俳優の生田斗真さん主演の映画「土竜の唄 FINAL」(三池崇史監督)が11月19日に公開された。シリーズ累計発行部数950万部を突破している高橋のぼるさんのマンガ「土竜の唄」が原作で、素行不良で懲戒免職された警察官・菊川玲二(生田さん)が“モグラ”と呼ばれる潜入捜査官としてヤクザ内部に入り、幹部逮捕を目指して奮闘する姿を描く。2016年公開の第2弾「土竜の唄 香港狂騒曲」に引き続き、チャイニーズマフィアのヒットマン・胡蜂(フーフォン)を演じる菜々緒さんに、5年ぶりに演じた胡蜂の魅力や反響、ムチさばき、前作も含めた衝撃シーンの数々などについて聞いた。
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前作から5年ぶりの続編制作を聞いた際の心境を、菜々緒さんは「5年ぶりだったので、『やるんだ!』みたいな感じだった」とちゃめっ気たっぷりに切り出し、「いよいよファイナルかという思いもありつつ、ちょっと寂しい気持ちもあって。でもまだ暗い世の中だからこそ、お祭りのような笑って楽しめる作品はすごく今必要だなと思い、少しでも多くの皆さんに楽しい雰囲気で過ごせてもらえたらうれしい」と新作公開を喜ぶ。
前作で玲二に散々な目に遭わされて退場した胡蜂が再登場することについて、「(前回)虎に乗って登場して、それで死なずに去って行ったから、きっと戻ってくるのだろうなとはちょっと思ってはいました」と期待していたことを明かし、「まさかファイナルに出させてもらえるというのは、すごくありがたいなと思いました」と笑顔を見せる。
今回も前作とはまた違った方向性で、胡蜂の登場シーンはインパクトのある仕上がりになっている。菜々緒さんは、「いつも作品に入ると『胡蜂役の菜々緒さんです』といった呼び込みがあり、登場シーンの関係でクランクインは“まさかの髪形”でした(笑い)。不思議な雰囲気のままクランクインした思い出があります」と話して期待感をあおる。
今作への出演決定時、胡蜂役について「大開脚でトカゲのパンツを披露したり、ズッポン(ラバーカップ)で顔面バキュームされたり、スケスケの衣装で戦ったり、虎に乗ったりとド派手」とコメントをしていた菜々緒さん。前作出演時の状況を「マンガを見させていただいたらド派手な感じで、キャストの皆さんも豪華な上にキャラが強い。埋もれちゃわないかな……という印象だったので、どういう強いキャラクターを作っていけるかなと、いろいろ試行錯誤しながらクランクインしたことが強く記憶にあります」と振り返る。
今回もそんな胡蜂を続投。「(撮影では)気持ちの部分ですんなり入っていけて、胡蜂が降りてきた。アクションは現場に入ってからの作りになるので必死になって食らいついていき、集中してやっていたので撮影自体は一瞬で終わったという感じでしたね」と話し、「豪華なキャストの皆さんと、個性の強いキャラクターたちが勢ぞろいしているので、そこに埋もれないように胡蜂という役を演じきったという感じではあります」と手応えを口にする。
胡蜂といえば、今作の劇中でも自ら“黒歴史”と称するほど数々の衝撃的なシーンがあるが、菜々緒さん自身、そんなシーンの撮影を通し学んだことがあるという。
菜々緒さんは、「前作でズッポンがありましたが、顔面にズッポンされたことないしどうすれば……と悩んだ結果、白目をむいたら間違いないだろうと思った」と切り出し、「そうしたら監督がすごく喜んでくれたので、私はそこで味を占めちゃったんです(笑い)。白目をむいたら安心、大丈夫みたいな気になり、今作でもある場面で白目をむいたら、監督がすごく喜んで楽しそうにしてくださった」とにっこり。「やりたい放題なんですよ。リミットがないからどこまでやっていいんだろうというのが若干ありますが、ストッパーがない作品ですよね」と楽しそうに撮影を振り返る。
「これまでいろいろ強いキャラクターをやらせてもらいましたが、一番ぶっ飛んだキャラクターは胡蜂」と語る菜々緒さん。「インパクトの強さ、登場でトカゲのパンツを見せてワイヤーで人殺そうとしてとか、ヒールのつま先からナイフを出すとか、もうすごい。そういう意味では大変なこともありましたけど、毎日楽しく刺激的な撮影をさせてもらったのが胡蜂だったのですごく思い入れはあります」と役への“愛”を語る。
今作では新たなキャラクターとして、轟周宝の息子で、“最凶の敵”である轟烈雄(レオ)役で鈴木亮平さんが出演。今作の撮影時期に別作品でも鈴木さんと共演していたという菜々緒さんは、「2人とも役の雰囲気が全然違いすぎて(笑い)。しかも(烈雄に胡蜂が)がぶって噛まれるようなキスシーンがあるし、どうしようかしらと思いながら現場に入った」と前置きし、「2人とも白目をむいて、もう何やっているんだろうという感じで爆笑しました」と笑顔を見せる。
玲二や烈雄と対峙(たいじ)するシーンではシリアスな中にもコメディー要素がある演技が要求されるが、「(前作で)玲二がズッポンを出し始めたあたりからキャラが崩壊し、その高低差みたいなものもあり、コメディーもシリアスなシーンも演じられたので、そこは楽しさの一つ」という。
そうして完成した作品について、「温度差やテンポの強弱がジェットコースターみたいだから、見ている人も飽きずに見てもらえると思うし、ちょっとおかわりしたくなるというか、続きが気になるような作品」と評し、「そこが『土竜の唄』の良いところ。ファイナルと言いながらカムバックしてきそう。『帰ってきた土竜の唄』とかケラケラ笑って戻ってきそうだからファイナルの気がしない」とシリーズへの尽きない魅力を口にする。
「もし続編があればもちろん出たいです! もうひと暴れしたい」と目を輝かせる菜々緒さん。「もうちょっと面白いシーンを撮りたい。ちょっとドジっぽいところもあるので、そういうところも演じてみたい」とアイデアも提案。最後に胡蜂は玲二に復讐できたのかを聞くと、「結果はどうあれ、胡蜂的には“リベンジはした”という感じですね。ただ結末は見てのお楽しみですが、ちょっと女の部分が出ている感じもありつつ、恒例の白目もあって盛りだくさんになっていると思います」と語っていた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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