内山昂輝:「ヒロアカ」 死柄木弔の壮絶な過去を身に宿す “覚醒”で「違う顔」も

「僕のヒーローアカデミア」で死柄木弔を演じる内山昂輝さん
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「僕のヒーローアカデミア」で死柄木弔を演じる内山昂輝さん

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の堀越耕平さんのマンガが原作のテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」(読売テレビ・日本テレビ系)の第5期の新章「ヴィランアカデミア編」。主人公のデクこと緑谷出久らヒーローは登場せず、敵<ヴィラン>をメインとした異色のストーリーが展開されており、敵<ヴィラン>連合の死柄木弔(しがらき・とむら)が活躍する第112話「死柄木弔:オリジン」が、9月18日に放送される。死柄木は、デクらの宿敵としてテレビアニメ放送当初から登場しているキャラクターで、新章では、死柄木の壮絶な過去が明らかになった。死柄木を演じる内山昂輝さんは、死柄木の生い立ちに「心がつらくなった。それを身に宿して演じるのはしんどかった」と振り返る。死柄木への思い、悪役を演じる醍醐味(だいごみ)を聞いた。

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 ◇「答えが見えづらい」 死柄木弔を演じる難しさ

 「僕のヒーローアカデミア」は、「週刊少年ジャンプ」で2014年7月に連載がスタート。人口の約8割が超常能力“個性”を持つ世界を舞台に、デクが最高のヒーローを目指す姿を描いている。テレビアニメ第1期が2016年4~6月、第2期が2017年3~9月、第3期が2018年4~9月、第4期が2019年10月~2020年4月に放送された。第5期は、毎週土曜午後5時半に放送中(一部地域を除く)。

 「ヴィランアカデミア編」では、死柄木弔率いる敵<ヴィラン>連合と、彼らを排除しようとする組織・異能解放軍とのバトル、連合メンバーの知られざる壮絶な過去が描かれている。内山さんが演じる死柄木は、敵<ヴィラン>連合のリーダーで、五指で触れたものを崩壊させる“個性”を持つ。顔面を含め体中に切断された“手”を身につけている異様な外見が特徴で、「顔が手で隠れている」という外見ゆえに演じる難しさがあったという。

 「アフレコは、キャラクターの表情を描くアニメーターさんたちとの共同作業の部分が大きくて、絵の表情に合う演技とか、逆に外してみる演技とか、キャラクターの顔を参照点にするんです。表情が隠れているとそれがつかめないので、どうとでもできてしまう。最初はそこが難しい部分でした。答えが見えづらい。実際にスタジオで演じてみて、音響監督にOKをもらうことを積み重ねていって完成させてきた感じですね」

 テレビアニメ第1期から登場している死柄木は、その過去もこれまで謎に包まれていたが、9月11日に放送された第111話「志村転弧:オリジン」では、幼い頃に自らの手で家族をあやめてしまったという過去が描かれた。

 「原作を読んだ時、死柄木の幼い頃の話がとてもハードで、心がつらくなるようなストーリー展開だったので、アフレコで、それを背負ってなぞらなければいけないのはつらいことでした。身に宿すというか、それがしんどかったです。その思いも含めて表現できていたらいいなと思います」

 ◇「やっちゃいけないことをやる」 フィクションだからこそ描ける“悪”の魅力

 内山さんは、悪役を演じる醍醐味を「すごく悪いことを言えること」と表現する。

 「普通は、汚い言葉とか、人の悪口は言っちゃいけないじゃないですか。でも悪役を演じる時は、悪いことを口汚く言うと褒められる。普段は禁止されることをやってもいいというか、その言い方のよさが求められる。一方で、人を傷つけるセリフも当然求められる。だから、ちょっとつらいですけどね」

 内山さんは、そうした複雑な思いを抱えながらも、死柄木のような“悪”の存在がフィクションならではの魅力にもつながっていると感じているという。

 「街を壊したり、人に危害を加えたり、現実世界で犯罪行為とされていること、許されないことを表現できるのがフィクションの面白さの一つだと思います。現実を飛び越えて、触れられないもの、自分ではできないことをフィクションなら味わえる。それをキャラクターという視点で見ると、死柄木の『やっちゃいけないことをやる』感じが魅力的に映ることもあるかもしれないですね」

 ◇大人の死柄木弔を表現 ダークヒーローが権力者を倒す痛快さ

 「ヴィランアカデミア編」の終盤となる第112話「死柄木弔:オリジン」では、異能解放軍との戦いの中で、過去の記憶をよみがえらせた死柄木が“覚醒”する場面も描かれる。内山さんは死柄木の変化を表現する上で「違う顔を見せたい」と考えたという。

 「死柄木が初登場したあたりは、大人びた部分と幼稚な部分が共存しているキャラクターでした。子供っぽさもあり、冷めた大人っぽさもありという感じだったところから、今回はもうちょっと大人のほうに寄せることを意識しました。微妙に声の出し方をマイナーチェンジしているので、ちょっと違う印象になっていると思います」

 死柄木が戦う相手は、異能解放軍の最高指導者であり、大企業の社長でもあるリ・デストロだ。

 「リ・デストロとの戦いは、権力者を倒す話でもあるので、ある種の痛快さもあると思います。バトルシーンも含めてベストを尽くしたので、いい感じになっているといいんですけど。もし、敵<ヴィラン>連合の活躍が好きだという方がいらっしゃったら、うってつけのエピソードだと思うので、ぜひ見ていただきたいです。僕も放送が楽しみです」

 覚醒を迎え、大人へと近付いた死柄木を内山さんがどう表現するのか。ダークヒーローとも言える敵<ヴィラン>連合の戦いに注目だ。

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