松本まりか:Paraviオリジナルドラマで等身大の35歳に ノーマルな姿を魅せる

Paraviオリジナルドラマ「東京、愛だの、恋だの」で主演を務めた女優の松本まりかさん(C)Paravi
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Paraviオリジナルドラマ「東京、愛だの、恋だの」で主演を務めた女優の松本まりかさん(C)Paravi

 動画配信サービス「Paravi(パラビ)」のオリジナルドラマ東京、愛だの、恋だの」で主演を務める女優の松本まりかさん。映画「百万円と苦虫女」(2008年)などで知られるタナダユキ監督がメガホンをとり、大都会・東京で生きる女性たちのリアルな“いま”を描く作品。松本さんといえば、“怪演女優”としても注目を集めてきたが、今回演じたのは普通の感覚を持った35歳の主人公。「激しい役をやるときには、結構心がボロボロになっていたんです。今回、すごくフラットでいられたというか、演じることが楽になった」と変化を明かす松本さんに、作品への思いを聞いた。

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 ◇念願のタナダ作品 「ふわっといい風が吹いた」

 ドラマは、東京で懸命に生きようとする女性たちのリアルな実情に迫り、それぞれの日常を優しく描くことで、見る者の共感を誘う恋愛群像劇。松本さんは、東京の賃貸不動産会社で働く35歳の主人公・和田かえを演じる。かえの10年来の恋人・橋本達也役を梶裕貴さん、かえの大学時代からの友人・芦屋勇作役を毎熊克哉さん、かえの同僚・松島はじめ役を一ノ瀬颯さん、かえと勇作の大学時代からの共通の友人・古沢恭子役を清水葉月さんが演じている。

 ずっとタナダ作品に出演したかったという松本さん。主演の話を聞いたのは、ちょうど東京・六本木を走る車の中だったといい、「東京タワーのすごく近くで。いろいろなタイミングが合致したというか、ふわっといい風が吹いたな、という感じがしました」とにっこり。「気持ちがぐっと前のめりになる感じで、『やりたい!』とすぐ言いましたね」と振り返る。

 松本さん演じるかえは、10年間付き合っている恋人とそろそろ結婚を考えているものの、どこかぎこちなさを感じている。一方で、大学時代からの男友達との関係に安らぎを見いだしていて……という役どころ。タナダ監督からは、「登場人物の中で一番普通でいてほしい」と言われたというが、「ただただノーマルな役って、そんなに私はやったことがなくて。今までのやり方とは違うやり方をしようとは思いました」と明かす。

 ◇「頑張らない」ことを心がけ…

 タナダ作品の主人公をやることについて、「私にとってはかなり大きな意味を持つ」と語る松本さん。ついつい肩に力が入ってしまいそうだが、「頑張らない」ことを心がけた。「何か頑張ってやろう、じゃなくて、逆になにもやらない。今まで経験してきたこの身一つで、タナダ組に委ねてみよう」と考えたという。

 数々の作品での怪演が話題になるなど、これまでは自身から仕掛けていくような役が多かった。「今までは、激しい役をやるときに、結構心がボロボロになっていて。こればっかりやっていると私もたないかも……と思っていた」と明かす。

 本作のようなゲストがたくさん出演する作品の主演は初体験。個性があるのはゲストということで、自身は“透明な存在”を目指した。「私が普通の役をやるって、あまりイメージがないと思いますが、イメージにない役を演じるのは、むしろ楽しい。個性豊かな芸達者の方々と芝居ができる、それだけで楽しくて。普通な役だから物足りないとか全く思わなかったです」と告白する。「タナダ組での撮影の前と後では、感覚が変わったような気がする。演じることが楽になった」と続ける。

 ◇松本さん自身の“愛だの、恋だの”とは?

 かえの10年来の恋人を演じた梶さんとは、テレビアニメ「UN-GO」などで共演した松本さん。「声優でわからないことがあったら彼に聞いていて、声優さんの中で一番話せる人」と関係性を明かす。「彼は5年ぐらい前から、『実は映像をやりたいんだよね』と話をしていて。『いつか絶対共演したいね』と言っていたら、今回共演できて、すごく縁を感じました」と笑顔。

 ドラマでは、梶さん演じる恋人との関係も描かれるが、自身の“愛だの、恋だの”について質問されると、「“愛だの、恋だの”があるとつらい。ないほうが楽なんですけど……」と話し始めた松本さん。

 「いつかは、結婚したり、子どもを生んだりしたいとも思っています。ですが、結婚などがなくても生きていける、『私は、私の人生をちゃんと生きるのよ』って思い続けられる人でいたい。そう思えた先にこそ、そんな未来があるんじゃないかなと」

 最後に、視聴者に向けて、松本さんは「大人になっても、“愛だの、恋だの”で悩んだり楽しんだり、ドキッとしたりわくわくしたり。東京で生きる人たちの姿がとてもチャーミングに描かれていると思います。皆さんがこれを見て、ちょっとくすっと笑って、皆さんの抱える心の傷だったりが少し癒えたりしてくれたら嬉しいなと思います」と呼びかけた。

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