放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
「おじさんはカワイイものがお好き。」(読売テレビ・日本テレビ系、2020年)や「恋する母たち」(TBS系、2020年)、「もしも、イケメンだけの高校があったら」(テレビ朝日系、2022年)など立て続けに連続ドラマに出演し、注目の若手俳優として躍進中の藤原大祐(たいゆ)さん。3月19日から動画配信サービス「Hulu(フールー)」で独占配信されるドラマ「神様のえこひいき」では、桜田ひよりさんとダブル主演を務めている。この春に高校を卒業する藤原さんだが、「高校時代は、学業との兼ね合いでお仕事に関してセーブしなければいけない部分もありました。これから始まるなという気がしていますし、エンジン全開で走っていきたい。ワクワクしています」と未来に希望たっぷり。「憧れの俳優はリバー・フェニックス」という藤原さんが、ドラマの見どころや俳優としての武器について熱っぽく語った。
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ドラマは、少女マンガ誌「マーガレット」(集英社)とHuluがタッグを組んだ「マーガレットLove Stories」の第3弾で、小村あゆみさんの同名マンガが原作。同性の親友・ケンタ(窪塚愛流さん)へ告白するもフラれ、その直後に交通事故で死んでしまう主人公・天野弥白(やしろ、藤原さん)が、暇を持て余した神様の“えこひいき”により、ケンタの好みのタイプの女の子・天堂神楽(かぐら、桜田さん)に生まれ変わる様を描く。
今作がドラマ初主演となる藤原さんは、「“座長、主演として頑張っていこう”という意識はありましたが、今回は同世代の方たちと共演できるドラマだったので、“僕が引っ張っていこう”と気負うよりも、みんなで一緒に作り上げていくドラマになるといいなと思っていました」と楽しい雰囲気づくりを心がけたという。お手本となったのは、「例えば(2020年公開の映画)『愛のまなざしを』の仲村トオルさん、『おじさんはカワイイものがお好き。』の眞島秀和さんも寛容ですてきな方でしたし、『恋する母たち』の木村佳乃さんはオンとオフの切り替えが素晴らしくて、休憩中は楽しく笑って過ごしているのに、本番になると集中力がすさまじいんです。これまでに出演させていただいた作品で主演を務めていた皆さんが頼もしい背中を見せてくださっていた」こと。「そういった姿を頭に思い浮かべながら自分も少しでも近づけるように頑張りました」と振り返る。
演じた弥白は、同級生のケンタに恋をする高校生。ピュアで一途(いちず)、思いやりにあふれた少年だが、藤原さんは「友人だったケンタに恋心を抱いた弥白は、戸惑いながらも、自分を信じて、その気持ちを貫こうとするんです。彼のそういったところはとても尊敬しますし、僕も夢や希望のためには努力を惜しみたくないところがあるので、弥白とは通じるところがあるなと思っています」と共感しきり。「役者というお仕事のためだったら、僕は自分のことをどれだけでも犠牲にできるんじゃないかなと思っています。人生において時間ってとても大切なものですが、作品や役のことを考えているとあっという間に1日が終わっていたり……。寝るのももったいないくらいです」と藤原さんも一度決めたらまっしぐらに突き進むタイプだという。
交通事故で死んでしまった弥白は、神楽という女の子と身体と心が入れ替わってしまう。藤原さんは“容姿は弥白、中身は神楽”という男女入れ替わりの演技にもトライしており、「ものすごく大きな挑戦でした」と告白する。
「人間の動きや話し方、所作というものは、これまで歩んできた人生や生活から生まれてくるもの。外見が弥白でも、中身は神楽という女性なので、その生きてきた証が僕の中にも反映されないといけないわけです。演じる役柄の感情を表現することだけではなく、所作や話し方にも気を配らなければいけないというのは、俳優としても新しい挑戦でした」といい、未知の領域に踏み出す上では、「『転校生』という入れ替わりものの元祖と言われる映画を見て、演技へ取り組む上でのモチベーションにしたり、女性の仕草や動きを研究したりもした」そうで、さらに神楽役の桜田さんとも相談し合ったと続ける。
「お互いに『こういうときはどうするの?』と質問し合ったり、実際に『こういうときはこう動くよ』と動作を確かめ合ったりしました。特に座り方は男性のする動作とはまったく違うなと思いましたし、少し上目遣いで話をすることなど、桜田さんの仕草から神楽役に反映させていったこともあります」とコミュニケーションが欠かせなかったというが、「よく鏡の前で自分の演技を確かめたりもしていたんですが、体の状態や動作がどのように演技に影響していくのかなど、役者としても新しいことに気づくことができました」と貴重な経験になったと話す。
2019年にオーディションを経て芸能界入りを果たした藤原さん。「もともとは俳優になりたいという気持ちはなかったんです。たくさんスカウトをいただいていた時期があって、その話を母親にしたらいつの間にかオーディションを受けることになっていて(笑い)。漠然とした夢ですが、発明家とか、ゼロからイチを生み出す人になりたいなと思っていました。思えば、俳優も誰かの心に何かを生み出す仕事だなと感じています」ともともと俳優志望ではなかったものの、今では大いに魅了されているという。
役者デビューは、万田邦敏監督がメガホンをとった「愛のまなざしを」。「カメラの前に立つことも初めてでしたが、舞台あいさつの日に斎藤工さんから『万田監督の作品で初めてのお芝居をできて良かったね』と声をかけていただきました。現場では楽しく撮影をしていたのに、出来上がった作品は人間の恐ろしさやどんよりとした空気感が映し出されていて、どこでそのカラーが入ったんだろう!とものづくりに興味が湧きました。ものすごく貴重な経験ができました」としみじみ。さらに「どの作品も転機と言える大切ものばかりですが、『おじさんはカワイイものがお好き。』に出演したことで、いろいろな人に知っていただくことができました。この道で生きていきたいなと強く感じました」と一つ一つ、真摯(しんし)に歩みを進めている。
この春に高校を卒業する藤原さんは、「お仕事に関してはこれからいよいよ始まるなという気がしていますし、エンジン全開で走っていきたい。ワクワクしています。今はブンブン、エンジンを吹かしています!」と意欲満面。尊敬する役者は「リバー・フェニックス」だそうで、「僕は昔の映画を見るのが好きなんですが、リバー・フェニックスの目からは、世の中に対して何かを訴えかけているような、彼の嘆きのようなものがにじみ出てくるようで、本当に美しいなと思います。そういった深みのあるお芝居ができる役者になりたいです」と夢を語る。
今後の活躍にも期待が高まる18歳。「俳優としての武器は?」と聞いてみると、「闘争心です。過去の自分にも負けたくないなと思っています。自分の中でハードルを上げた目標を掲げて、それを超えていく瞬間がとても好きです。そのために努力することも好きなので、それは僕の強みかなと思います」と力強く語る姿が、なんともすがすがしい。一方で弱点は「説明書を読むこと。家具の組み立てとかも苦手です!」とにっこり。おちゃめな素顔も魅力的で、これからがますます楽しみになった。(取材・文・撮影:成田おり枝)
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