人気グループ「King & Prince」の永瀬廉さん。2021年はNHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」への出演をはじめ、複数のドラマや映画の撮影に参加し、グループでは日本テレビ系のチャリティー番組「24時間テレビ」のメインパーソナリティーに抜てき。並行してシングルやアルバムのリリース、コンサートツアーなども行い、永瀬さんは「人生で一番忙しかった1年」だと振り返る。そんな多忙な日々がもたらした変化から、俳優業への思いや、1月21日に公開する主演映画「真夜中乙女戦争」(二宮健監督)について聞いた。
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「真夜中乙女戦争」は、10、20代から支持を受けるFさんの同名小説(角川文庫)が原作。つまらない日々を過ごす大学生の「私」(永瀬さん)が、「かくれんぼ同好会」で出会った先輩(池田エライザさん)と、突如現れた謎の男・黒服(柄本佑さん)の存在によって日常が一変。秘密裏に動き出した「東京破壊計画=真夜中乙女戦争」に巻き込まれていく……というストーリー。
「タイトルから僕が想像していたものとは違い、ダークな雰囲気の作品だと思いました」と語る永瀬さん。「でも、誰もが共感できる部分があるし、何歳になって読んでも、こういうことを思っていた時期があったなと、懐かしい気持ちになれるというか。僕も周りと自分を比べてしまうところや、孤独感、外的環境による閉塞感とか、いろいろな「私」の感情に共感しました」と明かした。
一方で、役を理解するのには時間がかかったという。「私」は無気力に毎日を過ごしながらも、わずかに残った人生への希望を諦めきれずにいる役どころで、劇中には「死ぬほど暇ですが、僕の内側は死ぬほど忙しいです」といった奇抜なせりふも登場。取材中には「結構難しかったです、やっぱり」と漏らす一幕もあった。
「僕もそうでしたけど、なかなか1回では理解しきれないかもしれません。1回目は『真夜中乙女戦争』の世界観を感じていただき、そこから皆さんなりに考えていただければと思います」
「私」を演じる上で、前述した「死ぬほど暇ですが、僕の内側は死ぬほど忙しいです」のせりふは永瀬さんを特に悩ませた。「台本を読んだときに、『これどう言おうかな』って。きっと今後もなかなか口にすることがないような言葉じゃないですか」と、率直な印象を明かす。
しかし、池田さん演じる「先輩」との撮影を迎えると「自分の口からものすごく自然に出てきたんです。せりふをどう言おうと意識せず、『私』と『先輩』の会話として成立させられた。魅力的な『先輩』に、『私』だけじゃなく僕も内側から惹(ひ)かれるところがあったからかもしれないです」と、演技への確かな手応えを得た。
永瀬さんは本作の「私」のほかにも、朝ドラでは大切な人を失う怖さがぬぐいきれないヒロインの幼なじみ、2019年に放送された連続ドラマ「俺のスカート、どこ行った?」(日本テレビ系)では家庭に問題のある男子高校生など、複雑な感情を抱く役どころを演じてきた。そんな永瀬さんは俳優業にもますます意欲を燃やしているようだ。
「それぞれのキャラクターで抱えているものの種類も全く違うし、どの作品にもやりがいがあります。作品を重ねるごとに、『今回はこういう人物を演じられるんだ』というワクワク感が、どんどん大きくなっていますね。これからもお芝居をできる機会があるなら、どんなキャラクターになれるのか、そこが一番楽しみです」
グループでの活動に加え、個人での活動も多かった2021年は、永瀬さんにとって「人生で一番忙しかった」年となった。「複数の映像作品に、『24時間テレビ』のメインパーソナリティー、シングルやアルバムの制作……。グループの仕事では打ち合わせも多かったです」と裏側を語る。そんな多忙な日々は、永瀬さんにある影響を与えた。
「仕事が詰まっていたからこそ、仕事に対してフラットに考えられるようになりました。例えば、番宣でバラエティーに出演する際も、『いいところを見せなきゃ』と気張らずに、純粋に番組を楽しもうって。ある意味、根本に戻れたというか、一番大事なところに目を向けられるようになってきました。そういう感覚をつかみかけている気がします」
自然体でいることで良い効果もあったという。「背負い込むとどうしても変なところに力が入るんです。逆にリラックスしていたときのほうが力を発揮できたなと感じたことがあったんですよね。それに、やっぱり楽しく仕事したいじゃないですか。考えすぎちゃうと『楽しく』っていう部分に支障が出る。もちろん頑張るところは頑張りますが、基本は『もっと気軽に』という気持ちでやればいいと気づきました。今の僕は固かったものが、ほぐされつつある感じですね」。
毎日を忙しく過ごす中で、メンタルをどう保っているのか尋ねると「僕は誰かに頼ったりもするし、そうできる友達もいる。心の支えがあるから、精神的にしんどいなと思ったことはなかったですね」ときっぱり。息の抜き方を知っていることも、永瀬さんが活躍できる秘訣(ひけつ)なのかもしれない。2022年はどんな永瀬さんを見ることができるのか、これからも楽しみだ。
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