磯村勇斗:「仮面ライダーゴースト」から6年 変わった“芝居の感覚” 「演じ屋」で連ドラ初主演

WOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」で奈緒さんとダブル主演を務める磯村勇斗さん
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WOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」で奈緒さんとダブル主演を務める磯村勇斗さん

 俳優の磯村勇斗さんが、女優の奈緒さんとダブル主演するWOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」(野口照夫監督。全6話)が、7月30日から放送される。現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」では、第十四代将軍徳川家茂を演じ、公開中の映画「東京リベンジャーズ」や、11月公開の劇場版「きのう何食べた?」にも出演するなど引く手あまたの磯村さんだが、連続ドラマの主演は今回が初めて。“座長”として本作に臨んだ磯村さんに、役作りや、もうひとりの座長、奈緒さんとの共演の感想、さらに、来年30歳を迎えるにあたっての心境を聞いた。

 ◇「刺激的だった」奈緒との芝居

 磯村さんが演じるのは、痴漢の冤罪(えんざい)で人生のどん底を味わった男性トモキだ。彼は、自分をはめた人間に復讐(ふくしゅう)するため、客から依頼された役になりきる“演じ屋”を雇う。その演じ屋のひとり、アイカを演じるのが奈緒さんだ。初共演の奈緒さんについて、磯村さんは「とても気配りのできる、常に明るい方でした」と語る。

 奈緒さんは撮影現場で、子役たちに毎回お菓子をあげたり、磯村さんがコーヒー好きだと知ると、次の現場にアイスコーヒーを持ってきてくれたりしたという。「周りを見ることができるというか、主演ということもあって、きっと仲間意識を強めたいという思いもあったのでしょう。すごくしっかりしていました。お芝居にも芯があって、演じていて楽しかったですし、すごく自由に演じる方なので、毎回(演技が)違っていて刺激的でした」と磯村さんは述懐する。

 ◇「引かれた」社会的闇の部分

 台本を読んだときは、「僕の中ではありそうでなかった作品」だったこともさることながら、「依頼される仕事が社会の闇の部分に関わるものだったところに引かれた」という磯村さん。その言葉通り本作では、家庭内暴力や飲酒運転といった社会問題にも切り込んでいく。

 「日常のなかでも普通にある事件や事故を、この作品はしっかり描いています。この作品を通して誰かを少しでも救えたらと思いますし、そういう問題を今すぐゼロにはできないですけど、日々、頭の片隅で意識してもらうことができたら」とメッセージを送る。

 重たいエピソードばかりではない。「演じ屋の仲間たちがわいわい言い合うコミカルな部分もある」と話し、「その辺はバランスよく描き分けられているので見やすいと思います」とアピールする。

 ◇「やってみたい」と思った特徴のない役

 ドラマの脚本を書き、メガホンをとったのは、野口監督だ。実は野口監督は「演じ屋」を、2000年代初頭にインディーズ作品として制作している。2019年には、そのスタッフ、キャストが再集結した映画「演じ屋 reDESIGN」も公開。どちらも野口さんのオリジナル脚本だ。今回の「演じ屋」には、第1作のオリジナルキャストに加え、前作に出演した奈緒さんも出演し、また新たな演じ屋たちの物語が紡がれていく。磯村さんは野口監督から、「また違うものになるから(前作は)見なくていいよ」と言われたこともあり、それらを未見のまま撮影に臨んだ。

 トモキについて磯村さんは、「どん底からスタートしますが、アイカと出会って明るさを取り戻し、人間的にも成長していく人物」と紹介する。これまでさまざまな役を演じてきたが、その中でも今回のトモキは磯村さんにとって、「飾り気のない、特徴があるわけではない、僕にとっては珍しい役。だからこそやってみたいと思いました」と話す。

 もっとも、特徴のない役を演じるのは、「つかみにくいので難しい」。そういうときは、「何もしなくていいと思っています。それが役に一番近づける気がします」と磯村さん。とはいえ、「何もしなくていい」ことと、「役作りをしない」ことは違う。「飾らないというか。プラスで何もやらないというか。感覚的なことなので表現が難しいですが、くせを入れないことで、自然とその役でいられる気がします」と明かす。

 ◇「プライドは捨てても、こだわりは持っていたい」

 撮影に入る前には、監督と脚本についてディスカッションする機会を設けてもらい、自身の役の疑問点や落としどころに関して意見を述べた。そこには、「よりこの作品の精度を高めたいというのもありましたし、(主演として)自分が責任を背負いたい」という気持ちがあった。ディスカッションでは、トモキが、感情が高ぶるとすぐに涙を流す点を指摘し、「むしろ、ポイントでしっかり見せていったほうが伝わるのでは」と進言。「細かいところを修正していった」という。

 もともと細かいことにこだわる性分だ。「喜劇だったらオーバーにやっても、むしろ面白いとなりますけど、こういうドラマの場合は、どれだけ(演じる)自分たちがその世界に溶け込めるかで、お客さんもその世界観に引き込まれる度合いが違うと思っています。(演技は)細かいところまで意識しておかないとうそがばれてしまう。僕はうそが見えた瞬間一気にひいちゃう方なので、なるべくそういうものはつぶしておきたい。ですから、プライドは捨ててもこだわりは持っていたい。その辺はしっかり分けて考えています」と、演じるうえでの信条を語る。

 ◇6年で変化した芝居心

 2014年にドラマでデビューし、2015年放送の「仮面ライダーゴースト」で知名度を上げた。そこからの6年間を「あっという間でした」と振り返る。そして、「僕はデビューした年が22歳なので、同年代の俳優と比べると遅いほうです。でも、この6年でたくさんのすてきな作品に携わらせてもらいました。朝ドラ(2017年放送のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』)もそうですし、巡り合わせがよかったと思っています。周りの人たちに支えてもらったからここまで来られた。ですから感謝の6年でしたし、これからもその気持ちは変わらないと思います」としみじみ。

 その6年の間に、芝居との向き合い方に変化はあったのか。その問いに、「進化しているという言い方が正しいのか、変化しているという言い方が正しいのかわかりませんが、芝居に対する考え方や、感覚は常に変わっていると感じています」と答えた。

 そのうえで、「最初は割とゴテゴテに作って演じていました。僕は舞台から始まって、映像に関わるようになった。舞台と映像の間には1枚壁があって、(映像では振りを)大きくしないとか、どれだけ自然にやるかとか、そういう芝居心みたいなものの変化はすごくありました。それはこれからも変わっていくだろうし……。ですから、この6年で芝居の感覚は変わったと思います」と言い切った。

 ◇監督業への野心

 来年30歳になる。今後について、「俳優業は、このまま続けていくことが大事だと思っています。続けていった先に、自分の居場所みたいなものを作れる気がしています」と先を見据える。

 中学時代、自主制作した映画をきっかけに、演じること、作ることの面白さに目覚めた磯村さん。2020年はコロナ禍にあって、短編「コロッケを泣きながら」を製作し、オンライン配信した。今年に入ってからは、WOWOWが企画したプロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」でSF短編「機械仕掛けの君」を監督し、披露した。「本当に自分が届けたいものが出てきたら、それは作って届けていきたいと思っています」と監督業への野心ものぞかせていた。

 *……WOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」は、7月30日から毎週金曜午後11時半に放送・配信。全6話。第1話無料放送。

 ※スタイリスト:笠井時夢 ヘアメーク:佐藤友勝

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