半妖の夜叉姫:夜叉姫たちが戦う理由 “父”殺生丸を描くということ 「弐の章」菱田正和監督が語る

「『半妖の夜叉姫』弐の章」の一場面 原作/高橋留美子「犬夜叉」(小学館 少年サンデーコミックス 刊)(C)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020
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「『半妖の夜叉姫』弐の章」の一場面 原作/高橋留美子「犬夜叉」(小学館 少年サンデーコミックス 刊)(C)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020

 高橋留美子さんの人気マンガ「犬夜叉」の殺生丸、犬夜叉の娘たちが活躍するテレビアニメ「半妖の夜叉姫」の続編「『半妖の夜叉姫』弐の章」(読売テレビ・日本テレビ系、土曜午後5時半、一部地域を除く)が、10月にスタートした。「弐の章」では、「プリティーリズム」「KING OF PRISM」シリーズなどで知られる菱田正和さんが監督を務める。菱田監督は、犬夜叉シリーズ、「半妖の夜叉姫」を制作するサンライズ出身で、「犬夜叉」は自身が演出デビューした思い入れの深い作品という。「犬夜叉」の世界観、前作「『半妖の夜叉姫』壱の章」を踏襲し、「弐の章」を描く上でのこだわりを聞いた。

 ◇「半妖の夜叉姫」に新人の頃のような新鮮な気持ちで

 「半妖の夜叉姫」は、殺生丸とりんの双子の娘・とわとせつな、かごめと犬夜叉の娘・もろはが、現代、戦国時代の時をこえて縦横無尽に暴れ回る姿を描く。高橋留美子さんがメインキャラクターデザインを手掛け、隅沢克之さんがシリーズ構成を担当。「犬夜叉」「犬夜叉 完結編」と同じくサンライズが制作。「壱の章」が2020年10月~2021年3月に放送された。

 「壱の章」は、「犬夜叉 完結編」の副監督だった佐藤照雄さんが監督を務め、菱田監督は「弐の章」から監督を務めることになった。新監督が発表された際は、「『犬夜叉』は、僕にとって出身であるサンライズで初めて演出デビューした思い出深い作品であり、アニメ演出家として育ててくれた作品でもあります」とコメントしていた。「犬夜叉」当時のことを「すごくやる気に満ちあふれていました」と振り返る。

 「僕は『犬夜叉』の前に『∀(ターンエー)ガンダム』に携わったのですが、『∀ガンダム』では演出デビューがかなわなくて、もんもんとしている時に『犬夜叉』で演出デビューさせていただいたので、すごく感謝している作品です。『犬夜叉』は当時のサンラインズでは、あまりやらないタイプの作品だったと思います。当時はメカものが多かったので、戦国時代が舞台で、妖怪が出てきて、日本刀を武器に戦うというのは、珍しかったんじゃないかなと。楽しかったですね」

 「半妖の夜叉姫」は、シリーズ構成の隅沢さん、キャラクターデザインの菱沼義仁さん、音楽の和田薫さんと、「犬夜叉」シリーズのスタッフが再結集した。菱田さんは、2000年にアニメ「犬夜叉」がスタートした頃のように「新人の気持ちのまま」制作に臨んでいるという。

 「『半妖の夜叉姫』の現場には、20年前に僕に仕事を教えてくれた『犬夜叉』のメインスタッフが当時のままいらっしゃるんです。そんな人たちが皆さん元気に頑張っている。だから、監督のお話を聞いた時に『これはやりたい』と思いました。新人の頃のまま、新鮮な気持ちになれるのはこの現場だけだと思うので、うれしいですね」

 ◇殺生丸の父の顔は極力見せない 「犬夜叉」の世界を守る

 菱田監督は、「弐の章」を制作する上で、「壱の章の路線を踏襲しつつも『犬夜叉』の世界を守って作る」ことを大切にしているという。

 「『犬夜叉』の世界は絶対に壊してはいけないと思っています。何事も『犬夜叉』だったらどうだっただろうと、世界観と照らし合わせて考えるので、毎回悩みどころではあります。『このキャラクターがこのせりふを言うかどうか』というところまですごく悩んだりするので、苦労しています。ただ、『犬夜叉』のノウハウは、スタジオに蓄積され、守り続けられているので、絵コンテ以降は、安心してお任せできる。スタジオの力を感じます」

 「半妖の夜叉姫」は「犬夜叉」の世界観を受け継いでいるが、殺生丸や犬夜叉の娘たちが活躍する新たな物語。「犬夜叉」に登場したキャラクターにも変化がある。象徴的なのが、父となった殺生丸だ。「弐の章」では、殺生丸が父としての一面が垣間見える場面も描かれた。

 「実は、殺生丸の父の顔は、極力見せないように頑張っているんです。だって、殺生丸だから。娘のとわとせつなは、りんとの間に生まれた半妖ですし、普通の父親ではない。娘に対する愛があったとしても、殺生丸は見せないですから。ただ、収録では、殺生丸役の成田剣さんが毎回愛情がにじみ出てしまって、『もっと抑えてください』とリテークを出してしまうんです。本当に成田さんには申し訳ない思いです。皆さんに愛のある殺生丸の声を聞かせてあげたいという気持ちもあるのですが、殺生丸なりの子供の育て方を大事にしたいと考えています」

 ◇「犬夜叉」と「半妖の夜叉姫」の違い 夜叉姫が戦う理由とは?

 「弐の章」では、夜叉姫たちと親が離ればなれになってしまった理由、殺生丸の行動の意味が徐々に明らかになっている。菱田監督は、「もちろんストーリーの中心は3人の夜叉姫ですし、問題を解決するのも夜叉姫たち」といい、「夜叉姫たちが戦う理由を明確にしたい」と語る。

 「高橋留美子先生の『犬夜叉』の原作、そして『犬夜叉』のアニメがあっての『半妖の夜叉姫』なので、基本的には『戦う』というところを主軸に置かなければいけない。ただ、男性である犬夜叉が戦う理由と、女性である夜叉姫たちが戦う理由はイコールにはならないんです。そこをどうやってひねり出して、気持ちを乗せて戦わせるかがすごく難しい。『犬夜叉』と『半妖の夜叉姫』で決定的に違う部分かなと思っています」

 夜叉姫たちが戦う理由とは何なのか。

 「率直に言えば、とわとせつなに関しては、母であるりんを救うためです。もろはについても、今後明確に戦う理由が見えてきます。夜叉姫たちはみんな幼い頃に親と離ればなれになっているので、普通なら過ごせたはずの幸せな時間を失ってしまった。彼女たちは、それを取り戻すために頑張っているのだろうなと」

 「半妖の夜叉姫」は、土曜の夕方に放送される子供向けアニメでもある。子供たちにも「戦う理由は伝わるように作らなければいけない」と話す。

 「女の子が戦う作品は『プリキュア』シリーズより前からありますし、『プリキュア』を経てメジャーになったので、そんなに違和感なく見られるのかもしれませんが、やっぱり暴力は最終手段です。子供たちには、ただ敵をやっつけているのではなくて、ちゃんと正義を持って、理由があってやっつけているということは伝わるといいなと思います」

 菱田監督は、「壱の章でたくさんの謎が出てきましたけど、全部解決していくのでご安心ください。期待しておいてください」と見どころを語る。「誰かのために」戦う夜叉姫たちが、幸せな時間にたどり着くことができるのか、今後の展開も見逃せない。

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