金曜ロードショー:「サブスク時代に名作放送」の理由、リクエスト企画の経緯...番組Pに聞く

リクエスト企画「金曜リクエストロードショー」のロゴ=日本テレビ提供
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リクエスト企画「金曜リクエストロードショー」のロゴ=日本テレビ提供

 テレビで見たい映画を視聴者からリクエストを募る企画「金曜リクエストロードショー」で注目を集めている、日本テレビ系の「金曜ロードショー」(午後9時)。4月からは、番組タイトルを「金曜ロードSHOW!」から「金曜ロードショー」へ戻したこともあり、映画ファンの間で「原点回帰」「本気を出してきた」と話題になっている。映画のサブスクリプションサービス(サブスク)が盛んな時代に、地上波で名作を放送する理由や、リクエスト企画立ち上げの経緯などを、番組の北條伸樹プロデューサーに聞いた。

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 ◇25年ぶりの「E.T.」、反響は?

 「金曜ロードショー」では昨年から、リクエスト企画を展開。これまで「天使にラブ・ソングを…」「バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)」シリーズ、「E.T.」「プラダを着た悪魔」「タイタニック」が放送され、いずれも話題になった。さらに5月28日に「スタンド・バイ・ミー」、6月11日に「グーニーズ」の放送を控えている。

 昨年5月12日に放送された企画第1弾「天使にラブ・ソングを…」では、平均視聴率(世帯)は15.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)の高視聴率を獲得したのを皮切りに、6月12日の「BTTF」は14.5%、同月19日のPART2は12.4%、同月26日のPART3は11・2%と、シリーズ3作で10%越え。続く「E.T.」「プラダを着た悪魔」「タイタニック」も10%前後と、いずれも高水準を維持している。

 北條プロデューサーによると、このリクエスト企画の立ち上げとなるヒントは二つあったといい、「『ホーム・アローン』を2018年に放送した際、すごく視聴率も反響もよかった。実は12月だから『ホーム・アローン』という感じだったのですが、予想以上に反響がよく、『ニーズがあるのでは?』と、古い作品を掘り起こす機運が起こりました」という。

 長い間「金曜ロードショー」で放送されなかった名作を掘り起こすため、視聴者からリクエストを募ることになるのだが、「スタイルの原点は2020年に行われた、劇場版『名探偵コナン』のリクエスト企画。この企画には55万票近く投票があり、とても好評でした。そこで、コナン以外の作品にも対象を広げ、見たい作品のリクエストを募ろうということになりました」と説明する。

 これまでにリクエスト作品7作が放送されたが、反響はどうだったのだろうか。「若いころにリアルタイムで見ていたお父さん、お母さん世代の方から、『子どもたちや若い世代に見せたい』という声が多く寄せられました。最近は『金曜ロードショー』でかかっていなかったこともあり、若い方には新作のように見えるそうです。意外だったのは『E.T.』が10代にもよく見られていたことです。『初めて見たけど面白かった』といった声も聞かれ、非常にうれしかったです」と語る。「E.T.」が「金曜ロードショー」で放送されたのは、1995年3月10日以来、実に25年ぶりだった。

 ◇「新しい出会い」と「体験の共有」

 サブスクが普及し、懐かしい名作を手軽に自宅で楽しむことができる時代に、あえて金曜午後9時の地上波で放送する意味とは何か。北條プロデューサーは「二つあります」といい、「一つ目は、サブスクは自分で見たいものを選ぶという作業ですが、『E.T.』の例のように、これまで過去の名作を見たことのなかった世代が、実際に見たら面白かったといった、“新しい出会い”のきっかけを作ることが、地上波の意味だと思います」と強調する。

 続けて「二つ目は、大勢の人が同じ時間に同じ作品を見ているということ。リアルタイムで体験し、そのあとに学校や会社で映画のことで盛り上がったり、テレビを見ながらSNSでつぶやいたり、そういう楽しみができますよね。サブスクだとどうしても個人で見るため、感情の共有体験ができないので、そういった点が地上波の醍醐味(だいごみ)だと思います」と語った。

 映画体験を共有できるための仕組みとして、2020年7月から番組ホームページに「金曜ロードシアター」というページも立ち上げた。ページに表示される「笑い」「胸キュン」「ワクワク」「悲しい」「驚き」といったボタンを押すと、その顔文字が画面上に写し出され、ほかの視聴者がどのように感じているか分かる。コメントを書くこともできる。

 「映画を楽しんでいることを視覚化できる仕組みがほしいと思い、立ち上げました。我々としても、リアルタイムで楽しんでもらいたいという思いもあります」

 ◇映画回帰、「SHOW!」から「ショー」へ

 今年4月からは、2012年4月から採用されていたタイトル「金曜ロードSHOW!」が、「金曜ロードショー」とカタカナ表記に復活し、ロゴも変更された。以前ほどバラエティー番組やドラマなどが放送される機会も少なくなっている。

 北條プロデューサーは「『SHOW!』になった時の経緯が、映画だけでなくドラマやバラエティーなども放送できる、広い意味の『SHOW』にしようという意図がありましたが、ここ数年は映画回帰の機運が高まり、映画を多めに放送するようになっていました。そんな中、今年が『金曜ロードショー』35周年の節目ということもあったので、タイトルを戻しました」と経緯を説明。

 「また、SNSで話題になってもらうためにハッシュタグを付けてもらっているのですが、表記が『金曜ロードショー』と『金曜ロードSHOW!』に分かれてしまうことも多く、統一したほうがより広まるのでは、という機運もありました」と明かした。

 コロナ禍で新作映画を鑑賞するために映画館に足を運びづらい昨今、改めて名作映画の楽しみを感じさせてくれた「金曜リクエストロードショー」。今度はどの作品と“再会”できるのか、取り組みに期待したい。

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