演じたこともあります。でも、見た目は女性なので、どうしても女性に見えてしまいます。声のお芝居であれば、性別の垣根を超えられる!と憧れていたんです。男の子を演じさせていただくことはうれしいですね。それに、ルディのように成長していく男の子を演じたことは、これまであまりなかったので、挑戦になりました」

 ◇杉田智和の演技は想像以上の変態!?

 ルディを演じる中で意識しているのは、リアリティーのある芝居だ。

 「世界観はファンタジーですが、リアリティーのある芝居を意識しています。男の子の声色を強く意識するのではなく、感情を大切にして、それが結果的に声色につながれば……と考えています。前世のこともあって、精神年齢は30代ですし、普通の男の子ではありません。目の前で起こる出来事に対して、新鮮な反応をしないんです。絵が可愛らしいので、可愛さを意識したくなるところですが、温度感を抑えようとしています。前世は変態のような一面もあります(笑い)。彼の大事な要素ですし、監督をはじめスタッフの方々はそこにもこだわっているので、変態らしい息づかいも意識しています」

 杉田智和さんが、ルディの前世の無職の男性を演じることも話題になっている。杉田さんの演技は意識したのだろうか?

 「こういうご時世なので、なかなか皆さんと一緒にアフレコできないのですが、杉田さんとご一緒させていただく機会もありました。ある程度は脳内で杉田さんの声を再生していましたが、実際にお芝居を聞くと、想像以上に振り切ったお芝居だったんです(笑い)。女性が分からない領域といいますか……。映像のテイストはまろやかですが、杉田さんの演技がスパイスになっていて、あるとないとでは全然違います。すごく面白いんです。杉田さんの演技に引っ張られる時もありますが、なるべく自分の演技に集中しようとしています」

 “ライブ感”も意識してルディ役に向き合っている。

 「当たり前ですが、キャラクター自身はその物語の中で生きているので先のことは分からないものです。ライブ感を大事にしようと思っているので、収録のタイミングに合わせて原作を読み進めるようにしています。主人公を諭すポジションのキャラクターの場合、先を知っていた方がいいですが、ルディの場合、失敗をしながら、成長するので、そこを意識しています。先が気になるので読みたくなるんですけど。葛藤があります。知りたい!って」

 ルディは異世界に転生するが、特別な能力があるわけではない。成長していく姿が魅力でもある。

 「ルディの成長が丁寧に描かれています。ルディは前世を後悔していて、異世界では納得がいく生き方をしようと努力します。異世界では、魔術などは珍しくないものですし、彼だけの特別な能力が備わっているわけでもないルディが、懸命に試練に立ち向かい、成長していきます。完璧ではないのが、魅力でもあります。成長を温かく見守っていただければうれしいです」

 最後に今年の抱負を聞いてみると「毎年言っているのですが、健康を大切にしていきたいです。2020年は、健康を考えさせられる年だったので、今年は健康を第一にコンディションを整え、『無職転生』に取り組みます!」と話す内山さん。健康、そして全力で挑んだ「無職転生」の演技が注目される。

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