加藤ミリヤ:清水翔太は「不思議な存在」 中島美嘉、AI、青山テルマとコラボも 日本武道館公演1・17放送

加藤ミリヤさん
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加藤ミリヤさん

 シンガー・ソングライターの加藤ミリヤさんが、2020年11月29日に日本武道館(東京都千代田区)で開催したライブの模様を伝える番組「加藤ミリヤ 15th Anniversary 『MILIYAH BUDOKAN 2020』」が1月17日午後9時からWOWOWライブで放送される。加藤さんが武道館で公演を行うのは約10年ぶりで、公演はデビュー15周年イヤーの締めくくりとして開催。清水翔太さん、中島美嘉さん、AIさん、青山テルマさんら豪華ゲストが出演した。番組の放送に先駆け、加藤さんがデビュー15周年を迎えたことへの思い、ライブの裏側、番組の見どころなどを語った。

ウナギノボリ

 --デビュー15周年イヤーの締めくくりとなる日本武道館公演を無事に終えました。今どう振り返っていますか?

 一番は「安心している」というのが正直な気持ちです。ちょうど1年前に開催をアナウンスさせてもらって、まさかその1年後にこういう世の中になるとは誰も想像していなかったので……。ギリギリまでどうなるか分からず様子を見ることしかできなかったんですけど。集客を収容人数の半分にせざるを得ない中、“やることに意味がある”ということをチームの皆でまずは思っていて。とりあえず無事に開催できて、よかったです。

 --コンセプトやセンターステージ演出、セットリストなど、どんなことをポイントに組み立てたのでしょうか?

 初めての武道館(2009年)の時からずっと同じチームでライブをつくり続けているんですけど、センターステージにするのは初めてで、新しい挑戦でした。武道館の形状に合わせてステージを八角形にしたのは、それが360度どこからもお客様にとって一番見えやすいからなんですね。安全面も含めて、とにかく“お客様ファーストで考えるステージにしよう”と決めていました。セットリストは、“絶対に歌いたい曲”と“歌わないといけない曲”を書き出したら、その時点で時間的にあり得ないすごい量になってしまったので(笑い)、メドレーで楽しんでもらったり。音を止めないライブが好きでそれが小さなこだわりでもあるから、(衣装チェンジのため)私が出ていない部分は、当日歌わない私の曲をバンドに演奏してもらう演出をしたり。1曲目の「SAYONARAベイベー」では、“初武道館の時のオマージュにしよう”とふと思い付いて、衣装も同じ感じにしてみました。

 --デビュー曲「夜空」を歌う時に特別な感慨があったと思いますが、いかがでしたか?

 今私が32歳で、本当に「自分の人生の半分、加藤ミリヤだなあ」と改めて感じていて。この曲を歌うと、「音楽で自分の道を自分で切り開きたい!」と思っていた初心に帰ることができるんです。いろいろな環境の変化があっても、「あの時のメラメラした気持ち、忘れてないなあ」と思える。だから今、自分の中で熱い曲ですし、好きですね。

 --デビュー当時に思い描いた未来像はイメージ通りになっていますか? それとも大きく違っていますか?

 全然違うかな? まず、歌っているとは思ってなかったので。当時のインタビューでよくいただいた「10年後は何をしていると思いますか?」という質問には、いつも「分かりません」と答えていたんですよ。自分が「歌手になりたい」と思ったのは、まずは詞で言いたいことが元々あったからで、10年後もメラメラと枯渇しないで自分がそれを持っているとは思えなかったんです。そういう意味では、15年後の今自分がこうなっているのは想像しなかったことですね。

 --今回のライブは、豪華ゲスト陣とのコラボレーションも見どころでした。それぞれ印象に残っているエピソードをお聞かせください。まず「FUTURECHECKA」ではSIMONさん、COMA-CHIさん、TARO SOULさんが出演されました。

 「FUTURECHECKA」はかなり初期の曲なので、もしかしたら最近私の曲を聴き始めた人は知らないかもしれないですよね。でも、例えばマイクリレーのようなヒップホップ独特の盛り上がり方、あの感覚を皆に少しでも感じてもらえたらなあと思って。楽しかったですし、3人が一生懸命やってくれたので、私はそれに身を委ねているような感じでした。この15年ぐらいの間に音楽活動を辞めてしまう人たちも結構いたから、「皆がまだ歌っていてよかった」という安心感もありましたし、個人的にはそこにもグッときました。

 --ミリヤさんがギターを弾きながら中島さんと「Fighter」をデュエットしましたが。

 美嘉ちゃんがステージに出てきて、空気が変わったのを感じましたね。すごい先輩ですし、いまだに「あ、私美嘉ちゃんと歌ってる」と驚くし、立っているだけでも醸し出す圧倒的な存在感にハッとしました。ファッションが好きという共通点があって、私が着ていたヴィヴィアンウエストウッドの衣装を見て、美嘉ちゃんも同じ(襟部分が)ハートの「ラヴジャケット」を用意して、スタイリングもシンクロさせてくれたのもうれしかったです。今、美嘉ちゃんも周年(※2020年11月にデビュー20周年)だし、いろいろ頑張っているのを見てたくさん刺激をもらっています。

 --そして「LALALA feat.若旦那(湘南乃風)」では、一部替え歌もあり和気あいあいとしたムードになりました。

 「LALALA~」は19歳の時の曲なんですけど、リリースした時からずっと「好きです」といろいろなところで言ってもらい続けているので、このタイミングで歌いたかったんです。若旦那さんが来て盛り上げていただけて、すごく楽しかったですし、うれしかったですね。

 --「I'll be there with you feat. AI & 青山テルマ」ではAIさん、青山さんと感極まる場面もありました。

 あれはハイライトだったんじゃないかな? と思っています。AIちゃんとテルマはプライベートでもしょっちゅう連絡を取り合っているし、同じ音楽シーンで活動している中であの2人は、お互いにとってそれぞれがそういう存在なんです。3人とも共通して、今まではたくさんライブをしていたのに、コロナ禍でお客さんがいる前でずっとできていなくて、「ライブしたい!」という気持ちもあったし。武道館のあのセンターステージでお客さんに囲まれて、3人で見つめ合っていたらグッと来ましたね。歌詞の内容がより入ってきてすごく良かったし、「そういう存在がいてありがたいな」と思いました。

 --アンコールでは清水さんと「Love Forever」「Sakura Melody」を披露しました。ミリショーとしてたくさんの楽曲がある中、この2曲を選んだ理由を教えてください。

 「Love Forever」はテッパンなので歌わない理由がないですし、ミリショーはコラボレーションではなくてやっぱり特別なグループだったので、1曲で終わるのはもったいない気がしてしまって。せっかくならもう1曲、だったらミリショーが終わるタイミングで出した「Sakura Melody」がいいなと思って選びました。

 --実際にステージで一緒に歌われていた時、どんなフィーリングでしたか?

 「すごく大人になってるなあ」と思いましたね(笑い)。ミリショーは本当にたまにしか活動しないし、年に数えるほどしか会わないんですけど、翔太は不思議な存在で。常に私は翔太のことを素晴らしいと思っているし、影ながらすごく応援していて、会うといつも「恥ずかしい」という感覚があるんです。でも歌うとハマるというか、自分の声と翔太の声の成分がすごくかみ合うなあと改めて感じました。今回のライブにはたくさんのゲストの方々に来ていただいて、本当にありがたかったですね。

 --ファンの皆さんとSNS上で作った新曲「COLORS」を初披露しました。実際にファンの前で歌ってみて、どんなお気持ちでしたか?

 本当に、(ファンの存在は)“自分が歌えている理由”だなと思うんですよね。ライブというのは、その感謝する気持ちを忘れずにいられるから、私にとってすごく大事な場所で。これだけいろいろなすばらしい歌手の方がいる中で自分を選んでくれて、「好き」と思ってくれて。しかも今こういう状況で、会場まで来てくれる存在って……。もう、「本当にありがとう!」と思うし。皆がどういう顔をしながら聴いてくれているのかな? と気になって、なるべく見るようにしていました。コロナ禍で普段通りの生活ができない中で、「皆で一緒に曲作ってみようよ!」という企画によって少しでも日々に楽しみが増えたらいいなあという思いから生まれた曲だったんですね。最終的にファンの皆の声も入れたいので、まだ完成はしていないんですけど。実際に会えなくても、そうやってファンの皆とうまく楽しめることをこれからは考えていきたいな、と思っています。

 --「人生の半分を加藤ミリヤとして生き“させて”もらって、感謝しています」というMCがありました。デビュー以降、ファンに対する気持ちが変化した部分はありますか?

 わりと私は“ファンと(距離感が)近いタイプ”だとは思っているんです。ただ、デビューしたばかりの頃、初めてのライブを開催するまではまだ、どういう人が自分を応援してくれているのか分からなかったので、“自分のために歌っている”感が強かった。でも今は使命感かな? それは私に限ったことではなくて、“自分でなければ成り立たない”という使命感を持って皆さんそれぞれにお仕事をされていて。それと同じように、自分も自分にしかできない音楽での伝え方、音楽を通してのファンとの関わり方をしたい、というのは年々考えるようになってきましたし、色濃くなってきていますね。

 --15周年イヤーの集大成ライブを終え、これまでのキャリアを振り返った時、ターニングポイントはいつだったと思いますか?

 3枚目のシングル「ディア ロンリーガール」を出した時ですね。高校1年生の最後に作ったんですけど、コギャル時代の当時、女子高生のことを歌った曲で。いろいろな怒りがモチベーションになっていた時だったので、「今の私の気持ちを歌いたいし、とにかく1回自分が思うようにやらせてほしい!」と言って曲を何回も作り直して、髪も金髪に染めて。そうしたら、同世代の女の子が一気に自分に興味を持ってくれた、と肌で感じたんですよ。その時に「あ、自分が本当に心から思っていることを歌にする、というのが私の音楽でやりたいことだし、やるべきことだな」とふと思ったんです。それはターニングポイントになりましたね。

 --以降、10代、20代とどの年代でもリアルな表現を貫いてきました。武道館では「自分自身を愛すること。自分自身を誇りに思うこと」の大切さを語っていらっしゃいましたが、それが30代の今伝えたいことなのでしょうか? 

 そうですね。10代は今振り返ると無敵だった。どうしようもない孤独感みたいなものはずっとあったんですけど、“自分の生きている世界が一番だ”と思っていて、怖いものはなかったんですよ。でも大人になって、20代前半には一瞬モヤモヤ期もあったし、20代後半になっていくと“女性として生きていくこと”に直面していく、というか。20代は“自分のことが好きだけど嫌い”みたいな感じでした。30代になってやっと“やっぱり、自分を幸せにできるのって自分しかいないな”と私自身も感じるようになったんです。あとはやっぱり、多様性ですよね。いろんな人生があっていい、というのも伝えたい。世の中はカテゴライズしたがるし、“これが一番いいよ”というのを押し付けられている感じがあって……。“結婚してるから偉いのか? 大人として一人前なのか? それは違う!”と言いたい、とか(笑い)。皆がそれぞれに自分の中で自分の人生を腹に落とすことができれば、そんなに苦しくないはずだし。私のファンの子の中にもモヤモヤしている子たちはいるので、「それでいい」と言いたいし、「自分の人生が好き」って皆が思えたらもっと生きやすいな、と思うんですよね。

 --ファッションブランドのデザイナー、作家としても活躍されています。今、音楽という存在はミリヤさんの中でどういう位置付けでしょうか?

 ずっと変わらないのは、音楽が一番プライオリティーが高くて、比べられないぐらい一番大事な最優先事項である、というところです。それがあったからファッションもできて本も書けたし、そのことを絶対に忘れない、という思いもあって。大変なんですけど、やっぱり私は歌を書くことが好きで。武道館公演をこの間やってみてさらに、ライブをすることが一番自分の好きなことで、大事なんだなあと思いました。ライブをしたくて歌を書く、という感じもあります。

 --今後の目標、表現してみたいことがあれば教えてください。

 シンプルに、「自分はこの曲を書くために生まれてきたんだな」と思える曲を書きたい、というのが一番の夢です。後は、伝えたいことをもっとちゃんと伝えられるようになりたいな、とは思っていますね。もっと人のことを勇気付けることができるはずなのにって、いつももどかしく思っています。「母になって変わっていくのかな?」と思っていたんですけど、自分にはやっぱり音楽を通して伝えたいことがあるな、と。止まれない自分がいるんですよね。このコロナ禍で「あ、こんなに音楽好きだったんだ」と改めて気付きましたし、音楽を始めたばかりの時と同じぐらい、今新しい曲を作っていても、すごく楽しいんです。

 --番組の見どころ、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

 いろんなアーティストさんのライブを見られて、目も耳も肥えた視聴者の方が多いと思うので、だからこそWOWOWさんで見ていただけるのがいつも本当にうれしくて。「私のライブはこういうスタイルでやっている」と紹介できるような要素がギュッと詰まったステージにしたい! と思って作ったものだから、目で見ても、もちろん耳でも楽しめると思います。生配信もしていたので、カメラワークもスイッチングの仕方も事前に細かく決めましたし、映像としても面白くなっているはずです。画面越しで見ても現場にいるかのような気持ちになってもらえると思いますので、楽しんでもらいたいです!

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