わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
あるときは“結婚できない偏屈な男”。あるときは“古代からタイムスリップしてきたローマ人”。これまで多くの作品で視聴者を魅了してきたのは、俳優の阿部寛さん。今は、TBS系「日曜劇場」(日曜午後9時)枠で放送中の連続ドラマ「DCU」で、“真実を突き詰めるまで諦めない男”を好演している。これまでに何度もタッグを組み「お芝居も現場的にも、人を引っ張っていくパワーがある」とそのカリスマ性を語る伊與田英徳プロデューサーに、阿部さんの魅力を聞いた。
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「DCU」は、TBSが海外の大手制作会社であるケシェット・インターナショナル、ファセット4メディアと共同制作するオリジナル作。水中で起こった事件や事故の捜査に特化した架空の組織「DCU(潜水特殊捜査隊)」の活躍を描いており、阿部さんは「DCU」の隊長・新名正義(にいな・まさよし)を演じている。ルールを無視してでも、真実を突き詰めるまで諦めない男で、横浜流星さん演じる若手隊員・瀬能陽生の命の恩人でもある。
海外の制作チームと仕事をしたいと考えていた伊與田さんが、たまたま今作の企画を目にし、ぜひやりたいと手を挙げたことがきっかけとなり、日本で制作することに。新しく立ち上がった部署で、水に特化した捜査を行う刑事ということから、新名のキャスティングは「チームを引っ張っていくカリスマ性のある方にやっていただきたい」と考え、阿部さんの顔がふっと浮かんだという。
これまで、「日曜劇場」で放送された「新参者」(2010年)、「下町ロケット」(2015、2018年)などで阿部さんとタッグを組んできた伊與田さんは、「(新名は)阿部さんしかいないと勝手に確信しました」と振り返る。
これまでの撮影現場でも、阿部さんのカリスマ性を感じてきたといい、「包容力のある役者さんです。存在感というか、人を引っ張っていくパワーがある。演じていただいているお芝居自体ももちろん、阿部さんご自身が現場スタッフからもそう思われるようなお人柄だったりします」と印象を明かす。
先日行われた舞台あいさつでは、「『テルマエ・ロマエ』以来、10年ぶりにジムに行きました」と、体作りに励んだことを明かしていた阿部さん。番組が放送されると、SNSでは「57歳とは思えぬ肉体」といった声が上がるなど注目を集めた。
伊與田さんによると、水中での撮影は、プールのように水が止まっているのではなく、たえず水が動いている。そんな中、撮影をしていくのは「思っている以上に、非常に大変」と話す。さらに、季節が冬になり、寒さとの戦いも加わっている。
そんな中、撮影現場での阿部さんの様子を聞いてみると、「皆さんが疲れてきているときに、『頑張ろう!』みたいなところを背中で見せてくれる」と明かす。「『頑張ろうぜ!』とは言わないんですけど、『阿部さんがこれだけやっているんだから、みんなやろうよ』と思える。黙々と演じる芝居でそれを見せてくれるのがすごい」と話す。ちなみに、横浜さんも同じことを言っていたという。
たとえば、「下町ロケット」では、誇り高く仕事をする熱い二代目社長・佃航平として。「DCU」では、周囲の価値観には左右されない隊長・新名として。別の人物を演じ切っていて、それぞれのキャラクターの存在感が素晴らしい、と話した伊與田さん。
阿部さんは、自分の意見もあるが、同時に制作スタッフの意見を聞いて、役を作り上げているという。伊與田さんは「『なるほど』と思われるところは、『じゃあ、それしてみようか』『そういう考え方のほうがいいかな』と、大変柔軟です」と明かしながら、「いろいろ話をしながら、そのときで一番ベストなチョイスをしていく。そして、ベストだと思ったものに突き進んでいく突進力がすごいなと思います」と話す。
そんな伊與田さんは、阿部さんの“オーラ”がすごいと語る。「いらっしゃるだけでそこに目が行くといいますか。持って生まれたものもあると思いますが、それをちゃんと磨いてらっしゃる。僕らには見せないと思うんですけど、努力してらっしゃると思うんです」と話す。
「目力も強いし、背も高いことを生かした独特の存在感がある。それが迫力のある演技につながったり、包容力、優しさのある演技だったりする。同時に繊細なお芝居もしっかりされる。すべてにおいて秀でていないと主演としてこれだけご活躍になれないんじゃないかと思います。『これもすごいな』『これもすごいな』と思える方だなと思います」