和田庵:石井裕也監督から「和製リバー・フェニックス」 「茜色に焼かれる」出演の15歳に迫る

石井裕也監督の新作映画「茜色に焼かれる」に出演している和田庵さん
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石井裕也監督の新作映画「茜色に焼かれる」に出演している和田庵さん

 映画「舟を編む」(2013年)や「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」(2017年)などで知られる石井裕也監督の最新作「茜色に焼かれる」に出演した俳優の和田庵(いおり)さん。2005年生まれの15歳で、今回はオーディションを経て、主演の尾野真千子さんの息子役に抜てきされた。「完成した映画を見たときは泣きそうになりました。達成感はもちろんですが、自分の出てないシーンもあって、『こうなっていたんだ』とか純粋に知ることができましたし、とにかくグッときました」と明かす和田さんに話を聞いた。

 ◇オーディション秘話 自己PR動画の内容と石井裕也監督の言葉

 「茜色に焼かれる」は、石井監督が「愛と希望」をテーマに、時代に翻弄(ほんろう)される一組の母子を描いた。尾野さんが逆風を受けながらも前向きに歩もうとする母親・田中良子に扮(ふん)し、和田さんが良子の13歳の息子・純平を演じた。そのほか映画には、純平が憧れを抱く良子の同僚・ケイ役で片山友希さん、交通事故で命を落とす夫・陽一役でオダギリジョーさん、良子とケイを見守る風俗店の店長役で永瀬正敏さんが出演している。

 和田さんは、8歳で芸能活動をスタートさせ、映画「ミックス。」(2017年)で俳優デビュー。連続ドラマ「隣の家族は青く見える」(フジテレビ系、2018年)などにも出演してきた。「茜色に焼かれる」は海外留学を挟んで、約2年ぶりの演技になったといい、当時は「どこか演じることに、飢えていたのかもしれません」と話している。

 その“飢え”はオーディション用の自己PR動画にも表れ、「今まで自分が演技とどう向き合ってきたのか、そして、これからどう向き合っていきたいのかを話して、送りました。1次オーディションで石井監督と初対面して、質疑の時間に『自己PRの内容が本当に良かった』って絶賛していただきました」とうれしそうに振り返る。

 さらに石井監督から掛けられたのが、「“和製リバー・フェニックス”みたいだな」との言葉。若くしてこの世を去った“カリスマ”について、和田さんは「そのときは、それが誰なのか分からなかった」と正直に明かした上で、「周りから『おおー』という声が上がったので、『すごい人なんだな』とは思いました。その場では『ありがとうございます』と言って、帰って調べてみたら、本当にすごい人でした」と照れ笑いを浮かべる。

 そのときは「自分では似ているとは思えなくて、でも、そうやって監督に覚えていただけたことがとにかくうれしかった」といい、「夜、合格の連絡が来て、すごく喜んだのですが、1年半、海外に留学していたので、演技のお仕事は2年ぶりくらい。現場の立ち方も忘れてしまっていて、不安や緊張、尾野真千子さんの息子役という部分も含めて、プレッシャーもあったのですが、どこかワクワクもしていて、やってやろうって気持ちになりました」と語った。

 ◇「泣いている画がほしいわけじゃない、気持ちがほしいんだ」と言われ…

 出演発表の際、映画について「母と子を取り巻く矛盾や理不尽さの中でコントロールできない感情に振り回されながら、それでも幸せになりたいと願う親子を描いた作品です」とコメントしていた和田さん。

 撮影中に意識したのは「間」だ。「僕自身は今まで、間が苦手で。会話のシーンで、自分のせりふの番が来たらすぐ言ってしまう。間を取ることで相手役に迷惑をかけてしまうんじゃないかって思っていたんですけど……。クランクインのときも間に対してほとんど意識していなかったのですが、監督から『間を大事にして』って言われて、この作品を経験して、俳優としての考え方が随分と変わりました」と明かす。

 初めて泣く演技にも挑戦した。純平が学校の上級生グループに家を放火されて、涙を流すシーンで、「台本を読んでも『泣く』としか書いていなくて。『隣の家族は青く見える』のときは泣くシーンで泣けなくて、目薬に頼ったんです。だから不安だったし、石井監督にも『泣けないかもしれない』って話をしたら、監督は『泣こうとしなくてもいい。心が泣いていればいいから』『泣いている純平の画(え)がほしいわけじゃない、気持ちがほしいんだ』ってことを言われて。それまで気持ちが張り詰めていたのですが、リラックスして撮影にのぞめました」と感謝の言葉を口にする。

 また、和田さんにとって「茜色に焼かれる」の撮影は「大きな壁だった」といい、「間」や「涙」など、今後の俳優人生にとって得難い経験にもなった。

 「留学前にもオーディションをたくさん受けさせていただいていたのですが、何も変わらないまま次に行くっていう状態が続いていた」と話す和田さんは、「でも今回は、バラ撮りだったこともあって、この役が、今なんで泣いているんだとか、その理由が自分の中で理解できていないと、役を演じきれないんだってことに気付けましたし、これからも、演じる役というものをもっともっと追求していけたらなって思っています」と強い意欲を見せていた。

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