今石洋之監督:アニメで「スター・ウォーズ」らしさを 直球狙いの「THE TWINS」

「スター・ウォーズ:ビジョンズ」の「THE TWINS」の一場面(C)2021 TM & (C)Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
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「スター・ウォーズ:ビジョンズ」の「THE TWINS」の一場面(C)2021 TM & (C)Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 人気映画「スター・ウォーズ」シリーズのアニメプロジェクト「スター・ウォーズ:ビジョンズ」が、動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」で配信をスタートした。日本のアニメ制作会社が全9作のオリジナル短編アニメを制作するプロジェクトで、神風動画、キネマシトラス、サイエンス SARU、ジェノスタジオ、スタジオコロリド、TRIGGER(トリガー)、プロダクション I.Gが参加した。「プロメア」「キルラキル」などで知られるTRIGGER制作の「THE TWINS」を手掛けた今石洋之監督は、同作で「『スター・ウォーズ』らしい『スター・ウォーズ』」を目指したという。今石監督に「スター・ウォーズ」シリーズ、「THE TWINS」への思いを聞いた。

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 ◇初期衝動を作品に込める

 「THE TWINS」は、ダークサイドの力によって生み出された双子の暗黒卿・Karre(カレ)、Am(アム)が、銀河帝国の残党を率いてシスの復権、銀河帝国の再建をもくろみ、新帝国旗艦のツインスター・デストロイヤーを起動させようとする……というストーリー。

 テレビ放送された「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」がシリーズとの出会いだったという今石監督は、「せっかく『スター・ウォーズ』をやるからには『スター・ウォーズ』らしいことをやりたかった」と話す。

 「自分が最初に見た時に『いいな!』と思った部分や感動した部分など、初期衝動のようなものを余すところなく取り入れて、ストレートに作りたいと思いました。(人気キャラクターの)R2-D2、C-3POを想起させる新キャラクターや(人気メカの)Xウイング、スター・デストロイヤーを登場させたことも、直球を狙ったからこそのアプローチです」

 NHK大河ドラマ、映画、アニメなど数々の音楽を手がけてきた大島ミチルさんが音楽を担当。音楽にも「スター・ウォーズ」シリーズへのリスペクトを込めた。

 「音楽の大島ミチルさんには、(『スター・ウォーズ』シリーズの音楽を手掛けた)ジョン・ウィリアムズのスコアに限りなく近づけて作っていただき、『スター・ウォーズ』に携わったスカイウォーカーサウンドとリモートでつないで、最終ダビングをすることができました。本場の音でダビングができたので、『スター・ウォーズ』らしいというか『スター・ウォーズ』そのものな音楽を作れたことは得がたい経験でしたね」

 ◇“本当の殺し合い”にならない姉弟の戦い

 「プロメア」のクリエイティブディレクターの若林広海さんがクリエイティブプロデューサー、脚本、キャラクターデザインのコヤマシゲトさんがキャラクターデザイン、アートディレクターを担当するなど、「THE TWINS」は「プロメア」のメインスタッフが参加した。

 「『THE TWINS』は短期間で制作する短編だったので、『プロメア』で培った経験を最大限生かせればと考えていました。それに、若林もコヤマさんも『スター・ウォーズ』愛が深いんです。主人公をルーク・スカイウォーカー、レイア・オーガナのイメージを引き継いだ双子にするアイデアは若林から出たものですし、『スター・ウォーズ』の特徴である白と黒のコントラストの美しさも、コヤマさんがこちらから言うまでもなく形にしてくれましたね。『スター・ウォーズ』的なディテールやニュアンスはかなり任せていました」

 主人公である双子の暗黒卿のKarreを榎木淳弥さん、Amを白石涼子さんがそれぞれ演じた。オーディションで選んだというが、キャスティングの決め手はなんだったのだろうか。

 「自然に姉弟の会話、空気感ができるかどうかを一番重視して選びました。榎木さんは『宇宙パトロールルル子』に出演していただいた時、とても感触がよかったので、いつかまたやりたいなと思っていたんです。白石さんは年齢が離れていないのにお姉さんっぽい、双子の姉らしさがあったこともよかったのですが、決め手になったのは戦闘の時の声ですね。生きるか死ぬかの戦闘をするのでせりふにドスを効かせてほしいのですが、やりすぎてしまうと姉弟の域を超えて本当の殺し合いになってしまう。白石さんはその案配が絶妙だったので、Amをお願いしました」

 ◇「スター・ウォーズ」の発明

 「THE TWINS」で「スター・ウォーズ」の歴史に名を刻むことになった今石監督。改めて「スター・ウォーズ」シリーズの魅力について聞いた。

 「『スター・ウォーズ』以降もさまざまなSF映画が生まれましたが、スタイリッシュなセット、メカのデザインといった世界観はやはり唯一無二で、発明だったと思います。みんながまねをしていた『スター・ウォーズ』を、『THE TWINS』でまねのようでまねじゃないことができたというのはすごく楽しかったですね。これまで『スター・ウォーズ』を好きな人にも楽しんでもらいたいですし、まだ触れたことがない人にはこの作品が『スター・ウォーズ』の世界に興味を持つきっかけになってくれればうれしいです」

 今石監督の「スター・ウォーズ」らしさが詰まった「THE TWINS」。熱い思いが込められた“直球”をぜひ受け止めてほしい。

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