ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
万人向けコンテンツの代表格とも言われるディズニー。しかし、“ツイステ”の相性で知られるスマートフォン向けゲーム「ディズニー ツイステッドワンダーランド」やディズニーの名曲を2.5次元俳優や人気声優が歌う「Disney 声の王子様」といったコンテンツでは、これまでと異なる動きが出ているようだ。アニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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人気スマートフォンゲーム「ディズニー ツイステッドワンダーランド(ツイステ)」や、カバーアルバム「Disney 声の王子様(特に2018年以降のシリーズ)」など、近年“ディズニー”関連ではあるものの、一般的に思い浮かべられるディズニー作品とは少し違ったテイストのコンテンツが続々と登場しているのをご存じでしょうか。これらの作品は、特に女性の、アニメや2.5次元ファンを中心に人気が高く、現在そうしたファン層による局地的な盛り上がりをみせているのが特徴です。世界的にも有名なディズニーが、広くマスな層ではなく、こうして現在、特定の層の間での熱烈な人気を生んでいるのは、一体どうしてなのでしょうか。
まずポイントとなっているのが、これらの作品では、上記特定のファン層に特に刺さる絶妙なキャスティングとスタッフィングが行われていることだと思います。
一般的に俳優やタレントの起用が話題になることの多い他のディズニー映画と違い、「ツイステ」や「声の王子様」に参加しているのは、女性ファンに人気の高い声優や2.5次元俳優が中心です。また「ツイステ」に関しては、原案・メインシナリオ・キャラクターデザインにマンガ「黒執事」の枢やなさんを迎えるなど、クリエート部分のスタッフィングも、そうしたファン層に馴染み深いものになっています。
そうしてこれらの作品は、広くディズニーのファンに向けて、というよりは、どちらかというとアニメや2.5次元ファンに向けて、ディズニーだけでなく好きなキャストや世界観もきっかけにして作品に入れるように、広く門戸を開いているのでしょう。そのため“ディズニー”と冠するものの、作品のファン層もディズニーのファンというよりは、アニメや2.5次元ファン、もしくは元々ディズニー「も」好きな、アニメや2.5次元ファンといった特定の層が中心となっているのだと思います。
もう一つのポイントは、「ツイステ」や「声の王子様」が、そうした特定のファン層を中心としていることもあり、他の一般的なディズニー作品やそのスピンオフ作品とは、適度な距離感をもって展開されているところです。
上記の作品は、他のディズニー作品と並んでディズニーリゾート内でのショーやパレード、グッズ販売をするのではなく、どちらかというとディズニー以外の、女性人気が高い日本の作品と同じように、ライブイベントや配信番組、アニメショップなどでのグッズ販売やコラボカフェといった展開を中心としています。そうすることで、ひとえに同じディズニー関連の作品といっても、それぞれのファンは(重なる部分や衝突もあるものの)基本的には住み分けがなされており、ファンの活動内容もあまりかぶらないようになっているのでしょう。
そうした施策もあって、“ディズニー”と冠するものの、一般的なディズニー作品のムーブメントとは別に独自の盛り上がりを生み、それが局地的なムーブメントとなっているのです。
こうして生まれた「ツイステ」や「声の王子様」などの、特定のファン層による局地的なムーブメントは、特徴としてはディズニー作品というよりも、先に挙げた女性人気の高い日本の作品の盛り上がり方に近い特色を持っています。それには恐らく、作品を展開するにあたり、そのあたりの事情にも詳しいアニプレックスやエイベックスといった企業が参加していることがかなり大きいのではないでしょうか。
現在日本で、世界的にも有名なディズニーの作品でありながら、広くマスな層ではなく、特定の層の間でも熱烈な盛り上がりを生んでいるのは、ディズニーが日本のアニメや2.5次元ファン文化をうまく取り込み、(かつての『キングダム ハーツ』ともまた少し違った形で)ローカライゼーションしている結果なのだと思います。
局地的なムーブメントとはいえ、特に今年配信開始した「ツイステ」などは、「ネット流行語100 2020」や「Twitterトレンド大賞2020」でもランクインしたように、その人気や注目度はかなり高く、年明け以降の展開も気になる話題作です。
世界をまたにかけたディズニー関連のコンテンツでありながら、他の国ではまずみられないこうした作品やムーブメントは、近年アニメや2.5次元市場を盛り上げる中心層となっている女性ファンとの相乗効果によって、今後もどのような盛り上がりをみせていくのでしょうか。これからもますます見逃せません。
こあらい・りょう 埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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