新型コロナウイルス感染拡大の影響で、さまざまな映画やドラマが延期になるなど、エンターテインメント界が大きく揺れた2020年。そのなかでも、連続ドラマ3本、映画2本で主演を務めた浜辺美波さんは、今年最も活躍した女優の一人と言っても過言ではないだろう。「役柄の幅は縦横無尽に広がる」……そんな言葉も頭をよぎる、浜辺さんの2020年を振り返る。
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浜辺さんと言えば、2011年の女優デビュー以来、可憐(かれん)なルックスを生かした爽やかな役から、変顔満載のコミカルな役、“賭け狂う”エキセントリックな役など、10代にして幅広いキャラクターを演じる実力派女優としての地位を確立してきた。
2020年は、1月期の連続ドラマ「アリバイ崩し承ります」(テレビ朝日系)からスタートした。容疑者のアリバイを崩すのが得意な時計店の若き店主・美谷時乃を演じ、「時を戻すことができました。アリバイは、崩れました」という決めぜりふで難事件解決の一翼を担った。
深夜のミステリー作品のヒロインという、若手女優の登竜門的な役柄を、ビジュアルを生かした可愛らしさいっぱいに演じ、フレッシュな魅力を振りまいた。
続く8月公開の映画「思い、思われ、ふり、ふられ」では、浜辺さんを世に広く知らしめた映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」(2017年)で共演した北村匠海さんと再タッグを組み、切ない恋愛物語に再挑戦。こちらも浜辺さんの“可愛らしさ”が強調される、ある意味で自身のポテンシャルを存分に生かした役柄を演じたが、本作では、初となるキスシーンに挑戦したことも大きな話題になった。
「思い、思われ、ふり、ふられ」公開と同時期に放送がスタートした連続ドラマ「私たちはどうかしている」(日本テレビ系)では、過去に母親が殺人の罪を着せられたことの無実を証明するために、名前を変え、復讐(ふくしゅう)を果たそうとする和菓子職人・花岡七桜を演じた。
「アリバイ崩し~」「思い、思われ~」とは違い、心に深い闇を忍ばせたキャラクターは、陰鬱でありつつ、非常に艶っぽい部分も垣間見せた。劇中では、横浜流星さん演じる高月椿を、復讐を果たす相手と思いながらも、惹(ひか)かれてしまう複雑な感情を好演。かなり大胆なキスシーンなどもあり、大人っぽさという縦軸への幅の広さもまざまざと見せつけた。
NHKの「ドラマ10」枠で放送された「タリオ 復讐代行の2人」を経て、12月に公開された映画「約束のネバーランド」では、明るく元気で正義感が強い15歳の女の子・エマをはつらつと演じた。「私たちはどうかしている」の“艶っぽい浜辺美波”のあとだけに、そのギャップに驚かされる人も多かったのではないだろうか。
もちろん、映画とドラマでは撮影時期が違うため、公開や放送順が時系列にはなっていないが、(『約束のネバーランド』は「私たちはどうかしている」よりも前の撮影)同時期にガラリと違った顔を見せられるのは、かなり大きなインパクトになる。
年相応の役柄をしっかり演じられるようになりたいと話していた浜辺さん。今年8月で20歳を迎えたが、幼くも見えれば、大人っぽくも見える不思議な魅力を持つ。さらに確かな演技力で、さまざまなキャラクターをこなす姿を見ていると、演じられる役柄は縦横無尽に広がっていくように感じられる。
2021年も1月13日から始まる連続ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日本テレビ系、水曜午後10時)で、菅野美穂さん演じる水無瀬碧(みなせ・あおい)の一人娘のアニメオタク・水無瀬空(そら)を演じるなど、その勢いはとどまることはないだろう。(磯部正和/フリーライター)
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