名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
アニメ業界は、パッケージビジネスから配信を主体としたビジネスにシフトしつつあり、変革の時代を迎えているといわれている。そんな中、エイベックスでアニメなどの映像を核とするエイベックス・ピクチャーズ、講談社、集英社、小学館の出版大手3社などからなるアニメタイムズ社が、Amazon Prime Video(プライムビデオ)チャンネルでアニメタイムズチャンネルという新サービスをスタートした。「マガジン」「ジャンプ」「サンデー」などの人気作を抱える大手出版社、「おそ松さん」などのヒット作を送り出してきたエイベックス・ピクチャーズなどによるチャンネルということもあり、超強力なラインアップが魅力。アニメ配信の台風の目になりそうだ。エイベックス・ピクチャーズ、アニメタイムズ社の代表取締役社長を務める勝股英夫さんに、同チャンネルの狙い、変革の時代の戦略について聞いた。
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2015年、Netflixが日本でサービスを開始し、“黒船到来”などと騒がれた。それから約6年、動画配信は一般的になり、プラットフォームが急増したことで、群雄割拠の時代に突入している。2015年3月に設立されたアニメタイムズ社は、エイベックス・ピクチャーズ、講談社、集英社、小学館のほか、サンライズ、トムス・エンタテインメント、ぴえろ、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンなどのアニメ制作会社、キングレコード、バンダイナムコアーツなどのレコード会社が株主で、アニメ業界の強力なコンテンツホルダーの集合体ともいえる顔ぶれだ。これまでは、dTVを中心に配信プラットフォームへアニメを提供してきた。
アニメタイムズチャンネルでは、強力なコンテンツホルダーならではのユーザーニーズの高いタイトルを続々と投入していくというから期待が高まる。勝股社長は、アニメタイムズチャンネルを開設した狙いを「よりユーザーや作品に寄り添い、アニメファンの琴線に触れるサービスを提供したかった」と説明する。
「アニメタイムズ社はこれまで、各プラットフォームに作品を供給するだけで、各プラットフォームが作品を編成してきました。BtoBだったんです。チャンネルを開設することで、ラインアップを自由に編成でき、作品の魅力をダイレクトに伝えることができるようになります。ユーザーに直接アプローチできるのが強みです。ゼロから新しいプラットフォームを作るのではなく、Amazon Prime Videoにチャンネルを開設したのは、ユーザーへの導線がしっかりしているからです。ラインアップが豊富だったとしても、誰も利用しないのでは意味がありません。強力なプラットフォームにチャンネルがあることも強みです」
第1弾として「七つの大罪」「FAIRY TAIL」「呪術廻戦」「銀魂」「メジャー」「うる星やつら」「おそ松さん」など約500タイトルをラインアップ。月額437円で利用できる。
「これまで配信していなかった作品もあります。間口が広く、深掘りできるラインアップになっています。大人から子供まで楽しめますし、昔の作品を掘り下げることもできます。知らなかった作品との出会いもあるはずです。毎月、新規タイトルを投入していくだけでなく、今後はここでしか見られないオリジナル作品、人気作のスピンオフなども配信していきます」
勝股社長は「海外のアニメファンの動向も無視できません」とも話す。アニメタイムズ社は、世界最大級のアニメ、マンガコミュニティーサービス「MyAnimeList」に出資したことも話題になっている。同サービスは、230以上の国と地域のユーザーが利用しており、月間利用者数は約1800万人にもおよぶ。日本での知名度は高くはないが、米国を中心とした海外のアニメファンから絶大な支持を集めている。
「MyAnimeListでの膨大なユーザーレビューは、米国で作品の買い付けの基準になっているともいわれています。これまで日本のアニメ業界の各社が、世界に作品を供給する際、各国のパートナーに任せていましたが、MyAnimeListを利用すれば、ファンとダイレクトにつながることができます。ライブビジネス、Eコマース、UGC(ユーザーが作ったコンテンツ)などに直接アプローチできますし、マーケティングツールとしての価値も大きい」
日本の深夜アニメはブルーレイディスク(BD)やDVDを販売するパッケージビジネスが一般的とされてきたが、パッケージの売り上げが落ちていく中で、配信を中心としたビジネスに移行しているのが現状だ。エイベックス・ピクチャーズは、これまで「おそ松さん」「KING OF PRISM」「ユーリ!!! on ICE」「ゾンビランドサガ」など数々のヒット作を世に送り出してきた。パッケージが比較的、好調なメーカーではあるが、時代の変化に合わせて柔軟に対応できる体制を構築しようとしているという。
「エイベックス・ピクチャーズを設立した2014年当時から脱パッケージを目指してきました。パッケージが苦戦することもある一方、配信は右肩上がりで、BD、DVDのセルマーケットを抜き、レンタルマーケットを抜いています。日本はまだパッケージが売れている方で、セルとレンタルを合わせると、配信よりも大きいのですが、ゆくゆくは入れ替わっていくはずです。パッケージがなくなってしまうことも想定しないといけません」
国内だけでなく、世界に向けてアニメを発信していく中で、どんな作品が世界で受け入れられるのだろうか?
「Amazon Prime Video、Netflixなど外資のプラットフォームが入ってきたことによって、競争が激化し、レッドオーシャンにはなったところもあります。一方、よりワールドワイドになり、世界が近くなったとも考えられます。ユーザーの選択肢、ビジネスの選択肢が増えたこともあり、作り手側としては普遍的で世界に通用する作品を意識しないといけません。これまで、日本で完結した作り方をしていて、結果として海外でも受け入れられてきた。日本だけで完結していた作り方を変えて、海外のクリエーターと一緒に作り、表現を発展させていくのも一つの手です。最初から世界を狙っていかないと始まらない時代に突入します」
アニメタイムズチャンネルの開設、MyAnimeListへの出資などが、変革の時代の大きな波になるかが注目される。
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