梶原岳人:「古見さんは、コミュ症です。」 自然体で挑んだ“普通の只野くん” 日常をアニメに落とし込む

「古見さんは、コミュ症です。」で只野仁人を演じる梶原岳人さん
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「古見さんは、コミュ症です。」で只野仁人を演じる梶原岳人さん

 「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中のオダトモヒトさんのマンガが原作のテレビアニメ「古見さんは、コミュ症です。」が、10月6日からテレビ東京ほかで順次放送される。同作で、コミュニケーションが苦手な極度の“コミュ症”の美少女、古見硝子の1人目の友達となる只野仁人(ただの・ひとひと)を演じるのが、声優の梶原岳人さんだ。個性的なキャラクターが多い同作で「普通の人」の只野くんを演じる梶原さんは「普通を演じるのは難しい」と感じているといい、「僕の普段のしゃべり方を大事にしました。普段自分が生きている世界を、どれだけこのアニメに落とし込めるかが課題でした」と、自然体で演じることを意識したという。梶原さんが「自分もこうありたい」という只野仁人の魅力、演技のこだわりを聞いた。

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 ◇普通の男子高校生を演じる難しさ

 「古見さんは、コミュ症です。」は、2015年に同誌に読み切りが掲載され、2016年に連載をスタートした“コミュ症”コメディー。アクの強い生徒ばかりが集まる進学校を舞台に、人の気持ちを察するのが得意な只野仁人が、“コミュ症”の古見硝子の「友達を100人作る」という夢に協力することになる。声優の古賀葵さんが古見さんを演じるほか、村川梨衣さんがコミュ力がずば抜けて高い長名なじみ役、日高里菜さんがクラスの女子グループのリーダー格の山井恋役で出演する。

 「古見さんは、コミュ症です。」は、古見さん、只野くんら高校生たちの日常が描かれる。これまで「ブラッククローバー」のアスタ役、「炎炎ノ消防隊」の森羅日下部役などファンタジー作品への出演が多かった梶原さんは「デフォルメするような演技が多かったので、日常的な作品の中で生きる普通の人にすり合わせていくことに時間がかかった」と、難しさを感じたという。

 「特に只野くんは『ただの人』とも表現される普通の人。収録の最初のころは、周りのキャラクターが立っているので、それに負けないぐらいのリアクションをしたり、周りの温度感に上乗せするような感じで盛り上げていかなきゃいけないんじゃないかと思っていたんですけど、監督に『只野くんは“そこらへんにいる高校生”を意識して演じてほしい』と言われました。そこから修正していって、只野くんはやっぱり普通なんだなと思って、アニメの中のキャラクターというよりは、普通の男子高生を意識して演じるようになりました」

 ◇演じる時も「そのままの姿で」 只野くんは「人として尊敬できる」

 梶原さんは、自身が演じる只野くんを「偽善ではない素の優しさを持っている人」と表現する。只野くんは、個性的なキャラクターの中では普通かもしれないが、周囲の空気を読む力があり、人の気持ちを理解することに長(た)けている。

 「普通であるがゆえに、誰とでもフラットに話せるし、ちゃんと周りが見えている気がします。例えば、クラス全体を見渡した時、端っこの方でいつもと様子が違う人がいたら気付くだろうし、他の人にはない目線を持っている。みんなに対して優しさがあるから、寄り添ってあげられて、その人がその時にほしい言葉をかけてあげられる。そんな人、なかなかいないですよね。人として尊敬できるし、僕自身もそういう人でありたいと思います」

 梶原さんは、普通であることが魅力の只野くんの「裏のない優しさを大事にしたい」といい、「普段僕がしゃべっている感覚を損なわないようにしよう」と考えた。

 「変な節回しを付けるのではなくて、自然にしゃべる感じのトーンを意識しています。普段自分が生きている世界を、どれだけこのアニメに落とし込めるかが、僕の中で課題かなと思っていて。只野くんもすごく自然体だし、誰に対しても自分を繕うことなく、思っていることをちゃんと吐き出しているところがあるので、僕自身も作られた姿じゃなくて、演じる時もそのままの姿でいたいなと」

 只野くんを演じる中で新たな発見もあったという。

 「アニメの世界って考えなくていいんだと思うと急にラクになりました。僕が普段生きている世界を想像すればいいんだと思って。例えば、自分が高校生の時は、こういうふうに友達とやり取りしたなとか。それに味付けするんじゃなくて、そのまま出せばいいんだと思えて、『そういうことなのか』と何かをつかめたような気がしました」

 ◇古見さんが「隣にいる」ことを意識

 「古見さんは、コミュ症です。」は、古見さんと只野くんの淡い恋模様も描かれる。梶原さんは古見さんと只野くんの二人のシーンでは「ちゃんと隣にいることを意識したい」と話す。

 「例えば、一人で落ち込んでいる古見さんの隣に只野くんがちょこんと座って声をかけるシーンがあるんですけど、押しつけがましい感じじゃなくて、ただ思ったことを話している。それも、実際に古見さんが自分の隣にいて、気落ちしている彼女に対してかけてあげられる言葉ってなんだろう、どういうふうにしゃべってあげられるんだろうと、すごくイメージして演じたいと思っています。古見さんって、いろいろな人の言葉に繊細だと思うし、受け取る時も深く考えちゃうタイプだから、よりその子のことを考えられるようにと、いつも考えています」

 梶原さんは、アニメ「古見さんは、コミュ症です。」の魅力を「見ていてほっこりするし、心の中がじんわり温かくなるような作品」と語る。梶原さんが自然体で演じた“普通の只野くん”の優しさにもほっこりとさせられるはずだ。

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