実在した競走馬をモチーフにした美少女たちがしのぎを削る人気コンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」。「Yahoo!検索大賞」「2021年ヒット商品ベスト30」など数々の賞を勝ち取るなど、ゲームやアニメというジャンルを超えて今年を代表するヒット作となった。どうしてここまでヒットしたのか、アニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点から分析する。
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明日12月1日放送のFNS歌謡祭(フジテレビ系)で、大井競馬場からのパフォーマンスが放送されることも話題となっている「ウマ娘 プリティーダービー」。先日発表された「Yahoo!検索大賞」ではゲーム部門の首位に輝き、一時は「紅白出場もあるのでは?」と噂(うわさ)が立つほど、2021年注目を集め続けてきたタイトルとなりました。
2月に満を持してアプリがリリースされたこともありますが、それにしても本作が今年、これほど多くの人々の間で盛り上がったのは一体なぜなのでしょうか。
まず一番に挙げられるのは、そりゃそうだとも思われるでしょうが、やはり“あの競走馬が美少女に”という題材のパンチ力だと思います。
本作は有名競走馬の名前を受け継いだ女の子・ウマ娘の活躍を描いたいわゆる擬人化に分類される作品です。もはや擬人化されていないものを探す方が難しいほど擬人化作品のあふれる昨今ですが、その中にあってもこの競走馬という題材には、プロジェクト発表当初から擬人化慣れしたアニメ・ゲームファンですら「どういうこと?」とざわめいていました。
それは今年本作が話題になってからはなおのこと強烈なインパクトをもたらしているようで、特に評判を聞いて初めて知ったアニメ・ゲームファン以外の人々にとっては、元々の競馬へのイメージと美少女化という組み合わせの想像のできなさが、本作に強く興味を惹(ひ)かれる一因ともなっているようです。
ただ、そうした第一印象もあってか、最初はどこかイロモノ的にみられたり、時には競馬場を全力疾走する女の子の姿がある意味シュールに捉えられたりすることもある本作。しかし蓋(ふた)をあけると、萌えかと思ったら燃え、エンタメ全振りかと思いきやいわゆる原作にあたる競馬・競走馬に超真摯(しんし)という、“第一印象を覆されるギャップ”もあり、それも評判を聞いて本作に触れた人々を深く“沼”に誘うきっかけになっているようです。
例えば、可愛い見た目からイメージされる日常系やアイドルモノではなく、スポ根にも近い泥臭さで熱く泣かせにくるアニメ。ウイニングライブや育成要素といったゲーム性だけでなく、見た目や性格、他のウマ娘との関係性や因縁のレース等々……競馬ファンですら、むしろ競馬ファンであるほどうなってしまうほど“原作”へのリスペクトがないと生まれない設定。
こうしたアニメやゲームの“ガチさ”は、話題だからと軽い気持ちで手を出した人たちにまで次々と火をつけ、最初はシュールに感じていたウマ娘の全力疾走にもいつしか手に汗握ってその結果に涙してしまうようになるほど、人々を本気にさせているようでした。
このように本作は、強烈なインパクトで興味を惹き、いわゆる擬人化作品としても競馬関連作品としても本気すぎる内容で、現在アニメ・ゲームファンから競馬ファン、それ以外の人々までをも次々と夢中にさせています。
その一方で、内容は本格的ですが“そこまで競馬に詳しくなくても楽しめる気安さ”もあり、それも今年改めて注目を集めた際に、ライトな層にまで人気が広がる後押しとなっていました。実際に、競馬や史実の競走馬を知らずに本作に触れる人も多いのですが、そうした作品ファンも、好きなウマ娘の設定を深掘りするうちに自然と知識が集まり、原作の史実に触れることで、改めて作品やウマ娘たちへの愛着を深めているようです。
ハードルは低いがそれを越えた先で本気すぎる深い沼に沈められる……。本作が今年ここまで大きなヒットを生んだ要因は、そうした点にもあるのかもしれません。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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