津田健次郎:50歳を迎えて俳優としても飛躍 癒やし、野獣化…あらゆる表情を見せた「最愛」

津田健次郎さん
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津田健次郎さん

 艶やかな低音ボイスと豊かな表現力で、数々のキャラクターに命を吹き込んできた声優の津田健次郎さん。50歳を迎えた今年は声優としてはもちろん、俳優としても目を引く活躍を見せた。切ないラブサスペンスとして話題を呼んだ連続ドラマ「最愛」(TBS系)では、事件捜査に奔走する刑事・山尾を好演。部下からの信頼も厚くおちゃめな一面も持つ愛すべき男かと思いきや、次第に野心的で腹黒い表情をのぞかせるなど、一筋縄ではいかない役柄を存在感たっぷりに演じて視聴者をクギ付けにした。バラエティー番組など顔出しで出演する機会も増え、“イケボ”だけではなく、“イケオジ”としてすっかり人気者になった津田さん。大きく飛躍した1年を振り返ってみたい。

 ◇代表作を挙げればキリがないほどの人気声優

 中高生の頃から名画座に通うほどの映画好きだったという津田さんは、俳優として活動を始めつつ、1995年のテレビアニメ「H2」の野田役で声優デビューした。どこか憂いのある声も魅力的で、「遊☆戯☆王」シリーズの海馬社長や「ACCA13区監察課」のニーノ、「無限の住人-IMMORTAL-」の万次、「ゴールデンカムイ」の尾形など、キャラクターの陰や狂気までを表現できる声優として、今や代表作を挙げればキリがない人気ぶりだ。

 今年も、「ここからは時間外労働です」という決めぜりふを放つクールな脱サラ呪術師・七海を演じた「呪術廻戦」、圧倒的な強さで主人公・ルーデウスたちに襲いかかるオルステッドとして登場した「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」、主人公を見守る観察者役を担った「不滅のあなたへ」、ルパンと因縁関係にある冷静沈着なアルベールに扮(ふん)した「ルパン三世 PART6」などなど、あらゆるテレビアニメでその艶声を響かせたが、元極道の龍が専業主夫として過ごす日常を描くギャグコメディー「極主夫道」や、超能力を持つヴィランたちが最後の強盗に挑むクライムアクション「スーパー・クルックス」といったNetflix作品にも引っ張りだことなっていた印象もある。11月に行われたラインアップ発表イベント「Netflix Festival Japan 2021」で、津田さんにフォーカスしたコーナー「ツダケンタイム」が用意されたことからも、彼への注目度の高さが感じられた。
 
 「ツダケンタイム」で津田さんは、「ありがたいお話」と自身のコーナーが設けられたことを喜び、「濃い役が多いので、それが本当にうれしいですね」とNetflix作品で自身の演じている役柄を思い浮かべながらにっこり。ステージでは生ぜりふを披露したほか、津田さんがツイッターで毎週月曜日にツイートしている「今週も頑張っちゃう?」というメッセージに自身で声を当てる場面もあり、「めちゃめちゃ恥ずかしいです」と大照れとなった素顔や、そのサービス精神旺盛な姿にSNS上でも「興奮しまくった」「最高すぎる」との声が上がっていた。また情報番組「新・情報7daysニュースキャスター」など、ナレーション業で津田さんの仕事ぶりを耳にする機会も多かった。

 ◇「最愛」で俳優としても飛躍!

 2020年はNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」の語りを担当し、窪田正孝さん演じる主人公を温かく見守るような語り口で、お茶の間にもファンを増やしていた津田さん。同ドラマの第97回では顔出し出演も果たし、「語りとして参加させていただいてきて、本当に個人的に好きな作品。顔を出す方でも参加させていただけるなんて」と感慨深げだった津田さんだが、2021年はNHKの「ドラマ×マンガ」シリーズ第4弾「特攻兵の幸福食堂」の売れっ子マンガ役を経て、吉高由里子さん主演の連続ドラマ「最愛」にレギュラー出演。警視庁捜査第1係長の山尾敦役に抜てきされ、俳優としての知名度もグッと高めた1年となった。

 山尾は、殺人事件の重要参考人となった女性実業家・梨央(吉高さん)を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平さん)の上司にあたる人物。いい声で事件捜査の指揮をとる山尾は、部下からの信頼も厚い熱血刑事だが、すぐに靴下を脱ぎたがったり、事件が動くと慌てて靴下をはいたり、「周辺関係者を洗うぞ!」と振り向いたら部下が一人もいなかったり、可愛らしいサブバッグを持っていたり……と愛らしい一面も。津田さんはそんな山尾を人間味たっぷりに表現し、緊張感あるサスペンスドラマにおいて視聴者の癒やしの存在ともなっていたが、なんと山尾が第8話でひょう変。部下を「使いどき」と利用しようとするなど、彼の冷酷な表情が明らかとなった。

 低音ボイスでワルなせりふを放つ山尾は、ゾクゾクするような魅力満載。この回について「最愛」の公式ツイッターは「山尾係長、野獣化する!?」とつぶやいていたが、数々の驚きを与えてくれたドラマの中で、山尾の野獣化も最高のスパイスとなっていた。津田さんが、生活や積み重ねてきたキャリアまでを想像したくなるような多面的な人物としてキャラクターを作り上げたことで、山尾の一挙手一投足に目が離せなかった人も多いことだろう。

 20代はなかなか仕事に恵まれず、世の中に必要とされていないと感じることがとてもしんどかったという津田さん。イベントやインタビューでは、そういった不遇の時代を乗り越えてきたからこその人間力、謙虚さ、芝居への並々ならぬ愛情をいつも感じさせてくれる。

 2022年は1月6日スタートのドラマ「たびくらげ探偵日記」で謎の男を演じることが決まっている。また今年お披露目となったWOWOW開局30周年記念プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」では短編映画「GET SET GO」で監督も務め、鈴村健一さんの4枚目のフルアルバム「ぶらいと」のリードトラック曲のミュージックビデオも手がけるなど、監督業にもさらなる意欲をのぞかせている。誠実にものづくりに向き合うことで実りの時を迎え、新たな挑戦を重ねている。津田さんのこれからがますます楽しみだ。(成田おり枝/フリーライター)

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