杉咲花:まだまだいる同年代の“演技派”女優 芳根京子、黒島結菜、小芝風花…“97年組”に注目

連続テレビ小説「おちょやん」の演技も好評だった杉咲花さん
1 / 1
連続テレビ小説「おちょやん」の演技も好評だった杉咲花さん

 5月14日に最終回(放送は15日まで)を迎えた103作目の連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」(NHK総合)で主演を務めた杉咲花さん。山あり谷ありの“泣き笑いのエピソード”の中で、ヒロイン・千代の人生を見事に演じきった杉咲さんの演技に対して、称賛の声が多数集まっている。2016年公開の映画「湯を沸かすほどの熱い愛」で、翌年の「第40回日本アカデミー賞」最優秀助演女優賞と新人俳優賞に輝くなど、以前から高く評価されていた実力を改めて証明した形だ。そんな杉咲さんと同じ、1997年生まれの“演技派”女優を紹介する。

ウナギノボリ

 ◇朝ドラヒロインの“先輩”芳根京子 映画「ファーストラヴ」では“怪演”も

 杉咲さんより5年早く、2016年度後期の「べっぴんさん」で朝ドラヒロインを務めたのが芳根京子さんだ。早生まれのため、学年こそ杉咲さんの一つ上だが、同じ1997年生まれ。2013年に「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系)で女優デビューし、2014年度前期の朝ドラ「花子とアン」ではヒロインの親友・蓮子(仲間由紀恵さん)の娘・富士子を演じた。

 2015年の連続ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)で、約1000人の中からオーディションで主役の座を射止めると、2016年の「べっぴんさん」以降も、コンスタントに作品に起用され、北海道テレビ放送(HTB)の開局50周年ドラマとして制作された、2019年作「チャンネルはそのまま!」でのコミカルな演技も高く評価された。

 今年に入って、2月公開の映画「ファーストラヴ」では、殺人事件の容疑者として“怪演”とも言える迫真の演技を見せたことも記憶に新しい。現在、NHK「ドラマ10」枠(総合、金曜午後10時)で放送中の「半径5メートル」に主演。週刊誌の編集者という“働く女性”として劇中で奮闘し、今までにない艶っぽい姿(?)も披露している。

 ◇“足軽”から出世? 黒島結菜は来春の朝ドラヒロインに抜てき 

 2022年度前期の朝ドラ「ちむどんどん」のヒロインに抜てきされた黒島結菜さんも1997年生まれ。すでに朝ドラ2作(2014年度後期「マッサン」、2019年度後期「スカーレット」)、大河ドラマ2作(2015年「花燃ゆ」、2019年「いだてん」)に出演し、特に「いだてん」では、主人公・金栗四三(中村勘九郎さん)の教え子の女学生・村田富江として、凛(りん)とした美少女ぶりを披露。シマ役の杉咲さんとも共演し、運動界のアイドル的存在として劇中で躍動した。

 ドラマファンにとっては、NHKの実写ドラマ「アシガール」シリーズの“足軽女子高生”唯之助(速川唯)の印象も強い。「ごくせん」「デカワンコ」「高台家の人々」などで知られる森本梢子さんのマンガが原作の“超時空ラブコメ”は、黒島さんの好演もあり、人気作となり、2017年の連ドラ化から約1年後の2018年には、“完結編”となる特集ドラマ「アシガールSP ~超時空ラブコメ再び~」も放送された。

 そんな黒島さんは、2019年公開の映画「カツベン!」のヒロイン役で、2020年、「第43回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞。今年2月から放送されたEテレの連続ドラマ「ハルカの光」でも主演を務め、インテリアを超えて芸術品の領域に達した「名作照明」に魅せられた“照明バカ”のヒロインに扮(ふん)した。前述の「ちむどんどん」は、2022年に本土復帰50年を迎える沖縄が舞台。沖縄料理に夢をかけるヒロインと、強い絆で結ばれた4兄妹の笑いと涙の物語となるといい、沖縄出身の黒島さんにかかる期待は大きい。

 ◇役の振り幅では負けていない小芝風花

 1997年生まれには、そのほか今田美桜さん、桜井日奈子さん、中条あやみさん、松本穂香さん、山本舞香さんらもいるが、“演技派”として、もう一人挙げておきたいのが小芝風花さんだ。

 「未来の朝ドラヒロイン」に推すドラマファンも多いという小芝さん。2012年の女優デビュー以降、持ち前の愛らしさで多くの視聴者を魅了してきた。2019年のNHKの主演ドラマ「トクサツガガガ」での隠れ特撮オタク役がハマって以来、「コメディエンヌ」のイメージが先行しているが、シリアス演技にも定評はあり、役の振り幅では、他の同年代にも負けていない。

 代表作となった「トクサツガガガ」後も、「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」(テレビ朝日系、2019年)、「パラレル東京」(NHK、2019年)、「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系、2020年)、「書類を男にしただけで」(TBS系、2020年)、「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」(テレビ朝日系、2021年)と次々とドラマ主演に起用されてきたのも実力の表れだ。朝ドラヒロイン候補に名前が挙がるのもうなずける。

 ここまで紹介してきた1997年生まれの女優陣は今年“年女”でもある。年齢的にも20代半ばに差し掛かり、今まで以上に幅広い役どころで映像界を牽引(けんいん)していくのではないだろうか。今後の活躍に注目だ。

芸能 最新記事